第406話「衝撃の新事実」

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FPO日誌

 このブログはVRMMO、FrontierPlanetをプレイしている一般のおじさんが惑星イザナミでの出来事をぼんやりと記していく日誌です。

 あまり有益な情報などはありません。

 攻略情報は公式wikiかBBSのほうがいいでしょう。

 上級者向けのものは「大鷲の騎士団(別窓)」や「ねこのあしあと(別窓)」へ。

 あくまでも、平凡な日常を淡々と記したものであることにご留意ください。


#215「〈特殊開拓指令;深淵の営巣〉2日目」


 第4回イベント〈特殊開拓指令;深淵の営巣〉の2日目。皆様どのようにお過ごしでしょうか。


 本日からはイベントの舞台となる〈地下資源採集拠点シード01-アマツマラ〉の管理者アマツマラさんだけではなく、ウェイドさんやサカオさん、キヨウさん、ワダツミさんたち、他の都市の管理者の方々も姿を見せてくれました。

 どうやら、アマツマラさんだけではイベント管理の負担が大きいということで、協力を要請したようですね。


 現在、〈雪熊の霊峰〉をウェイドさん、〈岩猿の山腹〉をキヨウさん、〈牧牛の山麓〉をサカオさんがそれぞれ担当されているようです。

 また、昨日から突如公開された、新しい任務【ゲレンデ整備計画】はワダツミさんが担当しています。


 我々がアマツマラを訪れた時には、すでに立派な〈アマツマラスキー場〉が広がっていて驚きました。


 本日、我々はまずイベントのメインミッションであるミニシードの回収を行いました。

 スキー場のリフトのおかげで、山の中腹に至るまでが楽になっていましたね。景観もとても素敵でした。


[リフトから.img]


 仲間と共にミニシードを集めた後は、スキー板を装備して一気に斜面を滑り降りました。

 昨日はテントを使って滑り降りたせいで周囲の皆さんを驚かせてしまいましたが、今回は一人用なのでそんなこともなく、雪も滑りやすく整備されていたので安全にアマツマラまで降りることができました。


[すごいスノボ.img]


 途中、仲間が軽快にトリックを決めていましたので、1枚だけ。掲載の許可はとっております。

 スキーやスノーボードによる滑走はいずれのスキルによるアシストも受けないらしいのですが、物理演算システムがしっかりしているからか、現実と遜色なく動けるのでとても滑りやすいですね。


 スキーを堪能した後、我々はせっかくなので別のイベント任務に向かいました。

 それは【カグツチ製造任務】。

 昨日、我々を助けてくれたのも〈ダマスカス組合〉と〈鉄神兵団〉の〈カグツチ〉でした。

 黒鉄の鎧武者、質実剛健を体現するようなあの姿は、とても格好良かったですね。


[カグツチ.img]


 【カグツチ製造任務】は基本的に生産職の方々向けの任務なのですが、私も一応〈料理〉スキルを囓っているので、“蒼氷猪脂”の納品をすることにしました。

 私と、仲間二人と、白月がアマツマラの生産広場で待機し、残りの四人が霊峰へ蒼氷猪を狩りに行く、といった分業制です。

 しかし、四人が四人とも優秀な戦闘職で、機獣のしもふりが大量にアイテムを運搬できることもあり、私だけでは処理できないほどの蒼氷猪が送られてきました。

 そこで、〈ワダツミ〉の別荘を任せているメイドさんを呼ぶことにしました。


 〈家事〉スキルレベル40以上で使用できるテクニックに『メイドロイド招集』というものがあるようで。

 もし、条件が合う方は試してみるといいかもしれません。


 そんな訳でメイドさんを呼んで、協力してもらうことに。これで脂作りは順調に進んでいたのですが、こんどはアマツマラさんに怒られてしまいました。

 どうやら“蒼氷猪脂”が彼女の予想を超えて納品され、倉庫を圧迫したようです。


 なので、我々はまた方針を変え、もうひとつの料理系納品アイテムの“白雪椿油”を集めるため、フィールドに出ることにしました。

 メイドさんにとっては初めてのフィールドということで、防寒具を着てはしゃぐ姿が可愛かったです。


[メイドさん雪の中.img]


