第2話 『疑問』
「つ、付き合えた……のかな?」
「は、はい……そうです……よね!?」
「は、はいぃ!」
互いが互いの状況を確認し、付き合えていることを確信。
僕、本当に、本当にあの五月女姫初と付き合っているんだ!
とても嬉しくて、多分これ以上嬉しいことは人生であと一回しか来ないと思う。
だけど僕は、さっきまでの会話を含めて疑問が生じた。
「姫初さん、どうして敬語なの? ……僕、なんか怖いかな?」
「そ、そんな事ありませんよ! ただ……この前聞こえたんです。玲紋さんが『敬語キャラは正義』って言っていたのを。なので私、形から入ろうかなと思いまして」
「マジで好き」
「ふえぇ!? あ、ありがとうございます……?」
正解の返しがわからなくなった姫初は、感謝と同時に疑問符で返す。
ああ、ヤバいよ! 僕は本当に姫初が好きだ!
しかも彼女は僕の好みに合わせて話し方まで変えてくれるなんて、もう――
「女神様」
「唐突にどうしたんですか!?」
「ありがとう、女神様。僕みたいな者に喜びを与えてくれて」
手をギュッと握って伝えると、ふふっと笑った姫初は更に握りしめてきて。
「それは私の方です。私と付き合ってくれてありがとうございます、玲紋さん」
「オーマイガー……柔らかくてすべすべしてるよぉ」
「え、ダメでしたか?」
「ち、違うよ! 僕、付き合うなんて初めてで……女の子の手を握ったのも初めてなんだ。モテる姫初からしたら失望したかな……?」
僕の言葉に首を振った姫初は。
「どういうイメージを抱いているのかわかりませんが、私も付き合うのは初めてです。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
「神様は僕の味方をしてくれている」
空を見上げて喜びを噛み締める玲紋は、姫初の手を引いて。
「きょ、教室で話そうよ」
「図書室のがいいのではないですか?」
「人が多いよ。とりあえず、教室にしよ」
タッタッと駆けて、誰も使われていない教室に入室。
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