第9話 初対面
7月に入って1週目。
俺はウェブで書いていた小説がプロ編集者の目にとまり絶賛スカウトされ中だ。
やったぁ! ほんとに嬉しい!
でも……この人の名前調べたら雷文庫の中でもトップレベルの編集者らしい。
怒らせねぇようにしねぇと……。
俺はそう考えつつ今日も執筆に励んでいると一通のメールがピコンと届く。
俺はそのメールを確認。
椿原さんだ。 えっと……何々……
「来週の昼から会えませんか? はいいいですよっと、 ……って! 嘘だろぉぉぉぉぉ!」
「翔うるさい! 追い出すわよ!」
下から静の声がした。
1
あぁぁ…… 緊張する……。
待ち合わせが高級ホテルの前ってどういう事だ?
俺が数分そこで待っていると1人の男性がこちらに向かって歩いてきた。
「黒いパーカーに黒のジーパン……あなたが月神翔さんですか?」
「は、はい! じゃああなたは……」
「はい、私が椿原亮です。 では早速行きましょうか」
すると椿原さんは俺の後ろの高級ホテルへと進む。
「あの、俺あんまり手持ちないんで話し合いなら喫茶店とか!」
「ああ、それは大丈夫ですよ。 ここは私が奢りますよ」
2
俺たちは高級ホテルの中の喫茶店らしき場所に入り対面で腰を据える。
すると、そこの店員さんが直ぐにお冷とメニューを持ってくる。
店員さんは「ご注文が決まりましたらそこのベルでお呼び下さい」とだけ言い、去る。
「なんでも好きなのを選んでいいよ」
「ほんとにいいんですか?」
「当然だ。 今日私の都合で呼び出したのだからね、これくらいは筋だよ」
「そんな! 呼び出したなんて……!」
椿原さんは「いいからいいから」と言い、メニューを渡してくる。
俺はメニューを開く。
なっ! ケーキ1つで3万円?! ぼったくりだろ! ココアでも5000円するし!
こんなの高すぎだろ!
数秒後。
「決まったかい?」
「は、はい……」
椿原さんはベルを鳴らし、店員さんが10秒も立たずに到着する。
「私はコーヒーを。 その子には……」
「お、おれもコーヒーで!」
「かしこまりました」
店員さんが去った後。
「良かったのかい? コーヒーだけで」
「はい、昼ごはんは食べてきたんで大丈夫です」
「はは、そうですか」
「早速ですが、本題に入りたいと思います」
きたきた!
「はい!」
「まずウェブのダイレクトメッセージでもお伝えした通り、12月の後半にはあなたの作品を書籍化して販売したいと思っています」
「そんな速くできるんですか?!」
「はい、今は凄く編集部の手が空いているので」
「その事についてなんですが、担当編集者さんは誰になるんですか?」
「無論、この私です。私が月神さんの本が出版されるまで全力でサポートさせていただきます」
まじでか?! こんな有名なひとに担当してもらえるなんて! これは夢なのか?!
「あ、ありがとうございます!」
「当然のことですよ。 それより月神さん。 出版時期は私が先程申し上げた12月で構いませんか?」
「はい! もちろんです!」
「分かりました。 次に、月神さんがウェブで今公開されている作品ですとギリギリ1冊は作れるほどの文字数なんですが、本を出版すると次の巻の原稿の締切というのがありますが大丈夫ですか?」
「大丈夫です! 死ぬ気で締切は守ります!」
「はは、それは頼もしいですね」
俺たちはその後書籍化の打ち合わせをし、LINEを交換店を出る時、時計の針は19じを指していた。
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