第618話「会心の皿」
2日目の夜も、昼に引き続き節約戦闘が行われていた。
エイミーとシフォンがアイテムを極力消耗しない戦闘を進める中、レティたちも夜間の戦い方などについて意見交換を行っている。
大茸猪などの
「そういえばトーカ、少し聞きたいことがあるんですが」
「なんでしょう?」
カミルが群れからはぐれた――というよりレティたちが壊滅させた群れの唯一の生き残りとなった――一角跳ね馬と死闘を繰り広げている傍ら、レティがトーカに声を掛けた。
“大太刀・妖冥華”の手入れをしていたトーカは、長い刀身を鞘に収めて向き直る。
「高速移動剣術、でしたっけ。あれって〈杖術〉スキルでもできませんか?」
レティの口から飛び出したのは、剣士界隈の一部で研究が進んでいるテクニックの名前だった。
「あれを他の戦闘スキルで、ですか。研究している方はいらっしゃるでしょうけど」
高速移動剣術というものは、流派ではない。
〈剣術〉スキルの一部には発動中高速移動が可能になるものがあり、それを連続して発動することで長距離を瞬時に走破する、というテクニックだ。
この技術を発見し、広めたのは〈八刃会〉のハガネという剣士だったはずだ。
「あれはまず、前提条件として最低でもテクニックのディレイ短縮46以上を装備で揃える必要があります。その上で熟練度750以上の『連撃の構え』を発動して、0.5秒以内に熟練度500以上の『迅雷切破』を撃つ必要がありますから」
「おおう……」
トーカの口から述べられたのは、思っていたよりもかなり厳密に設定された必要条件だった。
あまりの細かさにレティも絶句している。
「ディレイ短縮装備がもっと積めればより楽に技を繋げられますけどね。ディレイ短縮59以上で『連撃の構え』と『迅雷切破』の熟練度を1000にすれば、あとは『空輪斬』『迅雷切破』『飛翔双翼』『迅雷切破』の無限ループができるようになります。ディレイ短縮80以上、各テクニックの熟練度1000なら、『空輪斬』と『迅雷切破』だけで回せますけど、そこまでディレイ装備を積むと攻撃力とかは犠牲になりますね」
「は、はえー……」
淀みなく続くトーカのレクチャーを受けて、レティがいつかのシフォンのような顔になっている。
高速移動剣術は便利な移動技であるだけに、その研究もかなり進んでいるらしい。
となれば、そんな移動技を他の武器種に輸入できないかと考えるのは自然な発想だろうが、未だにそういった話は聞かないということは、そういうことなのだろう。
「私は〈杖術〉のテクニックをあんまり知らないんですが、『迅雷切破』のような同スキルテクニックの発生を5%以上短縮するものってありますか?」
「テクニックの発生ですか。気にしたことないですね……」
高速移動剣術というのはつまり、テクニックの発生時間と再使用可能時間を極限まで圧縮することで、テクニック使用後の硬直時間が始まるよりも早く次のテクニックを使う、というものだったようだ。
〈杖術〉、特にレティが扱うようなハンマー系統のテクニックは発生時間も再使用可能時間も硬直時間も長く、その代わりにダメージが大きい傾向があるため、高速移動鎚術の実現はなかなか難しい。それがトーカの見解だった。
「むぅ。残念ですね。レティもあのカクカクした動き方をしてみたかったんですが」
「あれも人によって適性があるみたいですね。酔いやすい人は技を一巡する前に耐えきれなくなるとか」
「ああ、それは分かるなぁ」
側で話を聞いていたラクトが頷く。
高速移動剣術は不具合というほどではないが、テクニックを通常の目的に使っているわけでもない。
それを使っているプレイヤーを傍から見れば、妙にカクカクとした動きで剣を振りながら一直線に走っているように見えるのだ。
当然、視界も揺れるだろうし、人を選ぶのも頷ける。
「トーカも普段はあんまり使いませんよね」
