第4話 難攻不落の中間テスト

テスト期間に入ってから、俺は家でも学校でもみっちり勉強させられた。


家では、あろうことか黒いムチをもって俺が問題を間違えると、ひっぱたいてくる。おかげで背中はあざだらけだ。


あのくそ嫁めぇ……。


俺はあの時確かに怒りを覚えた。だが、あいつのおかげで難しいとおもっていた問題も解けてきているのは事実。若干感謝の気持ちも抱いていた。


そして、その成果を発揮するテストの日がとうとう訪れる。


1


教室へ着くと、クラス内は異様な空気に包まれていた。それもそのはず、ここの学校は超名門高、緑ヶ丘学園。赤点を取れば、即退学or落第だからな。


それで落第したひとも少なからず多い。俺はと言うと、赤点こそ取ったことは無いが、いつもギリギリ。


だが、俺は今回のテストは大丈夫だと、安心感を覚える。


先生が教室に入ってくると、生徒は一斉に席に着きはじめ、プリントを配るまでの時間沈黙の、時が流れる。


担任の先生が「始め!」と合図をすると、皆一斉に問題を解いていく。


問題こそ難しかったが、霞に教えてもらったことにより、少し出遅れながらも問題を解き始める。


そうして、1時間目から遊ぶ暇もお喋りする暇もない緊迫した試験が続いていった。


問題のハプニングが起きたのは5時間目の理科。


開始の合図と共にひっくり返し試験に取り掛かろうとした直後だ。


急にお腹に激痛が走る。それは座っていられないほどの痛み。


嘘だろ? こんな時に! たのむ治ってくれ!


そんな俺の願いも虚しくお腹は一向に痛みは消えそうにない。


どうする?一回教室を出ると、もうテストは受けられない。


俺は激痛の中、必死に頭を回す。


そうだ、赤点をとらなければいいんだ。ってことは、赤点にならないよう問題を解く数を調整しよう。もうそれしか無い。俺なりにベストを尽くすんだ!


2


テストが終わった次の日、もう全教科が帰ってきた。


霞は、全教科帰ってくるのをわかってたかのように、俺を放課後図書室に呼び出す。


図書室へ着くなり、霞は俺の小説ネクタイを掴み、無言で席に座らしてくる。


俺がすわったら早速かのように、「テスト点数教えなさい」と、直球で聞いてくる。


俺は言われるがままテストの用紙を手を伸ばしてきた霞に渡す。


そして、霞が呟く。


「社会が48点、 数学が45点、 英語が49、 理科が31点、 国語が57点ね……」


俺はゴクリと唾を飲む。


「 まず、はじめての50点以上おめでとう。 でも……」


「でも?」


俺はそう聞き返す。


「あんた理科31点ってどういうことよ!」


「い、いやこれには深い訳が……」


「私は理科を一番教えたはずよ! なのに何で一番悪いのよ!」


どうやら言い訳を聞くつもりはないらしい。


俺は公共の場だとゆうのに図書室の真ん中で正座させられる。


「さて、言い訳を聞こうかしら?」


言い訳は聞いてくれるらしい。前言撤回。


「じ、実は腹が痛くなって……。 だが、赤点にしたら殴られると思ったから、問題の解く数を調整した。悪魔でも死力は尽くしたぞ?」


「そ、そうなのね、それは仕方なかったね」


なんと、霞から優しい言葉が浴びせられた。てっきり、いつもの罵声を浴びせてくるかとおもったのだが……。


「それよりもあんたは初めて50点以上取ったのよ。 それだけでも一歩全身なんじゃないかしら?」


確かに50点以上取ったのは初めてだが……。


「そうだな。 ありがとな。 全部お前が教えてくれたおかげだ」


正直な気持ちを伝える。


「ど、どういたしまして。 お返しは3倍返しでお願いね?」


霞は視線を反らし照れながらそう言う。


「な!」


「それじゃ、私もう行くから」


霞はそう言うと、そそくさに図書室から出ていく。


「あ、待てよ! 」


そう言うと、霞は振り返ってこう言葉をかける。


「ば、ばいばい」


こいつから初めてばいばいなんて言葉が出てきたから正直驚いた。


「あ、ああ、じゃあな」


そう俺が言うと、霞は満面の笑みで図書室から去っていく。


その時の霞の顔は、今までで一番可愛かった。




















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