ひるなかの流星

 ねむりは、優しい死に似ている。

 

 清涼な酸素と、

 幽霊の涙みたいな夜つゆと、

 半分になった月が見せる夢。


 全てが夜に溶けて、

 揮発して銀河へと還る。

 

 そんな古びた樹木の年輪に似た、

 降り積もる歴史の残骸だけが生み出す疲労。



 屋上の片隅で、僕は空気力学に手を触れた。

 瞼を開けば、

 飛び降りてみなよと、美しいものが笑うけれど。


 迷ったから、空を見た。


 青色の絵の具を煮詰めたような気怠さ。

 それがまどろみの向こうにあるびいどろの瞳に反射して、

 僕はひるなかの流星を空目する。



 そこでいつも夢は覚めて、

 僕は再び、凍った大地でねむる。

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