第25話『試験』

「今日からテストだね。姫初さんはどう?」

「いつも通りにいけば学年十位以内は狙えると思います」

「僕もそれくらいだなぁ。じゃ勝負だね!」

「ふふっ、負けませんよ?」


 SHRの始まる何分か前、部室で僕達がそんな話をする隣で気落ちする一悟。


「この前の体育、やり返してくれてありがとう。話だけだけどスカッとしたよ」

「あ? んなのどうでもいいよ。俺は常に先だけ見て生きてんだからよ」

「で、テストが目前に迫って気落ちしていると」

「わかってんじゃん」


 ハブられた僕達は、いつも四人で固まっている。

 一悟とは前々から話していたからテスト結果は予想つくけど……。


「翠華さんはどうなの? 頭良いの?」

「ボクかい?」


 なんとなく、翠華の順位は気になる。

 多分性格から来るヤツだろうなぁ。


「ま、結果を見ればわかるさ」


 *


 テスト返却のあった日の放課後、部室に集まった僕達は話し合っていた。


「どうだった?」

「私、学年八位でした」

「僕は七位だった! ……うへっ」


 喜ぶ僕を刺すような視線で見てくる姫初。

 これは本気で勝つ気だったんだ……てか、一点差だけどね。


「でもさ、学年二百四十人いてこの順位は凄いんじゃない?」

「うぅ……そうですけど、そうですけどぉ!」


 本気で悔しがる姫初。

 だけど……勝負事では手を抜くのは流儀に反するからね! そこは真剣勝負としていこう。


「一悟はどうだった?」


 僕が尋ねると同時、一悟は時計を見て鞄を持って立ち上がった。


「どうしたの? もう帰るの?」

「いや……補習」

「あ、そうなんだ……。何教科?」

「六」

「え!? 八教科だったよね!? どうしたらそうなるの……」

「うっせぇー! 時にはバカの気持ちも考えろバカー!」


 走り去るように、一悟は部を後にした。

 僕と姫初は目を合わせて、


「「やばいね」」


 そう、つぶやくと同時に翠華に視線を向ける。

 すると、翠華はすっと立ち上がって。


「それじゃあボクも行ってくるよ」

「どこに?」

「補習さ。見事全教科赤点だったのさ。ふふ、いつも通り」

「えぇ!? その性格しといて頭悪いの!?」

「性格関係あるかい……?」


 翠華は戸惑いながらも部を後にした。

 そうなんだ、頭悪いんだ。……全教科? 一悟より頭悪いの!?


「ふ、二人になりましたね」

「……確かに。なんか、当初の目的だったけど、四人の方が話しやすいね」

「ふふ、そうですね。部活は今日は閉めて、帰り道に話しませんか?」

「そうだね、話そっか。テストについて教えてあげるよ?」

「むー! 大丈夫です! 絶対期末では勝ちますからね、覚悟しておいてくださいよ?」


 僕達は笑って、部を後にした。

 ……勉強くらいは負けないようにしなきゃな。


 ♦


    学年   クラス 総合点

 玲紋→7位   2位  720点

 姫初→8位   3位  719点

 一悟→203位 38位 185点

 翠華→240位 40位 8点


(特に意味はありません)

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