第6話 突然の訪問
霞の過去と夢を知った次の日の日曜日。
特に、俺はすることもなかったので、部屋で小説を執筆中。
「首が痛い……」
突然だす独り言。
まぁ昨日夜中まで書いてたからな~。
今日は、すごく嬉しいことが起きるのだ。
それは、何とじいちゃんがベッドを届けてくれてこれを期に別の部屋になるのだから。
じいちゃん……ありがとう。
いや、ほんとにおもってるよ! 霞と離れるから嫌とかおもってないからな! ほんとだよ?
すると、家の呼び鈴が鳴る。
おっと、ベッドが届いたかな。
俺は大喜びで部屋から玄関へと駆ける。
玄関の扉を「ハイハイー」と、言いながら開けると、そこにはおじいちゃんと霞のおばぁちゃんが立っていた。
え? どういうこと? ベッドは?
「何で居るの? ベッドは?」
率直に思った疑問を聞く。
「ああ、ベッドなら後ろの宅急便にあるよ」
俺の祖父が家のレンガの壁を指差す。
ここからでは宅急便の位置は死角になっているのだ。
ホッと、安心する俺。
すると、霞も玄関に来る。
案の定霞も驚く。
「何で居るの?」
俺と同じことゆうじゃねぇか!
「とりあえず、もう老人じゃしたっているのも辛くてのぉ……。 中に入れてくれんか?」
俺の祖父がそう言う。
「ああ、いいよ」
特に断る理由もないから部屋に入れる。
1
祖父達を部屋に入れ、リビングのソファに座らせ、霞が紅茶を入れてきて、俺達も向かいへ着席する。
そして、俺が話を切り出す。
「で、今日は何で来たんだよ?」
「いやぁー今日はちょっと二人の様子を見に来ただけじゃよ。 でも、思ってたよりもずっと仲良しそうじゃ。よかったよかった」
じいちゃんが勝手に安心する。
これは抗議せざるを得ませんね。
「ど、どこがだよ! 俺が霞と?! そんなわけないだろ! ここの傷も霞に殴られて出来た傷だぞ?」
俺は前回、右フックされて出来た傷を指差す。
それに続いて霞も反論。
「そうよ! 私が月神と?! 何年かかってもわかり会える気がしないわ!」
それは、嘘だろ。 前俺に褒められて、顔真っ赤にしてたくせに。 どうせ今言ったら忘れたとか言うんだろうな。
「そういうところも息ピッタシ」
「どこが?!」
俺と霞が同時に叫ぶ。
確かに……。 否定はできない。
「というか翔」
「ん? なんだよじいちゃん」
じいちゃんは立ち上がりこう言う。
「お前ら、結婚してるのになぜしたの名前で呼び合わないのじゃ? まさか、照れてるのか?」
じいちゃんは勝手に解釈し、一人笑っている。
それにつられて霞の祖母も笑う。
「照れてないわぁぁぁぁぁぁ!」
俺は過去1の声で叫ぶ。
だが、霞は下をうつむいたまま、動じない。
何々? なんでちょっと照れてんの? 理解不能なんだけど。
ちょっとモジモジしてるし……。
俺はすぐに視線をそらし、じいちゃんに視線を戻す。
「なら、見つめあって呼んでみなさい」
じいちゃんからの驚愕の指示に困惑する俺達。
だが、俺はもう照れてないって言っちまったしな。
俺は霞に、視線を向ける。
そして、それにつられ霞も俺に視線を向ける。
少しの沈黙の後、顔を炎の如く赤く染まらせ、かすれた声で呟く。
「かける」
相手が言ったんだ。 俺も言わねば……。
そう判断し、霞のしたの名前を言おうとした瞬間、なぜか下の名前が思い浮かばない。
あれ? こいつの下の名前なんだったけぇぇ!
ヤバイ! 結構待たせてるぞ。 思い出せ俺!
心の中で祈願するが、霞の下の名前が一向にでてくる気配すら感じない。
じいちゃんに霞の祖母、霞本人までもが、疑問を抱き始めている。
そして、じいちゃんが煽り要素をいれながら呟く。
「もしかして、霞ちゃんの下の名前知らないの?」
じいちゃんの、予想的中! こういう時だけ勘がいいなぁこの野郎!
「え、そんなことは無いですよ」
俺は困惑しながらも返答するが時すでに遅し。
霞が鬼の形相で何やら角が生えてきてるような……。 ヤバイ……幻覚が見え始めてきた。
「わぁたぁしぃの名前はぁ!」
「ひ、ひぃ!」
「しずかよぉ!」
霞が叫んだと同時に腹パンをくらう。
「ぐはっ!」
何とも重い一撃! 段々と視界がぼやけて来る。
俺は地面に倒れこみ、そのまま意識を失った。
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