「まあ、使うしかない時には使えるようにしてますけどね」
トーカも剣士であるため、当然のように高速移動剣術を扱える。装備もそれを想定して、能力補正などを調整しているようだ。
しかし、日常的に多用しているかといえばそうでもなく、彼女はむしろあまり使いたくないような感じも見て取れた。
「なんというか、剣の真っ当な使い方というわけでもないですからね」
「確かにねぇ。そういえば、トーカってリアルでも剣術やってるんだっけ?」
俺も以前、本人から聞いたことがある。
ラクトの問いにトーカもすんなりと頷いた。
「実家が道場をやっているので、小さい頃から剣に触れてきましたよ。こう見えて師範代もやってるんです」
「へえ、すごいな」
少し誇らしげにトーカは言う。
リアル剣士であることは知っていたが、まさかそこまでとは思っておらず、聞き耳を立てていた俺も声を漏らしてしまう。
『ちょっと!? アタシがピンチなんだけど!』
「わ、分かってるって。ちゃんと見てるから」
一角跳ね馬と激戦を繰り広げるカミルに怒られていると、それに気付いたトーカたちがこちらを見て吹き出した。
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私の家は長閑な田舎の山奥にある。学校へは自転車、電車、バスと三つの交通手段を使わないと辿り着けないほどの僻地だ。
その日も数時間掛けて帰宅し、山の斜面に備えられた長い石階段を登って道場に向かった。
「一ッ! 二ッ! 三ッ!」
「一ッ! 二ッ! 三ッ!」
「一ッ! 二ッ! 三ッ!」
階段を登り古びた門をくぐると、早速威勢の良い声が聞こえてくる。住み込みの門下生たちが鍛錬を始めていた。
「ただいま、父さん」
「おお、帰ったか」
広い庭で木刀を振る、道着袴姿の門下生を指導しているのは、同じく袴姿の父親だ。身内贔屓かもしれないけれど、年齢の割に良く鍛えられていて、体も大きい。
「お嬢だ!」
「お嬢、おけぇりなさい!」
「お勤めご苦労様です!」
私に気がついた門下生たちが、厳つい顔に笑みを浮かべて手を振ってくる。物心ついた時からこれなので慣れてしまったけれど、普通の女の子が見れば卒倒しそうな悪人面だ。
「喝ッ! 剣を止めるな! その隙に首を刎ねられても知らんぞ!」
騒ぐ門下生たちを父親が一喝する。
大きく張られた声は耳の奥まで痺れ、私まで口をへの字に曲げてしまった。
「全く。最近の者は弛んどるな」
「程々にしておいてね……」
憤慨する父親を諫め、私は道場の建物の方へ入る。
学校以外の時間は私も父と共に門下生たちの指導をする。
門下生は私よりかなり年上だけれど、剣の経験なら私の方が断然上だ。
何せ言葉を覚えるよりも早く太刀筋を覚え、中学に上がるころには師範代の許しも貰っている。
うちはかなり歴史の長い武道家の家系だ。実のところ、剣術だけではなく、体術、棒術、果ては暗器術まで、様々な術を包括的に組み込んだ、総合古武術というものだ。
とはいえ、私は専ら剣ばかりで、代わりに双子の弟が暗器術を専門にしている。
界隈ではかなり名の知れた家門らしく、門下生も職業軍人や警察、護衛、ちょっと人には言えない職業など、色々だ。
「あっ。そうだ……」
更衣室で制服のボタンに指を伸ばしたところではたと気がつく。
そういえば、今日は鍛錬以外の予定が入っていた。
鞄から出していた道着と袴をいそいそと仕舞い、外で指導を続けている父親の元へ向かう。
私が戻ってきたことに気がついた父は、着替えていないことに首を傾げた。
「どうした? 体調でも悪かったか?」
「そうじゃなくて。その、今日はちょっと予定があるの忘れてた」
そういうと、父だけでなく門下生たちも少なからず驚きの声を上げた。
自分でもなかなか珍しい事だと思う。鍛錬の時間はFPOよりも優先しているし、よほどの事情が無い限りすっぽかすこともない。
