第4話戦線協定
「-面白い、それなら私をいれても?」
20代後半くらいの、性別不明の人間(ワイシャツとスーツ姿から推測して多分男)
がやってくる
「いや、ねー埴岡さん、いつも結がお世話になっております。」
「あなたは、、、、」
埴岡は薄く笑った「なるほどそういうことなら、手を貸していただきましょうか
ーー32
「ばっら。ばら」
ーー機械を切り刻むのが速すぎるから
天王寺は、埴岡とは知り合いだ
あの時、温泉旅館に連れて行ってもらえるように取り計らったのがそもそも
天王寺だからだ
まぁ、もっとも活躍期間が短すぎた故その能力そのあだ名も広まってないが
ロボの中から何かが出てくる
「やはりーー」
それは、大型の巨人めいた何かだった
「埴岡さん、ここは任せて先に、工場の衛生室の方を取り押さえてくれませんか
?おそらくその中に、手術用の道具があるはずですーーそれと先に、ブレーカーと
監視している機械があるはずですので、そちらをーー健闘を祈ります
では、先に」
ーー「ああ」
埴岡は走り出した、おそらく、今、こいつと因縁があって戦えるのは
天王寺か結だけだろう
だがーー結よりも天王寺のほうが因縁深いそれに、結はともかく天王寺は敗けないだろう
ーー埴岡は出口に向かって走り出す、否、それは入り口ーシークレットルームへの
入口
「がろおおおお」
大型の巨人は暴れだす
「やれやれ、操られてるんだねーーおすわり」
大型の巨人が、攻撃の手を止める
「ん、あ、あ、ああ、あああああああああ」
それを痛ましげにみながら天王寺博士は告げる
「--今まで、救いに来れなくてごめんね」
「ああああああああああ」
大型の巨人が、いや、それに化けている存在が涙を流す
おそらく、全身に機械を埋め込まれているのだろう、さっきのはただの前哨戦
体の外に出てた機械をはぎ取っただけ
「今、楽にしてあげるから」
ーー実を言えば、大人たちはともかくとして
妹や弟たちならば、天王寺が言うことを聞かせてくれるという可能性もあった
なにせーーあの天王寺だ
天王寺は面倒見がいい
だが、だめだーー天王寺では、確かに説得はできるだろうが時間がかかる
「、、、言いたくないけど血かな」
「え、なんていったのお姉ちゃん」
「いこう」
弟、妹たちをまとめ走るおぎゃーおぎゃーー
赤ん坊が泣いている
しょうがないーー泣き止むといいがと思い
服の襟を下げ、赤ん坊に乳首を吸わせる
「、、、、、、、、、、、、、」
生まれて初めての乳首吸いに若干変な気持ちがしなくもなかったが
今はそんなことを言っている場合ではない
幸いというか、未発達の胸でも出るものは出るのである
赤ん坊の口から白い液体がこぼれる
その背中をトントンと叩いて
(、、、あれ、お乳でた、、、てっきり出ないかと思ってたのに何も食べてないから)
まぁ、ほかにもいろいろ思うところはあるのだが
(赤ちゃんあったかいなー)ぐらいの気持ちで流しておく
人里まで、あと少しかかるーー下半身が血に染まっているうえに、走る前にごたごたあったせいで体力を消耗している結としては早めに通り過ぎたかった
ーーへその緒はまだ切っていない、、、というか切る時間もなかったというのが正解だ
「お姉ちゃん、抱っこさせて」
「今無理、へその緒とってないから」
っていうか、産湯もまだだしーー破水、出産からの全力ダッシュって相当きつい
(--でも、男だろうがんばれ自分自分に負けるな)
ーーそんな結の脳裏に、出産をして母乳を出せる男が果たしてこの世にいるのだろうかという気持ちもなくはなかったけれど
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