第11話
「お父さん、萌ちゃんはどうなるの?」
「あぁ、、あの家族は親族が疎遠だから多分娘さんは今の所で過ごす事になるだろう」
「そんな。。」
萌は母親の帰りを待ち望んでいるのだ。
「萌ちゃんにはこの事を知らせるの?」
「いや、流石にしばらくは無理だろう。
鑑識の結果もまだ出ていない」
他殺だと知ったら萌はどんな思いをするだろう。。
琴美は彼女のこれからが心配になっていた。
琴美は今日あった事を全て健二に話した。
誰かがハンバーガーを頼んでいた事、母親に若い男性の知り合いがいて、度々出入りしていた事。
健二はその男性の事は調べはついていて、明日署まで来てもらい話を聞く予定だと言う。
また、その男性がハンバーガーを注文した人物なのか明日確認すると約束した。
「お前が娘さんを心配する気持ちはわかるが、しばらくはこの事件に関わらない方がいい。お前の身辺も危ないかも知れない。」
健二は琴美に厳しく言って聞かせた。
父親として心配をしている健二の気持ちが痛いほどわかった。
朝早くに健二は出かけて行った。
琴美は写メで撮っておいた昨日の脅迫状を眺めながらハーブティーを飲んだ。
(この文章、やっぱりおかしい。。何か文字が隠されているような感じがする)
どれぐらい考えていただろうか、先生の所に行く時間になっていた。
(くれぐれも身辺に気をつけるように)
健二の言葉を思い出した。
私が先生の所に行く事で先生や陽子に何かあったら。。
琴美は出かける事を躊躇した。
とにかく電話をしてこの状態を説明しよう。どうするかその後決めよう。
彼女はそう思い先生宅に電話をかけた。
「あら、琴美。丁度よかった。今電話しようと思っていたのよ。
彼ね、患者さんから治療の依頼があって急いでタクシーで出て行ったの。しばらく戻らないと思うわ」
そうなんだ。
琴美は少しほっとした。
そして昨日の事を陽子に話し、ひょっとしたら私が先生宅に行く事で迷惑をかけるかも知れないと告げた。
すると彼女は電話の向こうで笑いながら
「そんな事心配しないで。
家は大丈夫よ。
琴美は家族みたいなものだもの」
そう返事が返ってきた。
琴美は陽子の優しさに目を潤ませた。
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