第3話 彼女の事情
私は自分の不運を呪った。だけど、少しだけ神様に感謝した。少ししか感謝出来無いのは、概ね私は不幸であり、ほんの少しの幸運にだけ出会えただけだからだ
私のお父さんは半年前に失業した。何か心のトラウマになる様な事があった様だ。今は毎日お酒を飲んで、仕事も探さ無い。お母さんとお父さんの仲は悪くなる一方だった。一番困ったのが、お金だ。今はお母さんのパート代だけが、主な収入源だ。私もコンビニのアルバイトをしていたから、家にお金を入れる様になったが、焼け石に水だ
お母さんから大学への進学を諦める様に言われた。もちろん、わかっていた。うちは大学どころか、ご飯が食べれない時があった
お母さんは、私はもう済ましたから、と言ってご飯を食べない時があった。嘘に決まっている。私はお腹いっぱいと言って、半分残した。でも、お母さんはとても悲しそうな顔をする。親としての責任を感じてるのだろう
ひもじい日が段々増えてきた。日本には基本的人権ってなかったっけ?
多分、ないんだろな。だって、道行く人にら私の様に貧しい人とあからさまに金持ちがいる
綺麗な服、お洒落なアイテム。うちには一つたりとも買えない
私はこの1ヶ月間考えた。お父さんはあてに出来無い。明らかに心が病んでる人だ。お母さんのパートはこれ以上増やせない。お母さんは既にパートを掛け持ちしている
私が稼げば......でも女子高生の収入なんてたかがしれてる。たった一つの方法を除けば
私は決意した。身体を売ろう。私にはそれしか商品価値がない。それでさえ、どちらかというと稼げない方だろう。私の容姿はそれ程良くない。若さだけが、多分武器だろう
私はネットで色々調べた。高校生がまともにそういった仕事につける訳がない。当然非合法だ
答えは簡単だった。出会い系サイト。私はお母さんの名前で、登録した。年齢とかデタラメだが、なんとか登録出来た
そして、苦労して最初の客を見つけた
こうして私は渋谷で初めての客をとる筈だった
前の日、私は泣いた。私には経験がなかった。本当なら、大切な事なんだろう。でも、私は初めて会う、多分二度会わない人に初めてをあげてしまう事になる
惨めだった。神様を恨んだ
そして、当日、初めての客と、もうホテルに入るしかないところまでいって、ホテルの前で高野君とばったり会ってしまった
私は最初神様を呪った。何故、よりにもよって高野君に見つかるのか......
私は高野君にだけは知られたくなった......初恋の人だから
だが、直ぐに考えを改めた。そして神様に感謝した。せめて、せめて初めては高野君にもらってもらおう。私は高野君から1万円をせしめると、それで上手くいくと思った。どうせ私と高野君は身分が違う、彼とお付き合いなんて夢の又夢なのだ
知られてしまったんだ。私の秘密。なら、いっその事。そう思った
だけど、私は知らなかった。高野君が変態な事を......
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