第1106話「奇奇怪怪」※

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◇ななしの調査開拓員

人魚料理うますぎる


◇ななしの調査開拓員

お前何が一番好き?

俺はやっぱり王道をいくオッポチョレッペのポポピコかな〜(笑)やっぱりポッポのしかたが丁寧だよね。手を抜いてないっていうか、基本をしっかり抑えてる感じがして。料理長の腕前とか、やっぱり一番わかる料理だよね。まあやっぱりペペップパプラのプイポイには負けるんだけど、それはやっぱりしかたないかな。


◇ななしの調査開拓員

名前が意味不明すぎるんだよな。なんだよポポピコって。


◇ななしの調査開拓員

謎の料理食べて謎の味がした時はとりあえずわっしょいって言っておけばいいって婆ちゃんが言ってた


◇ななしの調査開拓員

実際うまい料理もあるっちゃあるんだけどな


◇ななしの調査開拓員

10品目のうち7品くらいは美味いよ。2品は不味くて1品はめっちゃ美味い。


◇ななしの調査開拓員

不味いっていうのもたぶん癖が強いとかそんな感じだからな。

こういうの好きそうな人はいるだろって感じがする。


◇ななしの調査開拓員

あれだ、酒にあう肴なんだよ


◇ななしの調査開拓員

あーなるほどね

ピュピュリピュッツィアとか多分辛口の日本酒にめっちゃ合うよ


◇ななしの調査開拓員

名前言われても何かわからん


◇ななしの調査開拓員

とりあえず画像をつけといてくれよ


◇ななしの調査開拓員

wikiに人魚料理の項目できてるぞ。画像と名前と鑑定結果が載ってる。


◇ななしの調査開拓員

有能すぎる奴がいるみたいだな


◇ななしの調査開拓員

人魚に歓迎してもらえるとは思わなかったぜ


◇ななしの調査開拓員

人魚のおねえちゃん可愛い子多くて嬉しい。貝殻ビキニはやっぱ最高だよな


◇ななしの調査開拓員

わっしょいわっしょい言っとけば喜んでくれるもんな


◇ななしの調査開拓員

そう言って人魚のねーちゃんと一緒に泳ぎに行った奴、だいたい原生生物に食われて死んでるんですけど


◇ななしの調査開拓員

普通に忘れそうになるけどここ最前線なんすよ


◇ななしの調査開拓員

クラゲとかタイとかサメとか、普通にめっちゃくちゃ強いからなぁ


◇ななしの調査開拓員

あれを初見で倒せる白鹿庵がヤバいだけってそれいち


◇ななしの調査開拓員

そもそも水中戦がかなり独特だからな。慣れが必要だわ。


◇ななしの調査開拓員

河童がめちゃくちゃ元気になってる。潜水装備も結構売れてるし。


◇ななしの調査開拓員

宴会場で仲良くなった人魚のおっさんと泳いでたらミサイルみてーな魚が飛んできて胸貫通して爆散したでござる


◇ななしの調査開拓員

ええ……


◇ななしの調査開拓員

人魚の国は修羅の国かよ


◇ななしの調査開拓員

割とマジで地獄ではある


◇ななしの調査開拓員

粘菌くんいなかったら3秒で死ぬし


◇ななしの調査開拓員

なんで人魚たちは無事なんですかね


◇ななしの調査開拓員

なんかフィジカルで耐えきってるらしいよ


◇ななしの調査開拓員

こわすぎ


◇ななしの調査開拓員

宴会はいいけど、このあと実際どうするんだろ

どうやって貯蓄袋まで行くんです?


◇ななしの調査開拓員

そもそも貯蓄袋でアトランティス見たのっておっさんたちだけなんじゃろ?


