第10話
琴美はこの謎めいた文章を見て事の重大さを改めて感じた。
指の先を切ってしまったのでドクンドクンと痛みが走るが、そんな事はどうでも良かった。
「琴美、どうしたんだ?怪我でもしたのか?」
いつの間にか健二が帰ってきていた。
彼は琴美の指が血だらけになっているのを見て心配して聞いた。
「お父さん、これを見て。脅迫状が届いたの」
封筒が彼女の流した血で汚れていた。
自分の指の事よりも広げていた便箋を真っ先に彼に見せた。
「なんだそれは」
健二は脱いだスーツを椅子に放り投げ、ワイシャツ姿のまま琴美がいるソファーに並んで座った。
「カッターが入っていたのか?酷い事をするもんだ」
「お父さん、これは脅迫状だと思うんだけど、文章がおかしくない?
カタカナとひらがなが混じってる。いくら新聞紙の文字を切り取って貼ったにしても、こんな文字の貼り方するのかしら」
確かに琴美が言うように便箋に書かれている文章は日本語になっていない。
何か謎めいた文にもとれる。
徹底的に手書きを伏せた形を作りたかったのだろう。
指紋鑑定が出来たらいいのだが、、
健二は頭の中で考えでいた。
「この脅迫状と萌ちゃんのお母さんの死には何か関係があるの?
私、萌ちゃんにお母さんは大丈夫だからって励ましてきた所だったのに。。」
琴美は萌の事を思い出して落胆した。
「実は行方不明の母親は家の庭で事故死となった猫と同じ状態で見つかったんだ。
首に少しの傷、口からは泡を出している状態で」
琴美が恐れていた事が起こってしまったのだ。
彼女は真っ青になった。
「あの猫はこの母親の家の飼い猫、死に方も一緒、そしてうちに送られて来たこの脅迫状の内容。
全ては同一人物だと言っていいだろうね」
健二は険しい顔で言った。
そして、しばらく考えてから彼は琴美に注意した。
「琴美、これから先は充分気をつけて行動しないといけない。
この事件は私達にも関係している様だよ」
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