第1681話「止まらない行軍」
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◇名無しの調査開拓員
なんか蜘蛛が走り抜けたと思ったらすげぇ爆発に巻き込まれた件
◇名無しの調査開拓員
ノイプロコスの列柱神殿かな
おっさんが自走爆弾流し込んだらしい
◇名無しの調査開拓員
何やってんだおっさん!!!!
◇名無しの調査開拓員
やっていいことと悪いことがあるだろ
◇名無しの調査開拓員
事前に警告してたよ。警告は。
◇名無しの調査開拓員
LPダメージ負ってないからいいものの……
◇名無しの調査開拓員
テファ姐さんが悲鳴上げながら逃げ回ってたのもその爆発か
◇名無しの調査開拓員
で、おっさん何やってんの
◇名無しの調査開拓員
最奥まで行ってノイプロコスぶっ飛ばしてた。まあ、〈白鹿庵〉勢揃いだったし守護者程度なら余裕なんでしょうね・・・
◇名無しの調査開拓員
シフォンちゃんを投げ込むだけの簡単なお仕事
◇名無しの調査開拓員
せっかくだから戦いを見学させてもらってたんだけど、あれは参考にならんね
はえはえ言いながらパリィ決めてるだけ
◇名無しの調査開拓員
パリィ成功率100%なら防御力捨ててもいい
◇名無しの調査開拓員
それはそうなんだけどさ
◇名無しの調査開拓員
それができねぇから困ってんだよなぁ
◇名無しの調査開拓員
ノイプロコスって蠍型だっけ
◇名無しの調査開拓員
毒針を四本持ってる四尾の蠍。クソデカ。
◇名無しの調査開拓員
毒耐性がないとかなりキツい相手だよ。腐毒だから専用の解毒薬必要だし。
◇名無しの調査開拓員
そういえばあの蠍って毒属性だったか
なんかヨモギちゃんが毒で衰弱させてたけど
◇名無しの調査開拓員
あいつの毒耐性かなり高いはずなんですが!?
◇名無しの調査開拓員
ヨモギちゃんも早速白鹿庵に染まっちゃって・・・
◇名無しの調査開拓員
むしろ白鹿庵に染まってたから白鹿庵に入れた説
◇名無しの調査開拓員
ノイプロコス倒して休憩もせずに別の列柱神殿行ってるしな
さすがに神殿内部の人が増えて来たからか、蜘蛛爆弾は使ってなさそう
◇名無しの調査開拓員
あれって使い捨てだろうしな。おっさんもバカスカ打てるわけじゃないんだろ
◇名無しの調査開拓員
そもそもおっさんって資金的に余裕あるの?
◇名無しの調査開拓員
そこになければないですね
◇名無しの調査開拓員
あれだけ新装備とか原始原生生物とか開発してたら、その費用だけで凄いことになってそう
一応、〈ウェイド〉の市場に無人販売店舗持ってて、たまにカミルちゃんが在庫補充しに来てるけど
◇名無しの調査開拓員
メイドに稼がせて自分は浪費してんのかよおっさん!
◇名無しの調査開拓員
一応おっさんも稼いではいるから・・・
◇名無しの調査開拓員
そうこう言ってる間に白鹿庵が三つ目の神殿を攻略しました
◇名無しの調査開拓員
速すぎるだろ!!!!
◇名無しの調査開拓員
赤兎ズの破壊力がやばすぎる
そこにクソデカ機獣の機動力まで合わさると収拾つかんよ
◇名無しの調査開拓員
本気出した白鹿庵ってこんなに強いのか
ちょっと感動
◇名無しの調査開拓員
なにげに全員揃ってダンジョンアタックって珍しいもんなぁ
◇名無しの調査開拓員
やっぱおっさんのDAFシステムは厄介すぎるな
一人で物量作戦展開できるの卑怯だろ
◇名無しの調査開拓員
白鹿庵のオーディエンス増えてるの草
大名行列かよ
◇名無しの調査開拓員
観戦のお供に焼きたてのポップコーンはいかが?
