星夜行

 ふらふらと街を歩いて夜の星。

 月明かりがコンビニよりも近くなる午前二時。

 夜行に迷って、空を見る。


 眩い月は欠けていて、齧りかけの林檎に似ていた。

 この夜よりも、あの月夜の方が甘そうに思えて。

 ふと手を伸ばす。


 一握の星を掴んでも、傷の癒やし方がわからない。



 鼻歌を歌いながら、夜を行く。

 子供のように、小石を蹴飛ばしながら。


 こんなに月が蒼いから

 死ぬのはも少し後にしよう


 昨日より星が遠いから

 寄り添えるまで生きてみよう


 夜に涙が溶けるから

 空が無くても夜明けは来るよ


 強く蹴り上げた小石が、コツンと空を舞った。

 小さな欠片は言の葉となり、旋律に乗って宇宙へと届く。

 いつか見たビー玉のような、無数の原音を乗せて。

 透明なまま、彼方の銀河へと。



 そうやって円環模様の空を見上げた先

 星を巡る夜行列車が 汽笛を鳴らした

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