見付けたけど、ピクニック気分じゃないか
「?!わっ?!」
いわゆる、コックピット部分であったが、そこもそこで、ハードだった。
まず、入り口が見つからない。
窓からならと思ったけれども、若干高く。
木登りの要領で行こうかとも思ったけれども、足を掛ける場所もない。
「……。」
この時に、自分はなんて無力なのだとも思う。
翼とかあるなら、調べられるけれども。
あるいは、サーバルちゃんみたいに、高くジャンプできたらなぁ。
恨めしく思ってしまう。
そうであっても、何とかできないか、辺りを探して。
「……ここかぁ……。う~ん。」
コックピットの窓部分を見付けて、覗き込むことにする。
割れていて、そこから中に入れそうでもあったけど。
窓が小さくて、私の身体じゃ入りきれないみたいだ。
見る以外に、できないがために、私は背を伸ばして、仕方なく覗き込んだ。
「……。」
窓から見た中身は、沢山のスイッチ類がひしめき合う場所のよう。
どれが、何を司るか分からないけれど。
それだけであり、他、その、怪しげな物品を目にすることはない。
結局、私の持ち場では、それらしき物は発見できないでいた。
「はぁ。」
溜息を吐いて、ばたりと背を元に戻して、地面に座るなら。
「ん?」
高い所から、金属が軋む音を聞く。
何事と見れば。
それは、突き刺さった爆撃機の、胴体部分かららしく。
一見何の変哲もなく、扁平で真っ平出会った場所だったけど。
何と、軋みながら、開いていくではないか。
「助手!開きそうですよ!」
「分かっています。やれやれ、人とはこうも仕掛けが好きなものですか。」
「!」
二人がしているようで。
探っていて、気になった場所に手を当てたら、開きそうだったからと。
飛びながらその部分を引っ張っているらしい。
そのためにか、扉のように開いていき、遂に、爆撃機はその中を見せつけてくる。
胴体を開いたその向こうには、倉庫のように広い空間があるようで。
また、何かが存在していたという名残は見受けられて。
「……!」
空っぽ、そう締め括れようその先に、私はある物を見付けて。
何か、光っている物……。でも、私は何であるか判別できないでいる。
それだけしか言えないけれども、何か。
その様子に、私は目を見張った。
「!何か光ってるです!」
「博士。取り出してみましょう。」
「もちろんそのつもりです。何であるか、よく観察するです。」
二人も気付いて。何だろうか判断のために、取り出そうと言ってくる。
コノハ博士はそのつもりとして、二人して、その爆撃機の中に入り。
光る何かに二人して手を付け、取り出して出てきた。
「さあ、かばんに見せるのですよ。」
「この、得体の知れない物、何でしょう。気になります。」
二人して、言いながら、私の元に飛行してくる。
「!」
私の所まで来るなら、持ち出したそれを見せてきて。
もちろん、私の視界に十分に入り認識できうる。
それは、楕円状の透明なカプセルに封され。
丁度、手の平に収まるほどの、切れ目のある立方体を有する物。
もちろん、中の立方体は、サンドスターのように輝いていて。
また、切れ目からも、別の光が漏れ出ている。
そんな物体。
私は見ていて。
その内に二人は戻ってきて、私に渡してくる。
「さあ、かばん。」
「これが、サンドスターデストロイヤーです?」
「!……ええと。」
質問もしてきて。
私は、一瞬戸惑い、思考停止したけれども。
「……。」
じっと、その物体を見て。
ついで、私は、私たちをここに導いた手記を見て。
ページをめくり、情報を探すなら。
「!」
その手記にも、同じような形状をスケッチした物があり。
説明もあって。
中の物を外界から隔てるために、特殊なガラスの入れ物で封をしてありと。
その上で、中にある、自らも光るが。
切れ目からも別のスペクトルで光を漏れさせる立方体こそが。
まさしく私たちが求めていた……。
サンドスターデストロイヤー、と。
「……それだね。」
それこそが、求めていた物であると結論に、私は頷く。
「……。」
だけど、喜ばしく思えない。
実在するということは、その機能も実在すると証明に。
セルリアンを消滅させるが。
フレンズをも消滅させる。そう、諸刃の剣。
そのことも思い、私は明るくなれないでいた。
「なるほど。」
「この、奇妙な物が、そうですか。度々、人に対して思うことはありますが、こうも奇妙な物を作りたがるものです。やれやれ。」
私の気持ちは多少汲み取ってはいるけれども、二人は顔を合わせて。
とりあえず、そんな暗いことはなかったように。
明るく振舞って。
時にミミちゃん助手は、人の作る物はいつも珍妙だとして、呆れ返りもして。
「……あはは、だね。」
きっと、だからこそ明るく振舞ってくれるのだと。
私はとりあえず、喜ぶことにして、素直に笑みを浮かべた。
「さあ、かばん。早く受け取るのですよ。」
「そして、お昼にするのです。」
「……って、結局それだね……。」
その元気付けなんて。
現金なものかもしれない。
二人は明るく振舞った後すぐに、お昼をせがんでもきて。
今度は苦笑になって。
私は、そう言うならと、SSDを受け取って、抱える。
それを見て、二人はやれやれと軽く疲労を見せつつ。
「やれやれ、長を働かせるなんて、何て奴です。」
「けれど、これもまた、長の務め。セルリアンをどうにかする、そのために知恵を出し合うのが我々の責務。」
「……あはは。」
文句を言いつつも。
それこそ自分たちの責務と言ってもいて。私は、二人らしいと苦笑する。
また、二人はわざとらしく疲労した振りをして。
私が歩くのを待って、その後ろをついて歩いて。
お昼のために持ってきたバスケットのある場所まで向かった。
その場所で、休憩と。
マットを広げたなら、我先にと二人は動いて。
バスケットからサンドイッチを取り出し、それぞれに渡していった。
私は、空いたバスケットに、SSDを入れて。
サンドイッチを受け取ったなら、この山の空気を吸いながら、お昼を食べる。
「……うん。」
眼下に広がる、麓の風景と相まって。
二人と一緒に食べるサンドイッチは、また格別な味わいがした。
お昼を食べて、談笑を軽くしたなら、早速と山を下りていく。
もちろん、バスケットにはSSDが入れられて。
私たちは、求めていた物を手に入れたと、気分が高揚して、帰路に就く。
この気分の高揚は、久し振りかもしれないけれど。
私は心の底からではないと思う。
やっぱり、空元気な感じがしてならないけれど、致し方ない。
そもそも、SSDが危険な物であるという事実があるから。
なお、帰路にて二人は、それを感じさせないほどに意気揚々としていて。
やっぱり、本心ではピクニック気分だったんじゃないかと思ってしまった。
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