第26話 『海VS山』

 部活にて、いきなり一悟が口を開く。


「海行きたくねぇか?」

「山の方がいいかな。身の危険を感じるからね」

「あ? それ俺の事言ってんのか?」


 ジリジリといがみ合う一悟と翠華。

 バッと僕と姫初の方を向くと、


「どっちのがいい!?」

「……そうだね」


 僕と姫初は顔を見合わせる。

 そして、一緒に口を開いた。


「山かな」

「海です」

「「……え?」」


 あまり僕達の意見が分かれることはないが、今回はわかれてしまった。


「……海のがいいの?」

「え、えっと……」


 正直、僕は泳げない。

 だから嫌なんだけど……そう思っていると、一悟が僕の肩を掴んだ。


「水着、見たくねぇの?」

「……え?」

「五月女さんの水着姿……あれってもはや下着だぜ?」

「ちょっ!」


 待って待って待って!?

 それは……見たい、見たいけど!? いいのかなー……と思ってちらと姫初をみると。


「……」


 自分の胸元を見て、むーっと唸っていた。

 貧乳であることが悩みなのか、でも僕はそんなこと気にしない。てゆーか見たい!!


「ほーら、玲紋くんも山がいいって」

「海にしよう! ね、姫初さん!」

「へ!? は、はい……いいんですか?」

「もちろんだよ。僕も海がいいなって今思ったから」


 言うと、僕と姫初はグッとサムズアップ。

 ぽかんと口を開けた翠華に寄っていく一悟は肩を回して。


「お前だけ、山だな」

「……あんまり胸を注視しないでくれよ?」

「お前俺をなんだと思ってんの? あらかじめ言っとくと見るよ?」

「素直だねぇ」


 やれやれと首を振る翠華。

 これで決まった山行き。だけど翠華は姫初の方に近づくと。


「ボク、Dカップあるんだ……君は?」

「え、A……B、Bカップです! えぇ、Bカップなんですよ」

「見栄張りますねぇ。ふふ、水着姿、楽しみにしているよ」

「〜〜〜!」


 僕と一悟の知らない間に、二人は火花を散らしていた。


「一悟って大きい胸か小さい胸、どっちがいいと思う?」

「当然大きい方だろ」

「どっちでも良くない? 小さくても性格が良くて可愛かったら……いいと思わない?」

「ばっか、大きくないとできないこともあんだろ」


 姫初と翠華、僕と一悟――いろいろなところで火花を散らす部室は、もはや燃え盛っていた。


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 5月から新連載を投稿するつもりですので、興味ある方は是非読んで感想をお願いします

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