第9話

「お父さんどうして。。」

琴美はショックで殆ど声が出てこなかった。


「琴美、落ち着いてよく聞くんだ。

今その事でバタバタしているから帰ってから詳細を教える。

お前は早く自宅に帰ってゆっくりするんだよ」

健二はそう言うと急いで電話を切った。


さっき萌ちゃんにお母さんは大丈夫だからって話をしたところなのに。。

私の嫌な予感が当たってしまった。

こうなってはあの猫の死体とお母さんの事件には何かしら関係性があるとさえ疑ってしまう。

それにあの萌ちゃんが話していた男性の正体。。


琴美は頭の中がモヤモヤしていた。


何処をどう歩いてどれぐらいの時間がたっていたのだろう。

気がついたら琴美は自宅の前まで帰って来ていた。


彼女の足は棒の様になっていた。


重い足を引きずりながら、ポストから封筒を取り出し家の中に入った。


とりあえず心を落ち着かせようとハーブティーを作りソファーに腰掛けた。


日頃から疲れた時はハーブティーを飲む事にしているのだ。

琴美はそれを飲みながら一息ついた。


色々な事が頭に浮かんでしまう。

でも今は健二が帰って来なければ詳しい情報はわからないのだ。


そう言い聞かせながら、彼女はさっきポストから持ってきた封筒をテーブルの上に並べた。

それを眺めていると、一通の封筒が目に止まった。


宛名書きは紙にパソコンで書いてあり封筒でのり付けしてあった。

裏を返してみると送り主は書かれていなかった。


琴美はその封筒を手で破った。

「痛い!」

彼女の指から血が溢れてきた。

よく見ると封筒の先の部分にカッターが貼り付けてあったのだ。


ティシュで指の血を押さえながら慎重に封筒の中身を取り出した。


中から1枚の便箋が出てきた。

琴美は便箋を広げて見た。

「これは。。」

便箋には新聞紙の文字を切り取り一語一語貼り付けてあったのだ。


モうイエヲうろつくな タめにナらない スぐてをひケ テオクレになるまえに


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