第三章 『学校生活は部活と共に』一話完結

第22話 『人生ゲーム』

「なあ、俺人生ゲーム作ってきたんだけど、やんねぇか?」

「唐突」


 部活動に加入することになった一悟は、唐突に作ってきた人生ゲームを広げた。


「ルールは普通のと変わんねぇ。所持金は三千円で、ちょこっとマスの内容は違ぇ」

「勝手に始まった」


 僕と姫初と翠華は進む話を止められず、人生ゲームを開始した。


「じゃあ俺、翠華、玲紋、五月女さんの順番でいくか」

「いいんじゃないかい?」

「じゃあ……三、か」


 マスの内容は自販機の下で千円ゲット。

 なんだそれ、絶対ないよ、そんなこと。


「次はボクだね。……一」

「ぷふっ」


 一を引いた翠華を笑った一悟を訝しむと、


「これから十ターン、持つお金を全て今前にいるプレイヤーに渡す……」

「はーい、ざんねーん! 唯一の外れマス引いたな、お前! ざまーみろ!」

「ふ、相変わらずいっちゃんはバカだね。ボクが素直に渡すとでも? 当然、拒否さ」

「ゲーム否定してんじゃねぇよ!」


 イラつく一悟をよそに、ゲームは進んでいく。

 すると、僕が止まったマスに。


「結婚マス……一番近い人と結婚する……姫初さん!?」

「あ、俺だ。へへっ、よろしくな、玲紋」

「たとえゲームであってもそれは無理! 僕には姫初さんがいるからね!」

「てめぇらゲームと現実くらい区別しろや!」


 一悟の怒鳴りに気圧された僕は、しぶしぶ受け入れた。はぁ、人生初の結婚相手が一悟か……需要ないよ。


 そのままゲームが進んでいくと、


「出産マス……僕と一悟の!?」

「玲紋さん……!」

「違うんだ、姫初さん! これにはワケが……!」

「よかったじゃないか、玲紋くん。子供が出来て――一悟とだけど」

「ぐはっ!」

「修羅場だ……」


 僕と一悟の間で出来た子供を車に乗せる。


「玲紋さん……私、信じてます! いつか私に振り向いてくれると!」

「僕はいつも姫初さんだけを見ている! 車も後ろを向けて姫初さんの方を向いている!」

「それは意味わかんねぇ」


 僕と姫初のドラマチックな演出を、冷静な目で見る一悟。


「お、また産まれた」

「ぐはっ!」

「玲紋さん……!」


 見た光景のドラマをしり目に、翠華は一悟に問いかける。


「この回、大丈夫かい?」

「……ダジャレ、ダジャレだよな? たとえこの回文句言われても、俺のせいじゃねぇよな!?」


 そんな波乱万丈な人生ゲームは終わりを遂げた。


 一位 矢倉翠華

 二位 五月女姫初

 三位 桜井玲紋

 四位 夜須川一悟


(ちゃっかり一位取ってんじゃねぇよ……)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る