「ま、まさか男か!? おお、ついに我が空眼流にも世継ぎが――」
「違うよっ!」
見当違いな予想をして浮かれた顔をする父親に、思わず手が出てしまった。
瞬間的に喉元へ突き付けた手刀を見て、父親は怒るどころか目を輝かせる。
「うむ。流石は我が娘だ。良い突きだな」
「……もういいよ、武道バカ。その、今日はちょっと母さんに料理を教えて貰うから」
「――!?」
手刀を収めつつ、視線を落としながら事情を話す。すると面白いように父親と門下生たちの間に緊張が走ったのが分かった。
「お、お嬢が――料理を――!?」
「立てば袈裟切り座れば斬首、歩く後には死屍累々と呼ばれてる、お嬢が料理を!?」
「失礼ね!? なに、その言われようは!」
わなわなと子犬のように震える屈強な男共に、流石の私も憤慨する。明日からは思い切り厳しくしてやろう。
「だって、お前。母さんが生け花や茶を教えようとしても、三秒で放り出して道場に来ていたじゃないか」
「ぐ、それは……」
父親の言葉は事実だけに言い返せない。
ウチが武術の名家であるように、母親の実家も花と茶の名家だった。そのせいか、私も幼少期は母親から色々と教えられたのだけれど、結局は剣が一番性に合っていた。
「やっぱり、男ができたのか!?」
「違うってば! その、ちょっとゲームの方で料理をする必要性があって……」
「ゲームって、FPOのことっすか?」
父親や大半の門下生は世間の娯楽をあまり知らないけれど、一部の若い門下生は私がプレイしているFPOのことも知っている。
「お嬢、ゲームの中なら好きなだけ刀を振れるからって言ってたのに」
「敵を切る時の感覚はなかなか生々しいとか」
「師範も、お嬢が現実で刃傷沙汰を起こさないようにってFPO買ったんですよね」
「好き放題言うね、君たち」
……だいたい事実だけれど。それはそれとして更に鍛錬を厳しくしてあげよう。
「でも、ゲームならそう変な料理は作れないだろ」
「セミとカブトムシの入った鍋とかはないだろうな」
「俺、あの頃は昼の鍛錬より夜のメシの方が辛かったぞ」
「……」
再び口々に失礼な事を言う門下生たち。
私も一時期、料理を習うついでに彼らたちの食事当番をしていたことがある。自分なりに栄養を考えて、いろいろと作っていたのだけれど、三日目あたりで大の男達に泣いて懇願されて止めさせられた。
道場生活の長い門下生たちは、今でもその頃のことを若い門下生たちに語り継いでいるらしい。
「今回は大丈夫よ。ほら、図書室で本も借りてきたし」
そう言って、鞄の中から本を取り出して見せる。
分厚く、古い割には借りる人が居なかったのか小綺麗なその本をしげしげと見て、門下生と父親は再び目を伏せた。
「猿でも分かる料理集……」
「猿しか食えねえ料理しか載ってねぇんじゃねえか?」
「猿も尻尾巻いて逃げるだろ」
「野生の生存本能舐めるなよ」
伝家の宝刀と思って見せたのに、反応が思っていたものと丸っきり違う。なんだ、この男共は私が猿以下とでも思っているのか。
「今夜、腰抜かしても知らないからね」
「ちょ、ちょっと待て! まさか、父さんたちに向けて料理を作るつもりじゃないだろうな」
最近見た覚えがないほど焦る父親にむっとする。
「当然でしょ。作った料理は誰が食べるのよ」
例え練習だろうと、食材を無駄にするわけにはいかない。幸い、ウチは大所帯だし、みんなキツい鍛錬でお腹を空かしている。いくらでも料理は食べてくれるはずだ。
「俺たちゃ残飯処理班かよ……」
「廃棄物処理班かも」
「核か?」
「腰じゃなくて魂ァ抜けちゃうよ」
もはや完全に稽古のことを忘れ、暗澹とした表情で崩れ落ちる門下生たち。それなのに父親もそれを叱らない。どころか、
