第13回:第一巻で描きたかったもの
※本内容には、第一巻第十八話までのネタバレが含まれる場合がありますのでご注意ください。
さて、今回の「ニチサハよもやま話」は、推敲の想い出を書こうと思ったのですが、まだネタバレになる所があったので、話題を変更してのお話です。
気づけば一巻も佳境の十八話が更新されました。
残り二話+エピローグにて無事、一巻は完結するわけですが、そろそろ少しずつ、一巻の本質に触れる話でもしてみようかなと思います。
「非日常なんて日常茶飯事」は以前からちらちら語っていますが、元々の構想でも数巻構成で考えて開始しました。
普通ならきっと主人公の話をすべきであろう一巻から、いきなりヒロインである佳穂&エルフィを中心にピックアップするという、きっと商用作家さんがやったらマッハで没りそうな書き出しなわけですが、これも想定通りだから仕方ないのですよ(汗)
というのも。
一巻から三巻はそれぞれ、ヒロインの話を中心にしながら、雅騎がどういう風に彼女達と絡んでいたか。どういう風に彼は巻き込まれた物語の中で考え活躍するのか。
そして彼は一体何者なのか。これを少しずつ明らかにしていき、雅騎主観の話は四巻に据え、彼についてはっきりさせる、という構成なんですよね。
これはもう、プロット段階で決めていました。
で、この各ヒロインの話である一巻から三巻。実はそれぞれ作品に置ける物語の方向性、というか表現バランスが異なる予定なのです。
一巻は、ニチサハを読む方々にとって最初に触れるべき作品。
最初ということは、そのバランスってかなり大事だと思っていました。
この作品は以前語った通り、「現代ファンタジー」でバトルもしたいけれど、日常的なパートで「ラブコメ」もしたい、なんていう、しょぼん(´・ω・`)が書きたいものを詰め込んだ世界。
だからこそ「非日常なんて日常茶飯事」っていう、特殊なタイトルなわけですが。
じゃあ、何でもただ詰め込んでただ書けばいい、かというとそうではないんですよね。
読者は手に取って読み切った時、この作品ってどういうものかを感じるのであれば、一巻はやはり「現代ファンタジー」ですが「ラブコメ」もしたいという、両面性をより色濃くしなければならない、と考えていました。
なので、この両面性をバランスよく見せたい。
つまり、より日常感がありつつ、だけどより非日常感のある話にしたかった。
そこで。最初に佳穂とエルフィを主に据えて、その両面性を強く出すことにしたのです。
同級生である佳穂、御影、霧華。
誰もが何らかしか事情があり、何らかしかと戦っていた存在、なんですが。
御影も霧華も、(まだ語れない色々と裏はあるんですけど)やはり一人の学生ですから、バランスよく強調するのが難しいんです。
極端な話。戦闘がなければ日常、ってケースが強くなるわけですからね。
でも、佳穂には常に天使であるエルフィが絡んでいる。これは、雰囲気として非日常感を強調するのに丁度良かったんですよ。
御影や霧華の独白的シーンだけでは出しにくいんです。
そういう意味でも、本作の最初を飾るに相応しいヒロインだったんですよね。二人は。
次に書きたかった事。
それは、ニチサハの書きたかった話にある「ラブコメ」。(あまりコメディになってないというツッコミは受け付けません!)
これを書こうとした時に、一番良かったのはやはり三人の中で一番癖のない佳穂だったりもしました。
大人しい彼女が雅騎という存在に何処か心惹かれ、だけどその距離を感じ、そして恋のなんたるやも知らず、モヤモヤとしながら進んでいく。
もう、これだけ書いたらラブコメ感ありますよね!(あまりコメディになってないというツッコミは(以下略))
多分ラブコメのコメディっていう部分に特化するなら、性格的に御影の方が適切ではあるんですけどね。(その一端は一巻でも垣間見えていると思います)
ただ、一巻書き出しの時点で、御影の物語における表現バランスはある程度決まっていたのです。(霧華は一巻中盤くらいに物語の核を決めましたが……)
そういうのもあって、佳穂というキャラが一巻的には丁度よいバランスがあるなと思い、ピュアっピュアにしてやりましたよ! 個人的にこういうの大好きですもん!
そして、最後にもうひとつ書きたかったこと。
これは佳穂とエルフィを中心に据えたからこそのお話で、あまり巻数の位置は関係ないんですが。
優しげな話が書きたかったんですよね。
本作は「現代ファンタジー」の中でも、戦闘もある小説。
戦闘っていうのは、実は決して軽くないと思っています。だから、戦闘パートで冗談とかは入れられないんです。そして何より。そこにある人間模様は様々あるでしょうが、そこには必然的に戦闘という緊張感が付いて回るんですよ。
これが続くのは、戦闘系作品としては非常にありなんですけど、一巻は先の話の通り、バランスよく書きたい。
つまり、戦闘だけに特化したくなかったんです。
佳穂とエルフィの二人は、歳も種族も違います。そして、佳穂は大人しい性格ですが、エルフィは大人な性格。
こんな二人が互いを思いやり、互いに優しさを見せることで、戦闘もあるけれど、どこか優しげな世界を感じられる。
そんな話にしたかったんですよね。
勿論。雅騎もまたその性格上、この二人に負けない優しさを持っていて。
そんな三人だからこそ、一巻はこの雰囲気を強く出せたと思っています。
自分が思う世界を見せられた、という意味で本当に作者としては満足している一巻。
二巻、三巻はまた多少、物語のウェイトが異なります。それ故に、一巻とは違う雅騎の一面、そしてニチサハとしての一面を垣間見る事になると思います。
まずは一巻のラストまで頑張って駆け抜けて、この物語をきっちり読んでもらった気持ちになれるよう、頑張って駆け抜けます!
そして、続く二巻以降での毛色の違いもまた、より楽しんでいただける事を祈りつつ、これからも執筆を頑張ってまいります。
ちなみにネタバレですが。
一巻はエピローグのネタしたくて書いたと言っても過言ではないです(おい)
そこも是非楽しみにお待ち下さい!!
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