目がしみるくらいの

近頃はもうホントに、なにかっちゃ、


『リアルじゃない!』


だのなんだの、細かいディティールに煩いのが増えたな~って感じる。


いや、もしかしたらそういうのは昔からいて、でもあんまり意見を発信できなかったから目立たなかっただけかもしれないけどさ。


いずれにせよ、フィクションに対して『リアルさ』を求めすぎなんだよ。


そのくせ、


『フィクションで現実の世知辛さとか見たくない!』


とか言っちゃうんだよ? どっちなんだよ!? リアルなのがいいのかそうじゃないのか!?


私は個人的には世知辛い描写も、『リアルなんてクソ喰らえ!』な無茶苦茶な描写も、実は嫌いじゃない。


『リアルじゃない部分が気になって話に集中できない』


とか言うのもいるけど、そんなの、そもそもその作品が自分の好みに合ってないだけなのを作品の所為にすりかえるための詭弁としか思えない。


だって、


<現実には有り得ない存在>


が出てくるだけでもうそれはリアルじゃないじゃん? 


巨大ロボットとかモンスターとか異能を持った美少女とか正義の殺し屋とか、一ミリも<リアル>じゃないでしょ。


リアルであることが大事なら、どうしてその時点でアウトじゃないのさ?


リアルなのが見たいなら、それこそノンフィクションでも読むか、歴史の書物でも読むか、ニュースでも見ときなさいよ。


もっとも、ノンフィクションもそれなりに<演出>が加えられてたり、歴史の書物もそれを作る人の<解釈>が加えられてたり、ニュースですらそれをまとめた記者の主観によって情報の取捨選択が行われてたりで、実は<本当のリアル>じゃなかったりするけどさ。


だから、他人を通してる時点でもう、それは<現実リアル>じゃないんだよ。どこかの誰かの感性のフィルターを通した<情報>でしかない。


<本当のリアル>なんて、自分が、直接、その場で経験したものしかないんだ。


と、


<リアルと称されるものの解釈>


をリアルに論じたら、めっちゃくちゃメンドクサイものになると思うんだよね~。


で、他人がそういう解釈に拘るということ自体が<現実>なんだよ? そういう解釈を延々と説明されて描写されて、それで面白いと思うの?


まあ、それを面白いと感じる人も世の中にはいるかもだけどさ。


リアルな中世ヨーロッパを舞台にした物語をリアルに描くとしたら、当時はウンチやオシッコを窓から道に捨ててたとかいうのも描写する必要あるんじゃないの?


それでもって、目がしみるくらいの悪臭に満ちたウンチまみれの場所で主人公とヒロインが愛を語らい熱い口付けを交わしたりするんだよ?


そんなもんのどこがロマンチックじゃ~い!!


って話だよ。


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