「各々、今日の稽古は止めだ。できる限り体力を温存し、夕食に備えろ。若いのは薬屋まで行って胃薬をありったけ買ってこい。飯当番はせめて、白飯を倍炊くように」
「なんでそんな、戦の前みたいな顔なの……」
「戦だからだよ」
予定よりもかなり早く稽古が終わったというのに、門下生たちは浮かない表情だ。鉛のように重たそうな足で、とぼとぼと石階段を降りていく。
父親はまるで決死の特攻に出る兵を送る将校みたいに険しい表情で彼らを見送り、静かに私の方へ振り向いた。
「いいか、異臭のするものは使うな。画期的なアイディアが浮かんだ時はまず母さんに話せ。一人で判断するな。強火は時短技じゃない。家を壊すな。戸棚の酒は勝手に使うな。料理本か母さんか飯当番を信じて、それ以外の全てを疑え」
「わ、分かってるよ……」
父親のこんなにも真剣な表情は、幼いころに勝手に真剣を抜いてしまった時以来だ。
どれだけ信用されていないのか、少し傷心しつつも頷く。それでも父親は祈るような顔で私の肩をぎゅっと掴んだ。
「後は母さんに全て託す。頑張れ……いや、あんまり頑張るな」
「任せて。ちゃんと美味しい料理をご馳走するから」
「うん……」
その後も何度も念を押され、ようやく解放される。
すでに母さんと約束した時間を少し過ぎていて、私は慌てて階段を飛び下りるようにして家に向かった。
「……明日、いや三日ほど稽古はできないな」
ひとり道場の庭に残った父親の、そんなつぶやきも聞こえなかった。
「来たわね」
家に戻ると、台所で着物を着た母親が待ち構えていた。その背後には今日の飯当番の門下生が三人、固い表情で立っている。
ウチは住み込みの門下生が沢山いることもあって、かなり広い台所がある。そこで毎日、大食らいの男達の胃袋を満たす大量の料理を作っているのだ。
台所の頂点に立つのは母親で、三人の飯当番はその指示に従って動く。
私も手を洗い、家庭科の調理実習以来使っていなかったエプロンと三角巾を装備する。
「何か作りたいものはあるの?」
「そうだなぁ。茶碗蒸しとか」
母親の質問に答えると、彼女は僅かに眉を動かした。
「爆発する可能性があるし、まだ駄目よ」
「もう、過保護だなぁ」
「我が身が可愛いだけよ。それに、台所もリフォームしたばっかりだもの」
自分で言うのも何だが、和食ならそれなりに得意だ。それについては母親からも認められている。
「それじゃあ、まずは簡単な筑前煮から始めましょう」
テーブルに置いていた料理本を捲り、母親は筑前煮のレシピが載ったページを開く。
「具材を切って煮込めば良いんだよね。任せて」
「ちゃんと、母さんの言うとおりにするのよ」
父さんにも言われたことを繰り返され、少しうんざりしながら頷く。
料理番が倉庫からニンジンやレンコンといった食材を持ってきてくれたため、早速包丁を握る。
「皮を剥いて、一口大に。……こんな感じよ」
「はい。……こんな感じ?」
「包丁捌きだけは一級品なのよね」
母さんから褒めて貰いつつ、食材を切っていく。
隣では門下生が大きなボウルでお米を研ぎ、大きな炊飯器に仕掛けていた。
自分でも驚くほど、順調に進んでいた。心なしか、母さんたちの表情も和らいでいる。やはり私も知らないうちに成長していたらしい。
「――よし、いいわね。じゃあ広間に持っていって」
「はーい!」
母さんの味見もクリアし、私は意気揚々と大鍋を抱えてみんなの待つ広間へと運ぶ。
「できたよ!」
襖を開けて広間に入ると、異様なほど静かに門下生たちが待っていた。
「ああ、来てしまった……」
「みんな、胃薬は持ったな」
「そんなに心配しなくても、母さんの味見もクリアしたんだから」
そう言うと、厳つい男達があからさまにほっとする。
その失礼な根性を、料理の味でたたき直してやろう。
「さ、召し上がれ」
「じゃあ……」
いただきます、と手を合わせ、男共が箸を手に取る。
我ながら良い出来でお腹も空いてきたけれど、やっぱりみんなの反応を見てから食べたい。
