魔神

ある神はとても美しい翼を持っていた。

またある神は何でも斬り裂く爪を…

またある神は未来を見通せる目を持っていた。

みな一様に力を手にしていた。

しかし獣神が持っていたのは貪欲な心だった。

それだけだったのだ。

故に全てを奪う事にした。


獣神の背には美しい翼が…

獣神の爪には鋭い爪が…

獣神の目には未来が映っていた。


やがて自身が全ての神を統べると信じた。

絶対的な神としてエデンを統治する為に更なる力を求めた。

より多くを…奪い取った。

そうしてある時、獣神は自身に問うた。

手にした力は創造神のそれよりも強大ではなかろうか。

手にした力は創造神のそれよりも神々しくなかろうか。

手にした力は創造神をも屈服させる事が出来るのではなかろうか。


いつしか獣神は魔神と化していた。

エデンを汚し…奪い…破壊していった。

やがて…魔神の眼前に創造神は降り立った。


魔神はゼノグラーシスの逆鱗に触れたのだ。

吹き荒れる風で翼を切り取り…爪を剥がし…目を刳り貫いた。

魔神が他の神から奪った力を全て切り取った。


翼からは新しい女神を創り…

爪からは新しい獣神を生み出した。

そして刳り貫いた目は空を漂う太陽とした。


魔神を業火の炎で焼き尽くすとそこにまた新たな魔神が生まれた。

ゼノグラーシスはその魔神に名を授けた。

そうしてエデンの下に新たな世界「ニブルヘイム」を創りだすとその統治を魔神に委ねた。


それを悦とした魔神はさらにその下に「ヘル」を創りだし…そこに炎を這わした。

煉獄を統べる魔神の授かった名は…

魔神「イフリート」

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