愛酒




 「勧酒」、(酒を勧める)という中国の唐の代の詩人である李白(りはく)の漢詩があって、これを翻訳した井伏鱒二の詩が有名・・・だと思う。


 うろ覚えですが、五言絶句という形式で、「この杯を受けてくれ どうかなみなみ注いでおくれ花に嵐の例えもあるぞ サヨナラ、だけが人生だ」

となっていたと思う。


 これはつまり友人と別れの献杯をしている風景なのだが、井伏鱒二という人は、山口瞳さんによると「日本一文章のうまい人」だったそうで、この翻訳も「海潮音」の上田敏みたいに「原作以上」なのかもしれない・・・

とか思う。


 この李白という人が、愛酒家で有名で、「白髪三千丈」みたいな言い方ですが、民衆が彼を称えて、「李白は酒一斗、詩百篇」と号したほどの、酒豪だったらしい。

 ドランクドラゴンみたいな人だったのだな?笑

 船に乗っていて水面に映った月を手で掬おうとして溺れた、(当然酔っている)

という伝説があるくらいで、結局大酒が祟ったという死に方をしたらしいといわれている。

 他にも、酔っ払って寝ているときに皇帝からお呼びがかかったので、周りの者が担いでいったのだが、眠りこけているので、皇帝に靴を脱がせたりした、などという逸話もある、そういう不敵なくらいの奔放無頼な吞兵衛だったらしい。

 俗に杜甫は詩聖、李白は詩仙、と称する。(だったかな)

 まああんまり深くは知らないが、要するに李白も酒がなければただの人だったかもしれず、酒精こそが彼のインスピレーションの源泉で、酒が幾多の珠玉のような

漢詩を李白に編ませた・・・のだろうか。

 僕も愛酒家の一人として、まず無理ですが李白の漢詩などは全部暗唱したいなあ

くらいに思っている。

 この李白とかヘミングウェイとかは愛酒家の鑑みたいな文学者かと思いますが、

大体が酒がないと原稿が書けない、という文人墨客?は多いらしい。

 エドガー・アラン・ポーなぞはほぼアル中だったかという印象がありますね?

 ジョンレノンになると、「人生(現実?)なんてドラッグとうまくやっていけない

輩のためにあるのさ」とドラッグを礼賛している。ヒッピー全盛のころの話かな?

とにかく、唯一の合法ドラッグ、処方箋のいらない比較的安全なドラッグとして、

酒は有史以来不断に、普段に、人間の幸福やら不幸やらに深くかかわりあってきたのだと思う。僕も依存症なので不断に、普段に、呑んでいます。呑みっぱなしに近い・・・

 で、酒の功罪ですが、大体が世の中に豪快に酒を呑む、というのはあるが、豪快に安定剤を飲む、とかヒロポンをやる、という言い方はふつうしない。

 酒はハレの日の不可欠なアイテムで、ストレス解消と心の慰安に有効に働いて、


さらには発酵飲料としての健康増進効果や血行を良くしたり筋肉を緩めて疲労を取り除き、寝付きもよくして得くれる重宝な存在なのですよね?

 コンビニへ行ってもアルコール飲料は四分の一くらいのスペースを占めている。

 みんな酒の効用については言われなくてもよく知っているのです。

 著名な学者である外山滋比古氏によると、「仏壇や神棚に供えるものは健康にいい」そうで、御神酒といって祭壇には酒がつきものだから、本来これほど健康にいいものはないということになるかな?酒は百薬の長、ともいいますね?実際酒でトリップしたりトランス状態になれるということが、どれだけの悩める人間たちの傷ついた魂の救いとなってきたことか、というと、ちょっと計り知れないくらいの恩恵を、酒は人類に齎してきたと思う。

 アルコールに関して僕はずうっといろいろ悩んでいて、レグテクト、などという飲酒欲求を抑えるという薬も飲んでいるけれど、適量で済むならたぶん酒ほどに素晴らしいものはあんまりなくて、酒は人類への福音、神の恩寵、ギフトそういっても過言ではないと思うのです。

 だから愛酒の日、万歳と言っておきたいと思う。祝日にしてください。

 その日には当然乾杯してお祝いするわけですね!w


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