それはどこに?

 寝床から抜け、身体を伸ばして、私はまた、いつもの服装を着て。

 鬱屈な様子であっても、寝室から出た。

 「かばん、おはようなのですよ。」 

 「早く、ご飯にするです。」

 「!」 

 出たら、二人が出迎えてくれて。

 挨拶がてら、朝ご飯を要求してきた。 

 「……うん、おはよう。それじゃ、用意するね!」

 私は、二人にそっと笑って、頷く。

 そうしてまた、日課のように朝ご飯を用意して。

 終わったなら、また、ちょっとした団欒を。その際私は。

 「……あの、SSDを探しに行こうと思うの。」

 お話のネタに、そう切り出す。

 「?!」

 「?!」

 二人は、私がそう言うものだから、ぎょっとしてしまい。

 すかさず。 

 「き、気は確かなのです?!」

 「正気ですか?!あれだけ、危険だというのに。」

 そんな、非難ともとれる声で、轟々に言われる。

 私は。

 「正気だよ。……でも、セルリアンを完全消滅させる方法に違いないんだ。それに、私はこうも思うの。」

 「!」

 「!」

 正気だとして。 

 また、思うこともあると。

 二人は、まだぎょっとしていながらも、私が言うのだからとして。

 聞き入るように耳を傾けてくれた。

 「その、SSDを研究すれば、もしかしたら、フレンズが消滅せずに、セルリアンだけを倒せるようになるかもしれない。誰も、犠牲にならずに、……皆で笑って暮らせるようになると思うの。」 

 「「!!……。」」

 思うことは、SSDの研究のその先。

 安全性を高めるようにすれば。

 セルリアンだけに、より効果を示せるものにできると。

 強く願いもあって。

 耳にした二人は、沈黙した。 

 「……かばん、本当にいいのですね?」

 「危険を承知で、やるのです?」

 その上で、二人は聞いてきた。

 「!……うん。」

 私は、揺るがないとして、頷く。

 「……どの道、それが必要だし。」

 続きに私は、研究するにしても、SSDの現物が必要とも。 

 そこから、構造解析して。

 理解して、発展、新たな物を構築する。そういう流れで行きたい。

 「研究のためにも、ね。」

 締め括りには、そうして。 

 二人は聞いて。

 「分かりました。」

 「決意したというのなら、我々は文句を言えません。」

 最終的には、同意する。

 「……ありがとう。」

 その同意に、私は感謝した。

 その、団欒によって、今日の予定が決まったなら、早速準備して。

 決まったとして。

 「……かばん、どこを探すのです?存在するのですか?」

 「パーク中を闇雲に探すのは、おススメしません。」 

 「!……ええと。」

 二人は聞いてきた。

 どこかに、手掛かりがあるならまだしも、そも、存在するのかとさえも。

 そこに関しては、私はぬかりない。

 言葉に迷うけれども。

 ヒントはあって。

 そのために私は、鞄から取り出したのは、誰かの手記。

 そう、二人が持ってきた資料の内の一つ。

 それを示しながら私は。

 「この中に、誰かが記しているんだ。ヒントになると思って。」

 そう言う。

 「それで、どこなのです?」 

 「場所は?」

 「それは……待って。」

 せがまれた。

 私は待ったを掛けながら、手記をめくり。

 あるページに手を止めて、二人に見せた。

 「「!」」

 二人は息を呑み、そのページを見る。

 そのページに書かれてあるのは、情報で。

 何でも、爆撃機に積んで輸送して、それをどこかで作動させるつもりだと。

 なお、その先は書いてはいない。

 「……かばん。」

 「……どこなのです?爆撃機って何なのです?」

 「!!あ……ええと。」

 だけど、これだけでは伝わらなかったか。

 二人は緊張から一転、理解できなく、首を傾げて見つめてきた。

 困り、私は言葉に迷う。

 その場所についてだけど。

 図鑑を見て、爆撃機って何だろうとして探していたら。

 似たような形の物があったのを思い出したのだけど。

 どうも、二人には通じなかったか。

 迷いつつ、私は言葉を選んで、悩みながら。

 「……ほら、あの山。火山の……。」

 「!聖域ですか?!」

 「何と……!」

 その場所を、言葉を紡ぐ。

 それだけで、二人はやっとと理解しては、目を見開いた。

 そう、二人が言うのは、聖域と。

 今私たちがいる島の中央、巨大な火山がある場所。

 以前、巨大なセルリアンを相手した時に。

 神聖な石板の力を使って、封じた場所。 

 二人は聖域と呼んでいるけれども、そこ。 

 その五合目付近に、らしい姿を見た記憶がある。

 もしかしたら、それに……。

 「……どうかな?」

 「……あそこは……。」

 「……大丈夫でしょうが……。」

 「……う~ん。」

 そうだからこそ、私はその案を提示したが。

 二人は、やや難色を示しているようでもある。

 あれから大分時間が経っているけれども、今はどうなのか。 

 二人の様子を知っているからこそ、私は悩ましくも思う。

 あれから、あんまり見に行っていない。

 今、そこがどうなっているのか、不安に感じてもいる。 

 「……まあこれも、何かの機会。」

 「最近、そこを見回っていませんし、いいでしょう。」

 「!」

 不安だからもあるが、何より、島の長として、二人は気になりもしている。

 それで、二人はこの機会にと、同意をしてくれそう。

 「……うん、ありがとう。」

 「それでは行きましょう。」 

 「お弁当持って行くのですよ。」

 「?!……まるでピクニックじゃない……。」

 その通り、同意をしれくれた。

 私は嬉しくて頷くけれど、ついでとばかりに言うのは、お弁当を持ってとして。

 私は耳にするなら、一転、呆れてもくる。

 危険かもしれないのに、のんびりした雰囲気だけど。

 それはらしくあって、私はやがて笑みを浮かべた。

 「しょうがないなぁ。」

 二人が言うならと、私は出発する前に、何か作って持って行くことにした。 

 

