第807話「指名手配犯」※

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FPO日誌

 このブログはVRMMO、FrontierPlanetをプレイしている一般のおじさんが惑星イザナミでの出来事をぼんやりと記していく日誌です。

 あまり有益な情報などはありません。

 攻略情報は公式wikiかBBSのほうがいいでしょう。

 上級者向けのものは「大鷲の騎士団(別窓)」や「ねこのあしあと(別窓)」へ。

 あくまでも、平凡な日常を淡々と記したものであることにご留意ください。


 メンバーからの許可を得たので、今後はバンド〈白鹿庵〉の活動日誌としても運営していきます。

 その一環で、本人らからの要望を受けて記事中の画像にあったメンバーのプライバシー保護編集を消しました。

 ゲーム内での問い合わせは〈白鹿庵〉リーダーのレッジまでお願いします。


#381「グレムリン登場です」


 第一拠点に続き、第二拠点でも大隔壁を守る書庫番を突破し、順調に攻略が進む中、皆さんどのようにお過ごしでしょうか。


 さて、本日は第一拠点第七階層に赴いたプレイヤーの間で密かに噂になっていた金眼の幽霊の正体についてお話しします。

 そもそも、金眼の幽霊とは第七階層に出没するものの、暗闇の中で光る眼以外の全てが写真にも映らず、また機敏で姿を捉えることのできない謎の存在でした。今回、DWARF司書部の調査の結果、それがグレムリンという原生生物であることが判明しました。


 グレムリンの特徴としては、ドワーフと同じくらいの背丈で、体毛はなく、皮膚は青白く、眼と耳が巨大です。手足が細長く、機敏に拠点内を移動することができます。

 そして、写真などに映らず、センサー類も反応しない、という厄介な能力も持っています。そのため、今まで少しずつ目撃例は挙がっていたものの、その姿が広まることはなかったわけですね。

 このグレムリンという原生生物、どうやら機械を破壊したり改造したりすることがあるようです。我々も第七階層の電源区域で改造機コンバーテッドと遭遇しましたが、それらもこのグレムリンの仕業のようです。他にも、施設内のケーブルなどを切断したり、秘匿通路内を荒らしたりとやりたい放題です。

 DWARFの皆さんも、グレムリンに強い憤りを覚えているようですね。


 今回は〈白鹿庵〉のメンバーとプラムさんのご協力で、グレムリンのイラストを作成しました。まずはそちらをご覧下さい。


↓白鹿庵メンバーによるイラスト↓

[グレムリン_Ledge.img]

[グレムリン_Lacto.img]

[グレムリン_Letty.img]

[グレムリン_Mikage.img]

[グレムリン_Amy.img]

[グレムリン_Toka.img]

[グレムリン_Chiffon.img]


↓プラムさんによるイラスト↓

[グレムリン_Puramu.img]


 一番最後の画像がプラムさんに描いて頂いたものです。それ以外のものは〈白鹿庵〉メンバーのものですが、本人らの強い希望を受けてシャッフルした状態で公開しています。


 現在、DWARF警備部からグレムリンの駆除任務が発令されています。内容としましては、グレムリンの討伐1体につき、繙読協力ポイント200Pとかなりの高効率任務となっています。

 モデル-オニやモデル-ヨーコのモジュール交換に必要なポイントも多いため、この機会にぜひ第七階層を探索してみてはいかがでしょうか。


 また、司書部ではグレムリンに関する情報を随時受け付けています。グレムリンと実際に遭遇した方や、画力に自信がある方はそちらを訪ねてみてください。


 それでは、今日はこのあたりで。


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◇ななしの調査隊員

おっさん更新されたな


◇ななしの調査隊員

今日の更新はなんじゃらほい


◇ななしの調査隊員

誰かULR貼ってくれ


◇ななしの調査隊員

ブクマしとけ定期


◇ななしの調査隊員

グレムリンとな


◇ななしの調査隊員

はー、あの幽霊の正体分かったのか


◇ななしの調査隊員

正体見たり枯れ尾花ってやつだな


◇ななしの調査隊員

白鹿庵メンバーの絵、半分程度がだいぶ酷いのなんで?


