第1747話「艱難辛苦の試験」※
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◇名無しの調査開拓員
つまり時空間構造学のB仮定世界のなかでは物体Xの標準的挙動がアクセル状態にある時に限ってX'の表裏構造がマイナスに入るわけだろ?
X''は11次元の鏡像なんだから、正のアクセル状態を保持してると考えて良いわけで、そうなるとX'の表裏構造がプラスにならないのはおかしくないか?
◇名無しの調査開拓員
だから、X'の表裏構造はB仮定世界の物体Xがアクセル状態にある時はウリ型関数以外全部逆数になるんだって。誤差調整関数を噛ませるとX''の状態とも矛盾はなくなるはず。
◇名無しの調査開拓員
訳がわからん
◇名無しの調査開拓員
俺もだ
◇名無しの調査開拓員
初級編の教科書の7章25項にウリ型関数含めた状態決定式の解説載ってるだろ。26項で誤差調整関数を追加した場合の変化も書かれてるから10000回読みやがれ。
◇名無しの調査開拓員
つまりどういうこと?
◇名無しの調査開拓員
物体Xっていう抽象化が不味いんだよな。例を取ってみると分かりやすいと思う。
物体X:あんぱんは美味い
物体X':あんぱんは美味くない
物体X'':寿司って不味くなくない?
って感じ。
◇名無しの調査開拓員
・・・?
◇名無しの調査開拓員
???
◇名無しの調査開拓員
寿司は美味いだろなにいってだこいつ
◇名無しの調査開拓員
そういう話はしてねぇんだよ
◇名無しの調査開拓員
抽象化が不味いって話が干渉してくる最悪の例え
◇名無しの調査開拓員
時空間構造学マジで難しすぎるんだが
初級編の単位も取れる気がせん
◇名無しの調査開拓員
とりあえず教科書丸暗記しておけば上級までいけるよ。発展と応用はマジで無理。
〈イザナミ考古学会〉の爺さんとか、騎士団の考察班とかが突破したらしいけど、逆に言うとそれくらいの逸材じゃないと無理ってことだしなぁ。
◇名無しの調査開拓員
そもそも中級講義無限編バグのせいでトラウマになった奴も多いしな
◇名無しの調査開拓員
192回ってよりにもよって第二修正最大時間流速漸減化問題解決証明の欠点指摘とC仮定世界への適用に関するところだろ? 一番難しいじゃねぇか。
◇名無しの調査開拓員
乙
◇名無しの調査開拓員
おつおつ
◇名無しの調査開拓員
オトセンが数式間違ってるのに気付かずに無限に書き続けてたやつな。これまでもメチャクチャ長い数式はあったからみんな三時間くらい見守っててやっとループしてることに気づいた。
◇名無しの調査開拓員
あの時くらいからオトセンってあだ名が浸透し始めたな
◇名無しの調査開拓員
オトヒメ先生乙
◇名無しの調査開拓員
結局第二修正最大云々の数式ってなんだったの?
◇名無しの調査開拓員
基本的には一般相対性理論の発展になるんだけど、そこに多世界仮定のABC世界統一法則と24次元過剰重複理論をミックスした感じ。あとは誤差修正関数を尻尾にするから、三日前出前理論との近似性が見出せるよねって話。
◇名無しの調査開拓員
なるほど、分からん
◇名無しの調査開拓員
一般相対性理論すらわからんのにさぁ!!!!!
◇名無しの調査開拓員
ちなみになんだけど、ここの理論とかって現実でも適用できたりするわけ?
◇名無しの調査開拓員
今の所11次元までしか見つかってないだろ。しかも理論上の話だし。そこが観測できるようにならないと真偽は分からないんじゃないかなぁ。
◇名無しの調査開拓員
一応筋は通ってるというか、矛盾なく理解できる感じではある。
いくつかの変数が現実に立証されてないだけで、もし正しければいけるんじゃない?
◇名無しの調査開拓員
つまり俺たちもパラレルワールドへ行けるってコト!?
◇名無しの調査開拓員
世界の壁に干渉できるかってのはまた別の話だしなぁ
◇名無しの調査開拓員
今んとこは机上の空論
観測できたらまた違うし、介入できたらさらに違うんだがね
◇名無しの調査開拓員
ゲーム内の講義でここまで気合い入ってるのもやばいよ
普通に大学受験思い出して泣きそうだし
◇名無しの調査開拓員
清麗女学院大の入試とかこれくらい難しいんじゃないの?
◇名無しの調査開拓員
たしかにあそこの入試なら世界仮定問題とか出してきそう
◇名無しの調査開拓員
あの、三日前出前理論ってなに?
◇名無しの調査開拓員
世界5分前仮説から着想を得た理論。時間の遡行とその弊害を数式的に表したもん。
◇名無しの調査開拓員
要は頼んだ出前が三日前に届いたらラーメン伸びてて最悪だろ、って話
◇名無しの調査開拓員
?
◇名無しの調査開拓員
これも地味によく分からん
◇名無しの調査開拓員
ラーメンじゃなくてオムライスならどうなんですか?
◇名無しの調査開拓員
そう言う話じゃないんでは・・・?