 簡単なバスケットに。

 色とりどりの野菜を挟み込んだ、サンドイッチを詰め込んで。

 移動には、ジャパリバスを使うと。

 「……あ、メンテナンスが……。まあ、いっか。」

 その時ふと思い出したけれど、メンテナンスまだだったような……。

 でも、そんなに長く動かすわけじゃないからと、私は一蹴して。

 運転席に乗るなら、ハンドルに手を掛けた。

 エンジン?が稼働して、振動を始めて。

 軽く暖機させると、今からでも動きそうな様子を見せてくれた。

 杞憂だったね。

 これなら行けると思うなら、私は運転席から顔を出して。

 「行くよ!」

 見渡して、言う。

 「分かりました。」

 「出発進行、なのですよ。」 

 さっと、静かに飛行しては、二人はバスの天井に降りる。

 「……ふふっ。」

 見て、そんな様子に、私はらしいやと笑みを浮かべて。

 バスを走らせた。

 聖域と呼ばれる、その山の麓に着くなら。

 だけど、それより先には、残念ながら、徒歩のようで。

 「……仕方ないね。」

 残念そうに溜息つきながら、私は止めて、降りる。 

 合わせて、二人も降り立った。

 もちろん、その手にはバスケットがあって。

 これから、ここを登るというのを察してくれているようだ。

 私は、らしいやと笑みを浮かべて。

 だけども、ここがあの場所であるからと。

 私はすぐに緊張して、見渡すことに。

 あの場所、巨大なセルリアンが出現して、私が食べられて……。

 そんなことがあるからつい緊張してしまうの。

 「……。」

 静かなもので。

 耳を澄ましたら、遠くの方で、木々の擦れ合う音。

 爽やかな風の歌、それだけしかなくて。

 あのような、巨大なセルリアンがいて。

 私や、……サーバルちゃんが襲われた場所とは思えないほど。

 「どうやら、セルリアンなんていないようですね。」

 「思ったよりも静かです。危険もなさそうです。これなら、余裕で行けますね。楽ちん楽ちんです。」

 「!……二人がそう言うなら。」 

 同じく、私と同じように周囲を見渡していたなら。

 二人は同じように言うことには。

 楽なものだとして。 

 私は、二人がそう言うならと、安堵を確信した。

 そうして、私たちは聖域の山を登り始める。

 

 道中、苦労することはなく、やがて噂の五合目へ。

 登る時、度々目にしたのは、煌めく立方体状の塊で。

 それがサンドスターの結晶であるのは明白だった。

 到着したなら、探すついでに、つい麓を見る。

 眼下には、森や、色々な建物が広がってもいて。

 ジャパリパークを見渡せる、そんな素敵な場所でもあった。

 本当のピクニックなら、それもよかったけど、今は違う。

 今は、SSDを求めるのが先。

 私は、麓を見るのをやめて。

 周辺を見渡していく。

 「……。」

 前見た時は、山に突き刺さっていた気がするけれども。

 それなら、分かりやすいのに、今はどうなの?

 「……!」 

 見渡して、見回って。

 と、視線の先に、巨大な三角形……だったと思われる形状の、航空機。

 あの時と同じように、山肌に突き刺さっている形のままだった。

 そう、それが、私たちが求めていた物。

 あの時と同じ形であったのは、幸いかな。  

 「かばん。」

 「!……うん。あれだね。探そう。」 

 同じように気付いたコノハ博士は、飛びながら指さしていて。私は頷きを見せた。

 求めていた物が見つかったとして、私たちは近付いて。

 「……。」

 朽ちた爆撃機見て、思うのは。

 さて、どこから探そうか、として。

 この中にありそうだけど、としても、どこから目星をつけようか悩む。

 「かばん、どこから探すです?」

 「手分けしますか?」

 「!」

 二人は口々に言ってくるなら。特に、ミミちゃん助手は、手分けを進言してきて。

 私はピンと来て、顔を上げて。

 手分けするということに、心は弾む。

 そもそも、大きいとは言っても、島ほど大きい、なんてことはない。

 三人いれば、手分けしても十分見つかりそう。

 「……それいいね。そうしよう。」

 「そうですか。ではかばん、あなたはどちらを探しますか?」

 「……正直、飛べないフレンズであるかばんじゃ、高い部分は無理だと思いますよ?」

 「!」

 そのアイデアに賛同を示して、頷くが。

 二人は、手分けするとしても、適材適所があると。

 手分けして探すのはいいけれども、ミミちゃん助手が言う通り、私は飛べない。

 だから、地上近くしか探せないのが、残念。

 そうなると、選択肢は狭く。 

 「……。」 

 その爆撃機を観察して、考えるなら。 

 コックピット部分が目に留まった。

 突き刺さって、すぐの場所なのだから、ここなら、私でも探せそう。

 「……うん。」

 決めて、頷くなら、また、二人を見て。

 「私は、あの突き刺さってすぐの場所を調べるから。二人は、空中から行ける場所を探して、お願い。」

 「分かりました。」

 「がってんしょうちのすけ、なのですよ。」

 「……ありがとう。」

 そう告げる。

 そうすると、二人は頷いて。その頼もしさに、私は嬉しくもなり、お礼を言う。 

 「お礼はいいです。お弁当が待ち遠しい。」

 「早く終わらせて、お弁当を食べるですよ。」

 「……。」 

 静かに飛翔しながら、口々に言うことは。

 どうも、お弁当を楽しみにしている様子であり。

 らしさに、私は苦笑してしまった。

 さてと。

 私が受け持つとした場所に行くけど……。

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