 とはいえ、メイドロイドの機体は、我々調査開拓員の機体とは違って過酷なフィールド環境を想定していません。

 そのため、〈歩行〉スキルなどもなく、すぐに疲労によって動けなくなってしまいました。メイドさんを連れ歩こうと思っている方は、その点をご注意ください。


 結局、私がメイドさんを背負って行動することになりました。

 その際、ただ背負うだけでは彼女も退屈かと思い、私のカメラを使って撮影してもらうことにしました。

 メイドさんに〈撮影〉スキルはありませんが、私が録画状態にしたカメラを持ってもらうことで、代わりに周囲の風景を記録して貰う形です。


 メイドさんを背負いながら、再び雪の中を進む私たち。

 仲間の戦闘中の様子など、普段なら自分でもじっくりと見ることのできない画が撮れていましたので、なかなか興味深く感じました。

 多少の編集を加えていますが、公開の許可を貰えたので掲載します。


[雪中行軍.move]


 結局、2日目の今日はミニシード49個、“蒼氷猪脂”80枠、“白雪椿油”2枠をアマツマラに納品することができました。

 これによって、我々も少しではありますが、イベントの進行に寄与できていれば嬉しく思っています。


 イベントはまだまだ始まったばかり。

 今後も楽しく進めていきましょう。

 では、今日はこのあたりで。


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 ファイルアップロードの進捗を示すプログレスバーが、全て青く染まる。

 それを確認して、俺は固まった肩をほぐそうと両腕を天井へ突き上げた。


「ぐっ、ふぉおお」


 現実の体が凝っているわけではないから、関節が鳴ったりするわけではないし、そもそも機械の体に凝りという概念があるかどうかは知らないが、日頃の癖というものだ。

 それに、実際気持ちいい。


「おっさんみたいですねぇ」

「おっさんだからいいんだよ」


 ゲンコツ唐揚げとかいう大きな唐揚げをぱくぱくと口に運びながら、レティが言う。

 彼女の言葉に返して、俺はブログが書き終わったことを伝える。

 すると、すぐにテーブルの向かいに据わっていたラクトがブラウザを開いて確認した。


「ほんとだ。ふむふむ……。ねえ、レッジ」

「どうした? 何か不備があったか?」


 今回、珍しくラクトの写真を使わせて貰っている。

 一応色々気をつけているが、何か不備があったかと肩を強張らせる。

 そんな俺に向かって、彼女は白けた目を向けて言った。


「この目線を黒線で隠す奴、べつにいらないんだけど」

「ええっ。でも、それがないとプライバシー的に」

「ゲームのアバターにプライバシーも何もないでしょ。むしろこっちの方が犯罪者みたいで嫌だよ!」

「そ、そうか……」


 しょんぼりと落ち込んでいると、以前に写真を使っていたレティたちも頷いていた。


「そもそも、このブログの主がレッジさんってことはもう周知の事実ですし。レティたちがノー編集で写ってても誰も違和感を覚えたりしませんよ」

「この黒線つける意味がないわよねぇ」

「そ、そうだったのか……」


 今告げられる衝撃の事実に愕然とする。

 俺がブログをやっていることは、〈白鹿庵〉のメンバー以外には積極的に言っていない。

 名前も伏せてひっそりとやっているつもりだったのだが、周囲から見ればそうではなかったらしい。


「頑なに〈白鹿庵〉とかレティたちの名前を出してないのって、やっぱりそういうことだったんでしょうが……」

「とりあえず、わたしはレッジのブログなら名前も素顔も出して貰っていいよ。わざわざ許可出すのも面倒だし」


 ラクトの言葉に、レティたちも次々と頷く。

 他のブログに無許可で出されるのならともかく、身内なら手間の方が煩わしい、と彼女たちは言う。


「えっと、カミルはどうなんだ?」


 隣に座り、ココアを飲んでいたカミルに尋ねる。

 彼女は口いっぱいにピーマンでも詰め込んだような顔をして答えた。


『許可なんていらないわよ。一応、アンタがアタシの主人なんだから』

「そうか……」

「そもそもNPCに許可取ったところで、拒否されることもないと思いますよ」


 レティのストレートな指摘にとどめを刺される。

 そういうことなら、と俺は改めて彼女たちに提案する。


「FPO日誌を、〈白鹿庵〉の正式なwebサイトにしてもいいか? 騎士団のサイトや、BBCの“ねこのあしあと”みたいな感じで」


 俺の言葉を聞いて、レティが唐揚げを摘まむ手を止める。

 トーカやエイミーもきょとんとした顔でこちらを見た。

 そうして、たっぷり数秒の沈黙の後でラクトが口を開いた。


「いいかもなにも、レッジがブログ作った段階からそんな風に捉えてたけど……」

「むしろ今までどういうスタンスのサイトだったんですか、アレ」

「……そうきたかぁ」


 三者三様に脱力するレティたち。

 個人的にはかなり大きな決断だったというのに、どうやら向こうからしてみればそうでもなかったらしい。


「……なら、そういうことで」


 絞り出すようにそう言うと、彼女たちは驚くほどあっけなく、すんなりと頷いたのだった。


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◇ななしの調査隊員

ビキ愛がビキニアーマー型外骨格の開発に乗り出したそうだ


◇ななしの調査隊員

それはビキニアーマーと何が違うんだよ


◇ななしの調査隊員

事前研究開発方針発表だと、通常は“ビキニアーマーとは纏う物である”という中で、外骨格は“ビキニアーマーとは乗り込む物である”という新しい概念で開発を進めるそうだ。