◇ななしの調査隊員

シャッフルされてるらしいけど、だいたい誰が描いたわ分かる


◇ななしの調査隊員

グレムリン一体で200pか。ちょっと探しに行くかな。


◇ななしの調査隊員

正直割に合わないと思うけどなぁ。俺も一回遭遇したけど、即逃げられたし。


◇ななしの調査隊員

まあ受け得だと思うよ。他のメインミッションこなしつつでいいやろし。


◇ななしの調査隊員

しかしプラムって人の絵上手いな

この人は良く知らんのだけど


◇ななしの調査隊員

前におっさんが第二階層で遭難してた時に出会った子じゃない?


◇ななしの調査隊員

犬の子との二人組だっけ?

なんかwiki編集者なんだよな


◇ななしの調査隊員

なるほどなぁ


◇ななしの調査隊員

白鹿庵メンバーの絵がアレなのは〈筆記〉スキルがないからなんだ。しかたないんだ。


◇ななしの調査隊員

リアル筆記スキルもなさそうですけど


◇ななしの調査隊員

ていうかこれ、画像ダウンロードしたらタイトルで描いてる人バレてない?


◇ななしの調査隊員

マジやんけw


◇ななしの調査隊員

おっさーーーん!やらかしてますよ!!!


◇ななしの調査隊員

ミカゲ君の絵が一番芸術的()だなぁ

なんか意外だ


◇ななしの調査隊員

あの子なんでもそつなくこなすイメージあったからな。これがギャップ萌えってやつか?


◇ななしの調査隊員

赤ウサちゃんの絵、赤ウサちゃんって感じだ


◇ななしの調査隊員

盾姐さんの絵が普通に上手くない?


◇ななしの調査隊員

素質あると思うよ


◇ななしの調査隊員

一番評価に困るのがおっさんの絵だなぁ

良くも悪くも普通すぎる


◇ななしの調査隊員

あれ、記事が削除されたんだが


◇ななしの調査隊員

ほんとだ。リロったら接続できない。


◇ななしの調査隊員

鯖落ちたか?


◇ななしの調査隊員

おっさんのブログだとマジで鯖落ちることあるからなぁ


◇ななしの調査隊員

生き返れ生き返れ・・・


◇ななしの調査隊員

生き返った!


◇ななしの調査隊員

画像タイトル修正されてて草


◇ななしの調査隊員

おこられたんやろなぁ


◇ななしの調査隊員

おっさんご愁傷様。おいなりさんでも食べて元気だしなよ。


◇ななしの調査隊員

いなりといえばヨーコはどうなったんです?


◇ななしの調査隊員

そういえばまだ交換した人の話聞かないなぁ


◇ななしの調査隊員

誰が一番最初に交換するか予想しようぜ!


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「まったく! 本当にまったく!」

「申し訳ありませんでした……」


 ぷんぷんと憤慨するレティたちに、俺は膝を揃えて誠心誠意の謝罪を行う。ブログを公開した直後、即座に一報が飛んできて、慌てて修正したのだが、時既に遅しというやつだ。公開して後悔、とはまさにこのこと――。


「レッジさん? 何かしょうもないこと考えてますよね?」

「いえ、そんな訳では」


 雑念を振り払い、レティの鋭い視線から逃れる。


「まさかレッジがこんな凡ミスするなんてね。レティたちの恥ずかしい絵が白日の下に晒されちゃって、大変だねぇ」

「暢気に言ってますけど、ラクトのも大概ですからね?」

「わたしは上手く描けてるからいいもん」


 わいのわいのと言い合いを始めるラクトたち。その様子をシフォンが苦笑して見ていた。


「そういえば、モデル-ヨーコの話は聞かないわねぇ」


 そんな騒ぎをそっちのけで掲示板を見ていたエイミーが、不意に口を開く。その言葉に、他の皆もそう言えばと頭を揺らした。


「モデル-オニよりも交換に必要なポイントが多いですからね。人気は高いと思いますけど、まだしばらく掛かるんじゃないですか?」


 そう言うのは、自身はすでにオニのモジュールを手に入れたトーカだ。

 彼女も延々と拠点に潜り続けて、なんとかモデル-オニの増設モジュールを獲得した。モデル-ヨーコはそれよりも更に多くのポイントが必要であるため、多少ポイント稼ぎの効率が上がったところで、まだしばらく時間はかかりそうだ。


