第十四話 Heart Doll本店~新しい子~

 Heart Dollのお店をこんな辺境の地である世界の廻間で始めて、どれくらいの時間が過ぎただろうか。

 あるいは、そんなに時間なんてたっていないのか…でも、そんなことはこの世界の廻間ではほんの些細なことでしかないのだから。






 ◆◆◆


 Heart Doll本店の地下の工房。そこにはこの店の主であるルキと、また新しい仲間が目覚めたところだった。


「目が覚めたみたいだネ★なかなか起きないから失敗したかなって思ってた」


「…えっと、光希さんでしょうか?ごめんなさい何だか私の知っている方と違うような…」


「光希であってるよ?この姿もオレであり、光希は私の名前」


 この反応はいつものことだし、他のHeart Dollもなんだかんだで変わる姿のせいで混乱しているのだから。

 彼女、これでもかというくらいにお姫様みたいにデザインしたはとある世界の没落令嬢だった子。

 自国の王女に憧れて、隣国の王子に夢を見て…結局その2人の“真実の愛”なんていうものに利用されて処刑されかけていた。


「私の姿なんて変わるものだから気にしなくていい」


「そう、なのですか?」


 いつまでも困惑しているゆなに笑い、ルキは彼女を工房から連れ出した。

 起きたのだから、他の子達に紹介しないといけないだろう…階段を上がり、見せに続く扉を開けた。


「リオネ、この子はゆな。新しい子だよ」


 ちょうど店にいた最古参であるリオネにゆなを任せて、ルキはまた世界に亀裂を入れて出掛けて行った。


 次はどんな強い魂に出会えるだろうか…この世界の廻間で砕け散らない、私と同じ化け物の同類に。

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