第5話 急転

<ひ!?日代子!?まんまやないかい!?>

ヒヨコ声のしゃしゅしょ娘の名前はなんと日代子だった。大地は驚いた。大地を揺るがすとは、まさにこのことが語源だったと言われている。揺れた大地は当然言葉を失った。


日代子「まんまやないかい?って思った?」


<エスパー!?!?ドンピシャ!>


日代子「ふふ♩ドンピシャでしょ(^^)」


そう何を隠そうこのしゃしゅしょ娘の日代子ちゃん、人の気持ちを読み取れるエスパーちゃんだったのであーる。

しかし、この特殊能力にはある条件がある。相手が日代子ちゃんに恋をしていないと、日代子ちゃんには相手の心の声が聞こえないのであーる。つまり、大地の下心は既に見破られると共に、2人のコミュニケーションには日代子圧倒的有利な条件が作られたのであーる。


大地「あのー、なんか、勘が良いんだね。」


大地はしどろもどろの引きつり顔で答えた。


日代子「勘でしゅよ(^^)。お名前お聞きしてもいいでしゅか?」


大地「大地って言います。」


日代子「大地ってなんかスケール大きいでしゅね。」


大地「名前だけっすよ。はは!」


2人のしょうもない自己紹介が終わった。


日代子「大地さんってそそっかしい?ビルの角に頭ぶつける人初めて見ちゃった!ふふ。事故には気をつけて、、、、」


キキーーーーー!!!ゴン!


大地に向かって微笑む可愛い女の子は、大地の目の前から一瞬で居なくなり、目の前には車道から歩道に乗り上げたトラックがバツが悪そうに止まっていた。


大地は反応が鈍い。動体視力が鈍いのだ。無論、ソフトボールのスローピッチすら捕らえられたことはない。ゆえに、、、


大地「いやー!あはは!事故には気をつけないといけないっすよね!お互いに!」


大地は数秒前までいたはずの日代子に満面の笑みで話しかけた。話しかけた場所には日代子の代わりに、真っ青になったトラックの運ちゃんが窓を開けて佇んでいた。話しかけられた運ちゃんはゆっくりと、ゆっくりと、まるでブリキで出来たような首の動きで大地を見て答えた。


運ちゃん「事故った。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る