「というか、モデル-ヨーコを狙ってる人はいるのか?」


 ふと気になって訪ねると、レティたちは互いに互いを見渡す。


「レティは今の機体が気に入ってますからねぇ。変えるつもりはないですよ」

「右に同じく。機術師ならフェアリーが一番だからね」


 レティとラクトはさほど間も開けずに言う。二人のプレイスタイルに一番合っているのが、それぞれの機体らしい。


「エイミーは?」

「私もタンクだしね。それに、体格ががらっと変わると慣れるのも大変だし」


 エイミーはそう言って腕を曲げる。盾役タンクとしても、耐久力に秀でるタイプ-ゴーレムは最適だ。


「ミカゲはどうなんです?」

「……ヒューマノイドが一番クセがなくていい」

「お、俺と同じ理由だな」


 ミカゲの言葉に、俺は賛同する。何だかんだ言って、やはりタイプ-ヒューマノイドが一番扱いやすいのだ。体格的にもリアルとそう変わらないからな。


「わたし、実はちょっと興味あるんだよね」


 そう打ち明けたのはシフォンだった。少し照れたような笑みを浮かべて言う彼女に、レティがほうと声を漏らす。


「タイプ-ライカンスロープはいいですよ。動きも機敏になりますし」

「そうなんだよね。やっぱり、回避してると動きの素早さが大事に思えるから。それに……」


 シフォンはそう言って、一度言葉を区切る。ちらりと俺の方を見て、胸中に秘めていた事を吐露する。


「事前の予想で、タイプ-ヨーコは三術スキルに適性があるんじゃないかって言われてるんだよね。だから、もしモジュールが交換できたら、何か三術スキルを取ってみたいなって思ってるんだ」

「へぇ。そりゃいいじゃないか」


 シフォンもこれまでの戦いの中で成長を重ねて、行き詰まりを感じていたのだろうか。今の状態よりも一皮剥けるため、新たな分野に手を伸ばそうとしている。

 まるで娘の成長を見ているかのような気がして、思わずテンションが上がってしまう。


「……〈呪術〉なら相談に乗る。他のも、〈キヨウ〉に道場があるから行ってみると良い」

「うん。ありがとう。まだ何にするかは迷ってるんだけどね」


 三術連合の仕掛け人として、ミカゲが宣伝をする。三術を志す者はそれなりに多いようで、三術連合はそういった初心者の支援も行っているらしい。


「それじゃあ、シフォンも沢山ポイントを稼がないといけませんね!」


 話は聞かせて貰ったとトーカが勢いよく立ち上がる。


「はえっ!? いや、わたしは自分のペースで行ければ十分――」

「ならばこうしてはいられません。私がポイント稼ぎの極意を教えてあげましょう」

「はええっ!?」


 話を聞かないトーカにむんずと腕を掴まれ、シフォンが第七階層の記録保管区域へと消えていく。


「俺たちも追いかけた方がいいやつか?」

「シフォン一人だと、保たないでしょう。トーカを抑える役は必要だと思います」


 俺たちも休憩を切り上げ、立ち上がる。そうして、トーカたちの消えていった方へと走り出した。


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Tips

◇グレムリン駆除任務

危険度:4

場所:第一重要情報記録封印拠点第七階層

説明:

 第一重要情報記録封印拠点第七階層にて目撃された原生生物“グレムリン”を探索、駆除せよ。対象に関しては多くの謎が残されたままであるため、司書部との連携を密にして、同時に対象の生態解明を進める必要がある。

報酬:グレムリン討伐1体につき繙読協力ポイント200


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