第4話 お嬢さまとお爺様
ちょっと!ちょっと!
馬車の座席から外を眺めていた女の子が、隣に座る
「どうかされましたか?お
お
「
「はて、
「もう!私、目は良いんだから。あそこに人が立っているのよ。
お
「しかしお
「あら、
お
「すまんが、あちらの方に寄り道してくれるかのう?」
ブフッブフッという鳴き声が聞こえる。
鳴き声の主は馬車の馬のようだ。
それと馬車の車輪が回るゴトゴトという音も。
次第に音が大きくなり、私はその馬車が自分に近づいていることを
ずぶ濡れで進退
念には念を入れて
馬車は私の目の前で止まり、初老の男性と中学生くらいの女の子が降りてきた。
初老の男性は良く整えられたグレーの髪に豊かな
服はスーツと言うよりはタキシードに近い。そしておっかないことに、腰にはサーベルを吊り下げている。
女の子は腰の長さまであるプラチナブロンドのストレートヘアーにエメラルドグリーンの瞳。顔はまるでお人形さんのように可愛い。
服はAラインのドレスだが、レースや飾り気は少なく、きっとこの女の子の普段着なのだろう。
なんというか、
そして私はふと思った。
――あれ?言葉って通じるのかな?
二人で何やら話している風だが、聞こえてくる会話の内容が全く分からない。
これは、またまたピンチなのではなかろうか…!?
「
「確かに、これは早くお召し物を変えた方がよろしいですな。」
「見たところ、お着替えは持っていなさそうですし、助けてあげなきゃ。」
という会話を二人はしていた。
そして、
「初めまして。私はレフィーナ・オルデンブルクと申します。あなたは?」
目の前のずぶ濡れの女性はキョトンとしている。
何せ
「あzsxdcfvgbhんjmk、l。;・:¥?」
と、こんな感じに聞こえていたのだから。
「困ったわ、
「お
そう話す二人の会話が、
ん?
それはさておき、どうやら私は警戒されている気がする。
「あ、あの。私は
まぁ、
いや、そもそも私の言葉、通じているのかな…?
「ユメ…さん?」
女の子が発した言葉は、今度は
どういうことだろう?急速に言葉が
そして私はまたもや思い出した。
そうだ、
きっとこの世界の言語を猛スピードで
「は、はい。ユメです。あの…お二人は?」
「
スカートの
「レフィーナ・オルデンブルク…
「うふふ、
レフィーナに紹介されたウィリアムは深々と頭を下げた。
「初めまして。オルデンブルク
「そうそう、そのままでは風邪を引いてしまうわ。
そんな恐れ多い!と言いかけた私の
ここまで言われては、有難く
馬車の座席の下は引き出しになっており、そこには替えの衣服の他、出かける用の道具が詰め込まれていた。
ウィリアムが手際よく服とタオルを準備する。
ここでまた私は困難にぶつかった。
――この世界の服の
転生したときに着ていたこの服も、どういう構造なのか。どうやって脱いでいいのか分からない。
困った私は、レフィーナにひそひそと話しかけた。
「レフィーナさん、ごめんなさい。先ほどの雨で身体が冷えてしまって上手く動かせないのです。服も貼りついてしまって…。お嬢様にお
自分で言った通りだが、こんなこと
しかし、
あれ?でも
私の不安を感じ取ったのか、レフィーナは笑顔を浮かべる。
「ええ。そうね、メイドが
まずは腰のコルセットのようなものを外す。
普通は
次いで、肩で吊っているスカートを脱ぎ、最後にシャツのような服を脱ぐ。
脱いで初めて気づいたのだが、ブラジャーとショーツは普通に前世で使っていたものによく似ている。パンツの両サイドが
タオルでひととおり身体を
さすがにレフィーナの下着まで借りるというのは抵抗があったが、
ただ、その…ブラはカップのサイズが合わなくて(レフィーナはAくらいかしら?)スリップのようなものを借りることにした。
レフィーナの替えの服は
着替え終わるとようやく気持ちが落ち着いてきた。
「しかし、
「あ、ははは。そ、そうですね。」
その
「ねえ、ユメ。」
レフィーナが何か聞きたそうに問いかける。
「はい?」
「ユメはどこの
あー気になるよね。
異世界人ですよ、と言おうとしたとき叫び声が聞こえてきた。
――なんてこった!!
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