◇名無しの調査開拓員
商人まで出て来てるのか(呆れ
◇名無しの調査開拓員
大学病院の院長回診かな?
◇名無しの調査開拓員
たぶん、白鹿庵がボス倒したら範囲内の全員にクリアフラグ立つからそれ狙いもいるだろうな
◇名無しの調査開拓員
そう言う感じなのか
巡礼って言ってたっけ
◇名無しの調査開拓員
七つの列柱神殿攻略したら霊山大社に行けるらしい
そこのレゥコ=リノガードってやつが何か知ってるんじゃないかって話
◇名無しの調査開拓員
正直今回のイベント全然ストーリー追えてないから解説助かる
◇名無しの調査開拓員
おっさんのせいでシナリオぶっ壊れてるからなぁ
おっさんがレゥコちゃんと降りてきたのって本来最終到達地点なんだろ?
◇名無しの調査開拓員
そのはずなんだけど、シナリオの改変があるかもしれんから分からんね
◇名無しの調査開拓員
シナリAIちゃんも大変っすねぇ
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「先輩、シナリオの修正率どんな感じですか?」
「スクラップ&ビルド&スクラップって感じだな」
「絶望的っすねぇ」
オペレーションルームでは一時的にコーヒー禁止令が敷かれ、うんざりした様子の研究員が机に突っ伏していた。ディスプレイに表示されたシナリオAIの稼働率は基準を遥かに超えており、システムが全力でシナリオの整合性を合わせようとしていることが示されている。
それでも現場の収拾はついておらず、若い研究員が困り顔で肩をすくめた。
「あのおっさん、MPKでしょっ引けないですか?」
「事前警告もしてるし、至近距離で巻き込むレベルだと爆発しないようにしてる。直接的な被害は出てない以上、規約違反には当たらない」
「そのへんちゃっかりしてるのが、らしいですよね」
別のディスプレイには順調に列柱神殿を攻略する白鹿庵の一行が映し出されている。有名な実況者であるテファの配信が、彼らの動向を察知するのに最も適していた。金髪のお嬢様が悲鳴を上げながら走り回っている様子と共に、白鹿庵の凄まじい侵攻が記録されている。
「シナリオAIは守護者を使って修正かけようとしてるみたいなんだが、守護者が喋る前にギミック攻略済ませて瞬殺しちまうからな」
「もうちょっと凝ったギミックにしておけば良かったのに」
「それだと一般の攻略難易度が高すぎるだろ」
一部のトップ層に合わせれば、MMOとして全体のユーザーエクスペリエンスは低下する。そのあたりのバランス調整こそが難しく、またMMOの肝であり、システムに完全依存することのできない領域であった。
「ああ、カフェインが取りたい……。頭痛がする……」
「コーヒー淹れたらシナリオAIが怒るんですから、仕方ないでしょう」
「なんなんだよそれは。人類よりもAIか?」
「FPOに関しては、そうですね」
不満を呈する先輩に、後輩はにべもなく首を振る。
シナリオAIが稼働しなければ、イベント自体が破綻する恐れすらあるのだ。FPOそのものを人質に取られている以上、彼らはシナリオAIに従うほかない。
「お?」
「どうかしましたか?」
「シナリオAIから要望だ。自分の権限じゃできないから、承認しろとさ」
「人間の承認が必要って、どんなシナリオ修正するつもりなんですか……」
「さてねぇ。ま、俺に拒否権はないさ」
高度なAIがゲームを取り仕切っている以上、人間の仕事は決裁だけである。それも、構造上拒否できるとはいえ、しようと思えばかなりの手間がある。研究員はカフェイン不足で朦朧とする頭で、さっさと承認ボタンをタップするのだった。
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Tips
◇カフェイン
興奮作用のある成分。コーヒーなどに含まれる。ハードワーカーのお友達、あるいは敵。
服用すると高い集中力が発揮できる反面、効果終了後には強烈な脱力効果が発生する。
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