厄災の竜

かつて創造神に愛された竜神がいた。

竜神には自身を信仰する種族がいた。

だが…

いくら崇め祀られようとも…

いくら力を貸そうとも…

創造神の寵愛には程遠い。

満たされぬ欲望に支配された竜神は崇めていた種族を喰らい始めた。

竜神の頭は二つとなりて…

種族は恐れ、慄き、さらに崇め…導きを仰いだ。

それでも竜神は種族を喰らった。

竜神の頭は三つとなりて…

待っているのは己が身の消滅だとしても全ての種族を喰らい尽した。

やがて竜神の頭は八つとなりて…

厄災の竜となった。

ヒュドラ…厄災の竜は他の神からそう呼ばれた。

八つの頭はそれぞれに意思を持ち、渇望し、十六の目に映る全てを破壊した。

見兼ねた創造神ゼノグラーシスはヒュドラの前に降り立つとその胴体に雷の槍を落として大地に打ち付け、八つの頭を全て斬りおとした。

そして八つの頭をそれぞれ新しい竜へと生まれ変わらせた。

火竜、水竜、風竜、土竜、雷竜、氷竜、光竜、闇竜。

八種の竜に眷属を与え、自らの眷属を守護するように命じた。

創造神は残った胴体からまた別の神を生み出した。

それが竜神「リンドヴルム」である。

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