二話
美咲は友達と2人で来ていた。確か、クラスメイトだったと思うけど……
「まさか、此処で2人に会えるとは思わなかったよー」
「偶然だなー」
「……そうだな」
「あ、そうそう!この子は私の友達で、今日一緒に帰ってたの!クラスメイトだから知ってるよね?」
「羽咲 花織です。よろしく。」
「よろしくな!」
「…よろしく」
羽咲さんは俺を見ると驚いたような顔をした。
「クラス1の変人………」
「ではないな」
すぐさま否定する。
え、俺ってそんな風によばれてるの?
「…え?でも、噂では入学式に奇声を上げて、職員室に連れていかれたとか聞いたけど……」
「あれは……色々事情があるんだ。望んで奇声を上げたわけではない。」
否定できない……
「あ、あはは……そうなんだ……」
この人、絶対に信じていない。
「そ、そうだよ!しゅ…日下部くんはそんな事しないよ!」
おお。クラスの頂点が援護してくれている。
「そうなの……?」
「そうだよ。その証拠に、今まで一度も変なことしてないだろ?」
涼介まで援護してくれている。
「………まあ、2人がそう言うんならそうなんだろうね。」
僕の信用度が!?
それから暫く談笑して、美咲達は帰っていった。僕は基本的に相槌を打つだけで、会話には参加していない。
「お前、本当に口数少ないなぁ。そんなんじゃ彼女とか出来ないぞ?」
「……良いんだよ。出来なくても。」
僕にそんな物を作る余裕なんてない。
自分の事で精一杯だ。
「お前はその無口を直せば、優良物件なんだがなぁ……」
「………」
「ブフッ!……お前…コーラにマスタード入れただろ……」
「フッ……さっきの仕返しだ。」
15分後、僕達も店を後にした。
店員さんが笑顔で見送ってくれたのには元気が出た。
2人で帰り道を歩き、道が分かれるY字路に着く。
「じゃあな。」
「おう。また明日」
別れの会話もそこそこに、それぞれの家に向かった。
「……今日は疲れたな…」
すっかり暗くなった空を見上げ、そう呟いた。
今日も平和だったと1日を振り返っていると、よく知った声が聞こえて来た。
「やめてください!」
何やら不味そうな感じだったので、声がする方向に走り出した。
―――――――――――
声は公園から響いてくる。恐らく美咲だろう。……で、後の2つの声はナンパか?
「本当に迷惑です!やめてください!」
「良いじゃん、俺たちと遊ぼうぜ?」
「ちょっとだけで良いからさ」
と、そこで美咲が僕に気がついた。
「修!助けて!」
「あぁ!?誰だテメェ?」
「邪魔すんじゃねぇぞ!?」
久しぶりに名前で呼ばれたな……
「あんたら……どう見てもナンパだよな?」
「…やんのか?」
「……その気は無いけどな。」
「生意気な……ボッコボコにしてやるよ!」
………人の話を聞けよ。
「おらぁ!」
………近くに居る方はストレートパンチか。
奥の方は……あいつは何か武道をやってるな?動きが洗練されている。
まぁ、僕に勝てる奴なんて人類に居るはずがない。
1人目のパンチを人間として以上な程の速さで躱し、腕を掴んで投げ飛ばす。
「うおわぁっ!?」
2人目はこっちの動きを見て、警戒して距離をとった。
「良いパンチだったな。」
後ろで伸びているチンピラAに声をかける。
結構速さがあって鍛えているのがわかった。
そして、前に向き直る。
チンピラBは、さらに眼光を鋭くしながらこちらの出方を伺っている。
「………お前、何か武道をしているのか?」
チンピラBが聞いてくる。
「……何も?」
「チッ…答える気が無いってことか。」
いや、本当なんだけど。
……取り敢えず、埒が開かないから倒すか。
眼を解放し、アスファルトを蹴って一瞬で間合いを詰める。
「なっ!?」
顎を軽く打ち、気絶させる。
……相手が悪かったな。
チンピラが気絶している事を確認し、美咲に向き直る。怪我してないかな?
「ヒッ!?」
「………………」
ある意味予想通りの反応に嫌気が差し、すぐさま踵を返して家路に着いた。
美咲は、僕の姿が見えなくなるまで一歩も動かなかった。
◇◇◇◇◇
さて、次はサブヒロインが出てきます。
全ての兄の理想を結集いたしました。
それと……お星様を恵んで下さい………
切実な願いです………
次回もよろしくお願いします!
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