第5話 変態がばれた時

俺は従姉妹と連絡をとった。嫌がるかと思ってが、以外と快諾だった。


「京子姉、なんでそんな簡単にOKなの?」


俺は思わず聞いた。ちょっと不思議だった。いちいちファンに会ってたら大変だろう


「もしかして、京子姉の作品って人気無くって初めて会うファン?」


俺は素朴に思った推測を京子姉に語った


もちろん怒られた


「あなたねえ、感謝するならともかく、良くそんな毒舌吐けるわね」


「ファン、いるんだ......」


「当たり前でしょ。これでも一応プロよ」


じゃ、なんで快諾、一抹の疑問が


「そんなの可愛い従兄弟の為にひと肌脱ぎたいからよ。好きなんでしょ?その女の子の事」


「なんでわかったの......」


「あなた、その斯波まゆみさんの事、何回可愛いって言ってたの?


 ベタ惚れ丸わかりでしょ」


俺は動揺した。さりげなく、ファンの友達に会ってくれないかと言っただけのつもりだった。そんなあほな事言ってたかな?


言ってた......自分でも自覚した


気をつけよう


☆☆☆


『ピンポーン』


俺と斯波は従姉妹の家の玄関の前に立っていた


俺はドキドキしてた。だって、これ、ちょっとしたデート


初めてのデートなのだ


「は〜い」


京子姉が玄関から出てくる


「いらっしゃい」


「おー、聡、中々可愛いじゃない、やったね」


「な、何言ってんだ京子姉、俺たちそんな関係じゃないよ」


「いいのかな?


 そんな事言って、斯波さんの顔見てそう言える?」


俺は斯波を見る


 目に涙を貯める斯波


「いや、そういう事じゃないよ」


「いったい、どうゆう事なのかしらねぇ、あなたはっきりした方がいいわよ」


「うん」


俺は素直に「うん」って言ってしまった


もう一度斯波を見る


斯波は破壊力満点の笑顔に戻っていた


「初めまして、斯波まゆみといいます。先生のファンです。あ、これ、つまらないものですが」


斯波はなんか可愛い包装のお菓子の差し入れを持ってきた


「ありがとうね。でも、そんな気を遣わなくて平気よ


 何しろあなたは私のかわいい従兄弟の想い人なんだから」


「え!」


斯波は目をしばしばすると、俺の方をすがる様な目で見てきた。あー、そんな目で見ないで


「いや、京子姉からかってんだよ」


「じゃ、私の事なんとも思ってないの?」


斯波、ずるい。こんなとこで直球


「い、いや、俺、斯波の事好きだよ」


かーと頭に血が登る。何俺唐突に告ってんの?


「わ、私も、高野君の事好き」


「おー、お熱いのー、何なら、私の寝室貸してあげよっか?」


「な、何言ってるんだ。京子姉、からかうにしても酷いよ」


「ねえ


 思いきって借りてもいいんじゃないかな?」


斯波も無茶苦茶言いだす


「斯波、いきなりそんな事出来るか!」


「あんな事はしたくせに」


「ちょっと、あなた達、大丈夫でしょうね?


あなた達未だ未成年なんだから、そこまで進んじゃ駄目よ。ちゃんと責任取れる迄成長してからじゃないと駄目よ」


「すいません」


斯波が謝る


いや、そこは俺が謝るところだ


「京子姉、ごめん。俺、斯波の事好きだから、ちゃんとする。責任取れるまで変な事しない」


「変な事はもうしてるじゃん」


斯波ー、頼む、ややこしい事言わないで


☆☆☆


京子姉は発売前のサンプル本を斯波に貸してくれた。斯波はもうたいそう感激した様だ


帰る頃にはもう夕方になっていた


俺はもう少し斯波といたかった。初めてのデートだから


ねえ、そこの公園で休んでかない


俺は斯波と公園で二人っきりになりたかった


この公園は夕方、あまり人がいないんだ。


二人っきりで缶ジュースを飲む


「今日はありがとうね。憧れの京子先生に会えて、私大感謝だよ」


「良かった。斯波が喜んでくれて嬉しいよ」


斯波は何かゴソゴソ出した


「これね。お礼のつもりなんだけど」


斯波は100金のラッピングに包んだ袋を俺に渡した


「開けていい?」


「うん、もちろん」


開けるとキャラのキーホルダーが出てきた。多分、手作りだ。作りが普通に売ってるのより、ちょっとクオリティが低い。でも、わざわざ手作り


「ありがとう」


俺嬉しかった。キャラがとんでもなく微妙な感じがしたが、それは気にならなかった。斯波がくれたら、なんでも嬉しいんだろうな俺


「実は、お揃いなの」


斯波は自分のバックからキーホルダーを出す。ちょっと形違うけど、手作りだからなんだろう。俺は最高に嬉しかった


その後、しばらく従姉妹のラノベの事で盛り上がった


気がついたら夕方になってしまった。俺は欲が出てきた。京子姉にいきなり告らされたけど、結果的に上手くいった。俺は更に先に行きたかった。この勢いで行こうと思った


「斯波」


斯波の名前を呼ぶと斯波がこちらを向いた。夕焼けの陽が斯波の瞳に映りこむ。夕焼けの色彩が斯波をセピア色に染める


「斯波、キスしていい?」


斯波はちょっと驚いた顔をしたけど


「うん」


そう言って、目を閉じた


俺は斯波の肩に手をおいて斯波にキスした


初めてのキスは缶ジュースの味がした


でも、斯波の唇はとんでもなく柔らかった


唇を離すと斯波はしばらく、自分の唇に人差し指を当てていた。そんな姿がとんでもなく愛らしかった


でも、斯波は最後にとんでもない事を言った


「高野君、ありがとうね。明日はちゃんと抱いてね。嘘なんでしょ。変態設定」


俺は呆然とした

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