◇名無しの調査開拓員
オムライスは伸びないだろうがよ
◇名無しの調査開拓員
でも冷めるじゃん・・・
◇名無しの調査開拓員
オムライス的な解釈をする場合は三日前出前理論じゃなくてレンチン分岐世界仮説の方が近いかも?
◇名無しの調査開拓員
なんでオムライス的解釈の理論があるんだよ
◇名無しの調査開拓員
そんでもって何が違うんだよ
◇名無しの調査開拓員
これまじで単位取れんのか?
発展まで行った奴はどんな頭してるんだよ
◇名無しの調査開拓員
一応試験はいつでも受けられるんだよな?
◇名無しの調査開拓員
オトセンに頼めばいつでも受けられるよ
毎回問題変わるから結構大変なのは変わらんけど。
◇名無しの調査開拓員
3択が30問
穴埋めが20問
計算が30問
記述が19問
折り紙が1問
◇名無しの調査開拓員
折り紙??????
◇名無しの調査開拓員
任意の次元における平面の解釈を折り紙で表現しろって話らしい
◇名無しの調査開拓員
この世は4次元なんですけど
◇名無しの調査開拓員
だから、n次元の平面を4次元空間(α世界)を通して観測した場合の振る舞いを作れって話
◇名無しの調査開拓員
わからねええええええ
◇名無しの調査開拓員
ちなみに折り方はなんでも良いけど、色は割と重要だからな
◇名無しの調査開拓員
まじでこの試験突破できる奴頭やばすぎるだろ・・・
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「はえ……はえ……? メロンパンが……ドーナツ……三日前に……えっくすが……?」
「ふう。とりあえずこんなもんだな」
試験時間は90分。とはいえ特例で問題が解けたら次の試験に移っていいということで、俺は小一時間で応用編まで解いてしまった。90分のタイマーが鳴り響き、解放されたシフォンはオーバーヒートしてしまったようだった。
「シフォンはどこまでできたんだ?」
「初級の半分もできてないよ! ていうか計算なんて一つも分かんなかったんだけど!」
軽い気持ちで出来栄えを窺ってみると、ぷんすこと怒った彼女の殴られる。
「こんな仮定に仮定を重ねた話、ファンタジーすぎるよぅ」
「一応理論的には合ってるはずなんだがな。……あれ? でもシフォン、折り紙問題は合ってるじゃないか」
「はえ?」
シフォンの机上には束になった問題用紙と共に折り紙が。それを見てみれば、ちゃんと23次元の平面が作られているように見える。多少は粗もあるようだが、これなら正解と認められるだろう。ちゃんと色もパッションパープルになってるしな。
「これ、頭が茹だりそうだったから衝動のままに握りつぶしただけなんだけど……。まあいいや、ラッキーなのかな?」
自分でもしきりに首を傾げるシフォン。そうしているうちに試験監督もしてくれていたオトヒメが採点を終えた。
『ヨシヨシ、それじゃあ結果発表といこうか。まず、シフォンは1点。折り紙問題だけ合ってたネ』
「や、やったー」
やはり折り紙は合っていたらしい。
本人は微妙そうな顔だが。
『T-3は0点だネ。全部に"愛"って書いてもかすりすらしてないヨ?』
『そんな……馬鹿な……』
隣では指揮官が膝から崩れ落ちている。
せめて50点くらいは取らないといけないんじゃないか?
『で、レッジだね。初級編から応用編まで満点だネ。よくできました!』
「よしよし、これで一安心だな」
一応検算もしていたとはいえ、しっかりと合格できた。これでオトヒメからもお墨付きを得たわけだ。彼女の課した条件を達成し、いよいよ本題に進むことができる。
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◇T-1への要請
差出人:T-2
11100110 10000011 10000101 11100101 10100000 10110001 11101001 10000111 10001111 11100011 10000001 10001100 11100011 10000010 10111100 11100011 10000011 10101101 11100011 10000001 10101011 11100011 10000001 10101010 11100011 10000001 10100011 11100011 10000001 10100110 11100011 10000001 10000100 11100011 10000001 10111110 11100011 10000001 10011001 00101110 11100110 10010110 10110000 11100011 10000001 10011111 11100011 10000001 10101010 11100110 10000011 10000101 11100101 10100000 10110001 11100011 10000010 10010010 11100111 10011001 10111010 11100100 10111111 10100001 11100011 10000001 10010111 11100011 10000001 10100110 11100011 10000001 10001111 11100011 10000001 10100000 11100011 10000001 10010101 11100011 10000001 10000100 00101110 11100100 10111000 10001011 11101000 10101000 10011000 11100011 10000001 10101110 11100110 10001010 10010101 11100111 10101000 10111111 11100011 10000011 10010101 11100011 10000010 10101001 11100011 10000011 10111100 11100011 10000011 10100000 11100011 10000001 10100111 11100011 10000010 10000010 11100101 10001111 10010111 11100011 10000001 10010001 11100100 10111011 10011000 11100011 10000001 10010001 11100011 10000001 10100110 11100011 10000001 10000100 11100011 10000001 10111110 11100011 10000001 10011001 00101110
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