第5話

琴美は今日友似先生が言っていた内容を健二に話した。

そして、琴美自身もあの猫の事故死が他殺だったのではないか?と考えていたのだと告げた。


健二は着ていたスーツを脱いで、琴美が用意した晩御飯を食べながら行方不明の母子家庭の内容を話しだした。


「確かにお父さんも今回の行方不明と死亡した猫の関係が気になってはいるんだ。

ただ、その自宅は此処からはかなり距離があるんだよ。それから娘さんと言っても

まだ小学2年生なんだ。

彼女の話では、母親は家を留守にする時は必ず行き先と帰宅時間は守る人らしい。

最近猫が居なくなって探しに行く事が多かったらしいから、ひょっとしたら遅くにでも帰ってくるかもしれないが。」


親族とは疎遠のようなので今日は保護施設に預かってもらっているらしい。

飼っていた猫と母親まで戻って来ないから彼女もかなり動揺していて、

県警も落ち着いてから詳細を聞く流れだという。


可哀そうに。。琴美は思った。


「でもお父さん、その行方不明のお母さんがとても心配だわ。

お父さんも言ったようにあの猫の死は行方不明のお母さんと何か関係しているかもしれない。ひょっとしたら猫は実験台にされたのか、見せしめなのか。。」

琴美は興奮して言った。


「おいおい、そんなに想像を膨らませるべきではないよ。

猫は逃げ出して此処まで来て事故に合ったかもしれないし、母親も今のところ事件性は薄いと県警では考えているんだ。」

健二は答えた。



部屋に戻って琴美は陽子に電話をした。

彼女に今の内容を話し、明日その自宅に行ってみようと思うと告げた。


陽子はくれぐれも気を付けてと琴美に言うと、何かあれば手伝うとも言ってくれた。


「陽子ありがとう。先生にも宜しく伝えてね。」

琴美が言うと


「わかった。彼は今散歩に出かけているから伝えておくね。

時間は決まっていないけど、いつも1時間程で帰ってくるわ」

陽子は答えた。


(先生はいつもこんな遅くに1人で出かけるのだろうか?)

琴美は先生の行動が何故か気になった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る