◇ななしの調査開拓員

とりあえず、今はおっさんがアストラたちとなんか話し合ってる。人魚姫も参加してるみたいだし、何かしら作戦は立つだろ。


◇ななしの調査開拓員

人魚姫も可愛いよね。デカすぎるけど、デカいのいいよね。


◇ななしの調査開拓員

性癖が破壊される音がする。


◇ななしの調査開拓員

新しい扉が開いてんだよ。


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◇ななしの調査開拓員

なんか死ぬほど綿花の値段上がってるんだけど何があったし


◇ななしの調査開拓員

野次馬かどっかのニュース見てきたらいいよ


◇ななしの調査開拓員

綿花景気きたなこれは。俺が長年開発し続けてきた綿花が火を噴くぜ


◇ななしの調査開拓員

キヨウちゃんがなんか言ったのか。

俺もアマツマラちゃんにミニスカナース衣装を着てもらって、クソデカ注射器ブッ刺されたい


◇ななしの調査開拓員

メイド連合が本気出してる


◇ななしの調査開拓員

ビキ愛もかなり気合い入れてビキニアーマー作ってるよ。運営さん監視がんばれ。


◇ななしの調査開拓員

作戦成果ポイント交換し終わったら管理者に衣装リクエストできるの?

キヨウちゃんさすがだわ


◇ななしの調査開拓員

アマツマラとかポイントバリバリ稼いでる奴多そうだし、真っ先にひん剥かれそう


◇ななしの調査開拓員

着物の帯を引っ張られてあーれーってしてるアマツマラちゃん!?


◇ななしの調査開拓員

いくらなんでも時代が古すぎるだろ


◇ななしの調査開拓員

何世代前のセクハラだよ


◇ななしの調査開拓員

ここはやっぱり、男装ですよね。スーツとか着てもらいたい。


◇ななしの調査開拓員

ロリィタに決まってるだろJK


◇ななしの調査開拓員

どう考えてもスモックなんだよなぁ


◇ななしの調査開拓員

セーラー服の良さが分からんとは、この愚民どもめ


◇ななしの調査開拓員

あの幼女体型でアダルティなドレスを着るのがいいんだろうがよ


◇管理者

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『呑鯨竜内部の調査開拓員たちとの通信が開通しました』

『はー、やっとか。これでひとまず、第一段階はクリアといったところじゃのう』


 次々と流れ込んでくる先遣隊からの情報に、T-1は大きなため息をついて安堵する。

 通信不可能な海の底の巨大原生生物の体内へ大量の調査開拓員を送り込むことは、様々な危険を孕んでいた。全滅も覚悟していただけに、機能停止した調査開拓員の数が予想よりもはるかに少ないことに驚いたくらいだ。


『ポセイドンからの連絡は?』

『緊急救難信号ホイッスルの発信以降ありません』

『ぬぅ。こっちはまずそうじゃの……』


 調査開拓員との通信が繋がる直前、同じ地点からホイッスルの信号が発せられた。座標と識別標だけを示す単純な信号だったが、それがポセイドンより発せられたことはすでに確認済みであった。


『汚染術式がアトランティスを侵蝕している可能性もありますね』

『十中八九、その影響はあるじゃろうなぁ』


 ウェイドの推察にT-1も同意する。

 とにかく、第零期先行調査開拓団がらみのきな臭い話は、大抵汚染術式が悪さをしているのだ。その可能性を除外する方が不自然である。


『ひとまず、情報的防御障壁を作っておる。バックアップとフェイルセーフプロトコルの整備はT-2に頼んでおるし、攻撃的情報調査作戦はT-3が構築しておるからな。もう少し待っておれ』

『べ、別に私は急いでいませんけど』

『本当かのぅ?』


 取り繕うように否定するウェイドに対して、T-1は懐疑的な目だ。通信が確立された直後に真っ先にレッジへとコールを送っていた彼女の姿をしっかりと見ていただけに、彼女の言葉をほとんど信用していない。

 しかし、今はそんなことを追及している暇はない。T-1は中数演算装置〈タカマガハラ〉の演算リソースを大きく開放して、大規模な情報的防御障壁の構築を進める。指揮官クラスが作り上げるそれは、現地で活動している調査開拓員たちが扱う情報量を大幅に逸脱しているものだ。

