第3話 『悪評』
「図書室なら玲紋さんの好きな本とか読めたんじゃないですか?」
「そうだけど……僕といて、変な噂立ったら嫌じゃない?」
「何、変な噂って」
急に敬語じゃなくなり、玲紋はピリッと嫌な空気を感じる。
けど、ちゃんと伝えなければ彼女に対して失礼だ。
「いつも告白されてさ、結果付き合ったのが僕みたいな平凡な男って知れ渡ったら、姫初の目がどうたらーって悪評広がるかもしれないからさ」
「関係ない……関係ないですよ! 周りの意見で私は変わらない。私は私が好きだと思ったから付き合ったんです。――それでも悪評を気にするのなら、私はずっと、何があっても玲紋の傍にいます。……それでも、気にしますか?」
「そんな事言われたら気にするわけないよ! 顔が可愛いだけじゃなく、性格までいいとか反則だよ! ……僕も負けない、立派な彼氏になるね」
「かっこいい……ですぅ。そっちの方が反則ですよ……」
お互いで素敵なところを発見し、僕達はにへらと笑って見つめ合う。
やっぱり可愛いなぁ。実感湧かないな、こんな可愛い子が僕の彼女なんて。
「あのさ」
「どうしました?」
「め、めめめメアド交換……しない?」
「いいですよ」
僕はスマホを取り出してメアド画面を開ける。
そして僕と姫初は交換し合うと……。
(舞童……って誰だろう。読み方分からないけど多分男の人、だよね……。ま、まあ姫初はモテるからね! し、仕方ない……よ。まだ僕だけじゃ物足りないってことだと思うし、これから頑張ろう!)
(安瑞……て誰でしょう。人の名前は簡単に読めないのは厄介ですね……。も、もしかして本命の彼女で私はキープされているんでしょうか!?)
メアド交換の前に少しの沈黙が、二人に重くのしかかる。
その後二人はぎこちない笑みを浮かべて、メアドを交換した。
(あの笑い方……やっぱりそうなんだ)
(やっぱりキープなんですね。奪うって表現は好きじゃありませんが、私が玲紋さんの一番になってみせます!)
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