短編(1001文字以上)

-捕らわれた過去と現実-

01

 ̄ ̄ ̄ーーー_____


...どうして私は、あの時耳をふさいでしまったんだろう...


音もなく落ちてゆく木の葉を見ると、いつも思い出す。



「...僕は君をーーー」



あの時、彼は何と言ったんだろう。


私に何を伝えたかったんだろう。


無理矢理さえぎってしまった言葉の続きは何だったんだろう...。


いくら考えても、その答えはわからない。


もう私には、それを知るすべはないのだから...。



 ̄ ̄ ̄ーーー_____






“彼”のことを考えていると、いつも現実が見えなくなる。



「リル!危ない!!」



連射されるたくさんの銃たちの音。

低く振動するいくつもの戦車の砲撃...。


それが私の生きる“現実”。


気が付いた時には、もう遅かった。



目の前には敵からの、無限の砲撃を放たれていた...。



ーーー逃げ切れない



私の足は地面についたまま動いてはくれない。


ふと頭を横切った、”彼“の姿...。



ーーーこれで私はあなたのもとへ逝けるだろうか?



あつい、熱い...砲撃の熱すぎる熱で体が焼ける。

後からやってくる、鋭い痛み。



遠くで、仲間の声が聞こえる気がする。



死にたくないと、私の本能は思う...。



でも私は、何処か心の中で


”死“を受け入れていた_____

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