コウガの鎧の特性
『こんな能力があったとは』
どうやらコウガ状態だと、銃弾の威力も倍増するらしい。
ダニーと同種の武器を使っているのに、だ。
おそらく、武装にリソースを割くことで、軽装になる引き換えに威力を上げるのだろう。
コウモリ怪人が、空中へ逃げる。
ここで逃がせば、情報が秘密結社に知られてしまう。ここで仕留めねば。
『くらえ!』
他の怪人たちを、コウガは銃で撃ち抜く。
撃たれた怪人たちは、次々と爆発していった。この銃は、コウガのフィニッシュホールドに匹敵する威力を持っている。これなら。
「このガーゴイル様をここまで追い詰めるとは。だが、これはかわせまい! GYYEEE!」
【ガーゴイル】と名乗ったコウモリ怪人が、奇っ怪なノイズを発動させた。スピーカー状の口から、怪しげな怪音波が。
『むうっ。超音波かっ!』
音に脳内をかきむしられ、コウガは動きを封じられる。
耳を塞いでも、怪音波が頭に鳴り響く。
聴覚の発達したコウガのカブトなら余計に。
「こんちくしょう!」
ダニーが銃を乱射した。
弾丸が、鉄骨に跳ね返る。
「ギャアア! 耳がぁ!」
突如、怪人が苦しみだす。
『そうか、特徴はコウモリと同じなのか。ならば!』
脳の痛みを堪え、コウガはベルトにエネルギーを集中させた。
『ムーン・シャイン!』
宝玉の光を一気に放出し、怪人の目に直接光を浴びせる。
「うぎゃああああ! 目があああ!」
『おやっさん、跳弾を!』
「よしきた!」
ダニーが、わざと銃弾を鉄骨に撃ち込んだ。
銃弾は飛び跳ねて、金属音を奏でる。
目と耳を同時に攻撃され、コウモリ怪人は怯む。
もう不快な音も鳴らさない。
「こ、これはたまらん!」
混乱したコウモリ怪人が、羽を広げて浮遊した。
『とどめだ!』
飛び去ろうとしたコウモリ怪人に、コウガは銃を放つ。
怪人の背中に、弾丸が炸裂した。
「デヴィランの栄光を見られぬまま死ぬとはぁ!」
空を飛んだまま、コウモリ怪人は洞窟を広げるほどに大爆発を起こす。
地鳴りがする。
戦闘員の一人が、瓦礫の下敷きになっていた。
どうやら資料をこれ以上奪われまいと、自爆装置を作動させたらしい。
「洞窟が崩れる。急げ!」
ガレキを避けつつ、コウガたちは脱出した。
洞窟が崩れていく。
それだけで、木々が蘇っていった。
腐った土が活気を取り戻し、キレイな花も咲く。
それだけ、このアジトは急激に森を殺していたのだろう。
「お前さん、すごいな。伝説の戦士、コウガが誕生しただけでも奇跡だってのに」
『コウガとは、いったい何なんだ?』
「それについては、ギルドに戻ってから話そう」
コウガは変身を解除し、コデロへと戻った。
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