第6話
次の日琴美は行方不明の母娘が住む家へ行ってみた。
琴美の自宅からは電車で1時間程かかった。
駅からは少し遠く、古いが造りが洋風の一軒家だった。
琴美は家の周りをぐるりと一周してみた。
母親がまだ行方不明ならば、中には誰もいないはずだ。
一応琴美はインターホンを鳴らしてみた。
三回程鳴らすが返事はない。
やはり母親はまだ帰っていないのだ。
(此処にあの猫も住んでいたのね。)
琴美は亡くなった猫の事を思い出していた。
玄関先で立っていると、ほうきを持って1人の女性が声を掛けてきた。
「この家に何か?」
60歳ぐらいのこの女性は、不審な顔をして琴美を見ている。
どうやら隣に住んでいるようだった。
「すいません、私この家のお母さんが行方不明みたいなので心配になって見に来たんです。」
琴美は咄嗟に答えた。
「このお宅の知り合いの方なのね。私も娘さんを置いていなくなるなんて信じられないのよ。昨日は警察が来たりとかして萌ちゃんも心配だし」
女性は言った。
娘さんは萌ちゃんって言うのか。
「あの、最近何か変わった事はなかったんですか?ストーカーとか不審者とか」
琴美の質問に女性はそんな事は無かったと首を横に振った。
しかし、あっと思いついたように言った。
「最近宅配便の回数が多かったわ。宅配といっても普通の宅配便ではなく、えーっと英語の文字で自転車で運んでくる。。」
「Uber Eatsですか?」
「そう、それ!1日に二回とか来る時もあったわ。以前はそんな事なかったんだけど。」
「食べ物とか注文をして持ってきて貰う人が増えましたからね。」
琴美は女性の会話に相槌をうった。
立ち話が長くなりそうだったので、琴美は自分から頭を下げてその場所から去ろうとした。
その時、会話になっていたUber Eatsの男性が自転車でやってきた。
「あの、注文の品を届けにきたのですが。いらっしゃいますか?」
男性は琴美達に聞いた。
留守だと話すと、男性は首を傾げて困った顔をした。
「注文を受けてきたんですが、、おかしいなあ。」
「今?だって昨日の昼過ぎぐらいからこのお宅は留守のはずだけど」
琴美は男性に言った。
「でも先程男性の方から電話で注文を受けましたよ。いつもの方だから分かります。」
琴美は一体どうなっているのか分からなかった。
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