第3話 異世界さん、こんにちは
待って。待って。
最後に聞き捨てならない言葉を言われて、私はびっくりした。
「
私の
ともあれ、白い世界はやがて照明を落としていくかのように暗くなった。
上を向いているのか横を向いているのか分からない。
私は不安に押しつぶされそうになったが、すぐに感覚が戻ってきた。
――匂いがする
それと青々とした草の香り。
恐る恐る目を開ける。どうやら私は横になって
上体を起こすと、辺りは花が咲き乱れる草原であることがわかった。
花は赤色、白色、青色と様々な色があるものの、どれも
神様の言葉が気になったので、私は自分の身体をチェックした。
手は日焼けをしていない
胸は…?前よりも少し大きくなっている気がする?
「これもあの神様の趣味?あいつ、エッチだわ。」
神様を「あいつ」呼ばわりもどうかとは思ったが、これくらい言わせてもらおう。でも、前世では
次に立ち上がってみる。
体重は、こちらも転生前とさほど変化はなさそう。
そして肩から流れてきた髪が…
「金髪!?」
あの神様は
会社の飲み会で
「どこかで鏡を見られたらいいのだけど…」
キョロキョロと辺りを見回したが、何もない。いや、奥の方で何かが光った。
近づいてみると、それは直径20メートルくらいの池だった。風が吹いていないので、池は全く
池の
透明度が高すぎたせいで、鏡のように
肌は白人と言うよりは、日焼けをしていない
しかし瞳の色は濃い目のブルー。
顔立ちは
さて、ボディーチェックはこれくらいにして、次は魔法というものを試してみようじゃないか…と思った。
何がいいだろう…。火の魔法で火事にでもなったら大ごとだし…って、そもそも何の魔法が使えるの?私?
いきなり
―――魔法ってどんな魔法があるの?
―――その魔法ってどうやって使うの?
これはまずい。
念じるだけでいいのかな?呪文とかあるのかな?
呪文なんて何一つ知らない。
「魔法が使えない魔女なんて、ただの女の子だよ…」
がっくりと肩を落とす。
でも、物は試し。やってみて何も起きなければ誰かに学べばいい。
…水、そうだ。
魔法で水を出せないだろうか?
水なら
万が一、誰か近くにいても迷惑をかけることはないだろう。
それでも、念には念を入れて、上空に向かって私は念じた。
―――水よ、出ろ!
何も起きない。…うん、知ってた。
そんなに世の中都合よく回るわけがない。
「水よ、出ろ…かぁ。なんともベタな…って、え!?」
私が声を発した
「え?なに?こ、これ…マズくない?」
私の心に
「ど、どこかに飛んでけぇー!」
私が叫ぶと、巨大な水球は勢いよく上空に向かって飛んで行った。
水球の見た目はぐんぐん小さくなっていくので、かなり遠くまで飛んで行ったのだろう。いったいどこまで飛んでいくのやら…と眺めていたら、不意に
いやぁ、危ない危ない。
まさかあんな大きな水球が出てくるなんて…。誰かに見られていたら、大ごとだったよ。
初めて使う割には大きな魔法だった。
そんな大きな魔法を使うつもりはなかったのだけど…。
そして私は思い出した。神様へのお願いを。
魔法の強さは魔力という能力値に比例している。
そして私の能力値は最大値である!ということは、つまり私は魔法を放つたびに異世界最大の魔法を
まずい、これは非常にまずいことになった。
これでは危なくておちおち魔法を使えないじゃない…!!
「魔法が使えない魔女なんて、ただの女の子…あれ?デジャヴ?」
私はもの
急に空が暗くなった。
「あれ?天気でも崩れてきたかな?」
先ほどまで青空だっただけに不思議な思いで私は空を見上げた。
遠くの空は晴れている。自分のいる真上の空だけが暗い。
―――ポツ、ポツ
南国のような
恐らく、私の予想は的中しているだろう。
このスコールは、私がさっき上空に向かって放った水魔法のなれの
あれ、数十メートルの水球だったから、このスコールとんでもない雨量になるんじゃ…。
予想は的中、その後の私は池に飛び込んだのかというくらい全身ずぶぬれになってしまった。
もうヤだぁ…。
本心は大声をあげて泣き出したかった。今は16歳なんだから泣いてもいいのだろうけど、元24歳のプライドがそれを許さない。
それよりもこの後だ。
まずは生きていくための
衣服はどこかで乾かしたいほどのずぶ濡れ。
食と住はまったくアテが無い。
火の魔法で衣服を乾かそうか…いや、ダメ。辺り
どこかで脱ぎたいけれど、安全な場所が全くわからない。
困った。本当に困った。かけっこのよーいどん、でこけた気持ちだ。
「クシュンッ」
―――まぁ!大変!!
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