 データ量にして、ペタバイト級という規模を基本単位として、それを無数に結合していく。そうして作り上げた複雑な情報的防御障壁が、アトランティスへ向ける目を保護する。


『さてさて、現地はどうなっておるやら』


 同時にT-2とT-3の仕事も完了する。それらの最終確認を行なったT-1は、早速調査を始めた。その情報は情報保全検閲システムISCSのセクションを挟んだのちに、ウェイドたちにも共有される。


『ふむふむ』

『これは……。かなり絶望的な状況なのでは?』


 アトランティスを管理する都市管理中数制御術式とやらが完全に狂っている。無限に意味のない破損データを吐き出しながら、防衛兵器をしっちゃかめっちゃかに動かしているようだった。


『現在、生体保管封印区画No.0001から9999、物資保管区画No.0001から9999、封印維持区画No.0001から0010、都市防衛区画No.0001から1000、都市防衛支援区画No.0001から2000、都市中枢区画No.01、生体的実験管理区域No.0001から5000、危険生物封印廃棄区画No.0001から0005が機能停止状態もしくは制御不能状態にある、か』

『ほぼ壊滅状態ってことですよね』

『うーむ、それはどうじゃろうな?』


 ログを辿っていたT-1は懐疑的な顔で首を捻る。彼女はレッジが撮影した唯一のアトランティスの外観を確認しつつ、思案する。


『アトランティスの詳しい規模は分からぬが、どう考えても一万近い生体保管封印区画やらがあるとは思えぬのじゃよなー』

『……たしかに、ナンバーがどれも大きいですね』


 それぞれの区画がどれほどの大きさであるのかまでは分からない。しかし、それにしても区画ナンバーがどれも綺麗に揃いすぎている。〈スサノオ〉や〈ワダツミ〉といったシードを投下して建設される都市であっても、ここまでのものはない。


『たぶん、これは数字がバグっておるな。実際の都市規模を考えると、9999区画も存在するはずもないからのう』

『つまり、偽装されているということですか?』

『かもしれぬのう。……被害状況を水増ししておるとか?』


 作ったばかりの情報的防御障壁が猛烈な勢いで食い破られているなか、T-1は冷静に考察していく。汚染術式の侵蝕を受けていることは確実だろうが、その進行状況がこれまでのものとは大きく異なっている。

 多方面から考えても、UMCCFが虚偽の回答をしているように思える。問題は、なぜそのようなことをするのか、なぜそのようなことができるのか……。


『T-1! 大変だ、助けてくれェ!』

『なんじゃ?』


 さらに思考を深めようとした直前、T-1の元にアマツマラから緊急のコールが入る。何事かと驚きながら応答する彼女に、切羽詰まった声が続く。


『ちょ、調査開拓員が――』

『なぬっ!? まさか、また汚染術式が流出したのか!?』


 調査開拓員への汚染術式感染。それによって受けた甚大な被害が、T-1の脳裏にフラッシュバックする。レッジやアストラといった要注意人物が感染した場合、もはや手をつけられない。


『――調査開拓員が、ナース服とメイド服を持って追いかけて来てるんだ! あっちからはロリィタが!』

『…………はぁ?』


 助けてくれ! とアマツマラの悲鳴が上がる。T-1が通信監視衛星群ツクヨミを操作してアマツマラの現在の状況を調べると、マニアックな服を掲げて目を妖しく光らせた調査開拓員たちが、彼女を追いかけていた。アマツマラは悲鳴を上げ涙目になりながら逃げ回っている。


『何をやっとるんじゃ、あやつら……』


 この一大事にのんきなことだとT-1はため息をつくのだった。


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Tips

◇愛護の天使装備セット

 怪我人を優しく労わる慈愛を持った愛護の天使をモデルにしたナース服のセット。薄いピンク色が優しい雰囲気を醸し出す。

 〈支援機術〉〈手当〉スキルのテクニックの効果量が上昇する。


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