小学校編
教師
眠い、頭痛い、仕事行きたくない、還りたい
今日も元気に自堕落ルーティンを決めて目を開ける。
古びた天井、右を向いても机はなく左を向いても美女は居ない。
どうやらここは俺の家のようだ。
まあ、当然か。俺が教師になってから既に1週間が経過していた。
思えば不思議なことしかなかった。
まず俺が思い出せなかったはずの記憶がたどれるようになっていた。小学5年生の時の担任に感銘を受けて教師をめざし、晴れて小学校教師となったのであった…というものだ。と言っても大して実感はない。記憶が後付けされたかのような不思議な感覚だ
そんでもって俺は4月の始業式から5年3組の担任になってそれから1週間経って今に至るということだ 何がともあれよく乗りきったと思う
頑張ったな、俺
「よっこいしょ」
おっさん口調で腰を上げ身だしなみをしっかり整えて外にでる。真面目なのも記憶の影響だろうか
記憶といえばあれからまだ渚には会ってない
あいつも「行く」だとか何とか言ってなかったっけか、その辺は曖昧だ。なんせなんか盛られてたからな。だけどやっぱり悪いやつじゃないと本能が言ってるんだよな
しかしあいつの言っていた人助けってのもまだよく分かってない
……まあ気になる点はいくつかあるが
「おはようございます」
「おはよう」
学校につき職員室に入ると新任の俺にも挨拶が返ってくる。俺が赴任することになった久米山小学校は例年いじめがない平和な学校だ。いい環境に入れたのだと思う
自席につき記憶に習って今日の授業の準備進めていたとき
「渡部先生、ちょっといいかい?」
「はいー」
俺を呼んだのは学年主任の袴田先生だ
丸太のように太い腕に渋い声
葉巻の煙草の良く似合うハードボイルドな先生だ…なんで小学校教師なんだ?
「おう、実はな」
重々しいトーンで話し始めた袴田先生には重力を強化する力がある
一方、新任教師の立場である俺は少なからず緊張して弱化しているから今にも地に張り付きそうだ
「今日から君のクラスに転校生が来ることになった」
うむ、やはり袴田先生の声には重厚感が…
「…え?」
どういうことだ?
「恥ずかしい話こちらも新学期やらトラブルの対応やらであくせくしているところに舞い込んできた転校の話で対応が遅れてね。急で済まないがよろしく頼むよ」
なるほど。新学期が始まってから数日しか経ってないのにも関わらず何やら事件が起きているらしい。噂では体育倉庫がどうこうとかだったか。来たばかりで設備に疎い俺には仕事が回ってこないのだろう。学校の対応が後ろ倒しになるのも仕方ないか。
「分かりました。新しい席用意しておきますね」
「ありがとう。もうすぐ来ると思うから席を用意したら玄関まで迎えに行ってくれ」
「承知しました」
粗相のないようにその場を去って転校生用の席を用意しに行った。それにしても袴田先生をうならせるなんて相当なトラブルなんだろうな
なんて他人事みたいに考えていたら玄関で相当驚くことになった
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