「おお、醤油の味がする……!」
「料理だ、料理だぞ!」
「ていうか、普通に美味いぞ!」
ちょろちょろと小さな具材から食べ始めた男達が俄にざわつき出す。
白米を掻き込む速度も早くなり、表情にも笑顔が現れる。
「ああ、お嬢……成長されたんですねぇ」
「お嬢のこと信じてましたよ!」
「美味ぇ。期待値がどん底だった分、めちゃくちゃ美味ぇよ……」
賞賛し、涙を流す人まで出てくる始末に、私も思わず照れて鼻の頭を指で擦る。
そして、自分も食べようと箸を取ったその時だった。
「うっ」
「なん、視界がゆれ……」
「川が見える。あれ、ばあちゃん……?」
「あ、あれ!? みんなどうしたの?」
突然、今まで幸せそうにしていた門下生たちが倒れていく。
慌てふためいていると、慌てた様子の飯当番が駆け込んできた。
「その筑前煮を食べるなァ!」
「どうした突然!」
父親が驚くなか、飯当番の男は汗を流しながら事情を話す。
「お嬢、みりんと間違えて火酒を入れてますっ!」
「火酒!? 戸棚の奥に隠していた秘蔵の、ていうかめちゃくちゃ強い酒じゃないか!」
「へ?」
見れば、倒れた門下生たちも酒に酔ったような顔をしている。
「酒の香りも酒精の味もないのに。どうやって紛れ込ませたんだ……」
「天性の才能じゃないのか」
「お嬢に毒を盛られたら俺、依頼主を守り切れる自信ないぞ」
SPをしている門下生がそんなことを言って倒れる。
広場はすでに阿鼻叫喚の様相を呈していた。
「そういや、坊ちゃんはどこ行ったんだ?」
「姿が見えねぇな」
「危機察知能力が高いのは弟さんだからか……?」
残った酒に強い門下生たちが困惑するなか、私は無事に再び料理禁止令を言い渡された。
_/_/_/_/_/
「はい。私は和食をご馳走しますよ」
夜が明け、朝食当番はトーカだった。
彼女がそういって皆に配ったのは、海苔の巻かれた三角形のお握りだった。
「え、お握り?」
「まあ、和食と言えば和食ですけど……」
それを渡されたラクトとレティも困惑顔だ。
勝手にトーカは料理上手だと思っていたのだが、かなり予想が外れてしまったらしい。
「……姉さん、これしか作れないから。母さんもこれだけは認めてる」
昆布のお握りを食べながら、ミカゲがそっと呟く。
何故かは分からないが、彼の黒い瞳には哀愁が浮かんでいるようにも見える。
……認めているとはどういう意味だろう?
『おいなり……? まあ、おいなりじゃな。うむ、美味い!』
T-1が食べているのは、三角お握りに油揚げを被せたものだ。
別に海苔で巻く必要は無かったと思うのだが、そこはトーカのこだわりがあるようだった。
T-1はT-1で、前回の豆腐ハンバーグ稲荷によって概念を広げられているため、あまり気にしていない様子である。
「まあ、美味しいですよ」
「うん。お握りだね」
トーカの握ったお握りは、昆布、梅、鮭、明太子、と具材も色々あるようだ。外見からは分からないようになっているため、楽しみもある。
とはいえ、お握りである。
「味噌汁作ったぞ。あと沢庵も」
「わーい! お握りならこれだよね」
「ウィンナーとか焼きませんか?」
俺もお握りに合わせたものを用意し、レティの意見を取り入れて焚き火でウィンナーも焼いてみる。
「なんか、アレだね」
それを見たシフォンが一言呟いた。
「受験勉強してる時の、夜食」
その言葉に、全員が頷いた。
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Tips
◇お握り
白米に具を包んで握り、海苔を巻いたシンプルな料理。適度な塩気が疲れた体に染み渡る。様々な具材でバリエーションも豊富。
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