◇ななしの調査隊員

わけわからんわ


◇ななしの調査隊員

何言ってんだ?


◇ななしの調査隊員

おっさん更新されたよ


◇ななしの調査隊員

うrl


◇ななしの調査隊員

ブクマ


◇ななしの調査隊員

アマツマラのお腹がぱんぱんになったの、やっぱりおっさんのせいかよ


◇ななしの調査隊員

もう高耐久エネルギーケーブルとかも受付中止になってたよな?


◇ななしの調査隊員

脂まみれ事件を発端にして、各生産業界が本気出していくつかのアイテムが受付中止になってますねぇ


◇ななしの調査隊員

歯車もそろそろって噂だけど


◇ななしの調査隊員

歯車はけっこう使うし、カグツチ以外にも流用できるだろうからな。ワンチャン無限なんじゃないの?


◇ななしの調査隊員

アマツマラちゃんのお腹はもういっぱい


◇ななしの調査隊員

胃薬納品開始しそう


◇ななしの調査隊員

おっさん、脂80枠も納品してたのか。


80枠!!??!?!??wwww


◇ななしの調査隊員

80,000個とか、マジで頭おかしい量すぎる


◇ななしの調査隊員

猪何匹分だよ・・・


◇ななしの調査隊員

多くの人は脂の桁違いな数に気を取られて、ミニシードや椿油の量も頭おっさんな事に気付かない


◇ななしの調査隊員

白雪椿とか、雪の中で真っ白い小さな花だから見つけるのも苦労すんのに・・・


◇ななしの調査隊員

俺、1時間くらい掛けてやっと椿3つ見つけたんだが???


◇ななしの調査隊員

最後の動画なんだこれ


◇ななしの調査隊員

メイドさんってあれマジで召喚してたの?


◇ななしの調査隊員

さらっと新しいテクニック見つけてんのに、もう誰もあんまり驚かなくなってるな


◇ななしの調査隊員

この子、アマツマラの前ではしゃいでた子か

可愛かったなぁ


◇ななしの調査隊員

〈家事〉スキルレベル40以上の状態で、関係良好なメイドと会話すれば習得できるな。

町の外に誘う感じのこと話せば技教えてくれる。


◇ななしの調査隊員

検証おつ


◇ななしの調査隊員

関係良好なメイドってことは、そうじゃないメイドもいるのか・・・


◇ななしの調査隊員

普段から優しくしてるメイドと普通のメイドと、一切合切無視してるメイドと、毎日10回以上無意味に叱ってるメイドを揃えてるけど、招集教えてくれたのは優しくしてるメイドだけだった。


◇ななしの調査隊員

マッドサイエンティストすぎるだろ


◇ななしの調査隊員

こわ


◇ななしの調査隊員

ガチ検証班じゃねーか


◇ななしの調査隊員

しかしガチ検証班でも事前に発見はできなかったのか

特定の話を持ちかけないと教えてくれないってのはやっかいだな


◇ななしの調査隊員

会話の選択肢出してくれ


◇ななしの調査隊員

しかし、この視点の映像はちょっと新しいな


◇ななしの調査隊員

配信用の玉じゃこのアングル撮れないの?


◇ななしの調査隊員

アングル自体は普通にできるけど、メイドさんの興味の向くままに動くのが新しい


◇ななしの調査隊員

メイドさんマウントかわいいな


◇ななしの調査隊員

時々入ってるメイドさんの声もかわいい


◇ななしの調査隊員

おっさんがエネミーの攻撃をスレスレで回避した時の悲鳴が可愛すぎる


◇ななしの調査隊員

おっさん、いつもの調子でギリッギリで回避してるから普通に怖いな


◇ななしの調査隊員

なんでこれ背後からの攻撃に対応できてんの???


◇ななしの調査隊員

おっさんだから


◇ななしの調査隊員

おっさんだからかなぁ


◇ななしの調査隊員

おじさんだからだよ


◇ななしの調査隊員

おっさんは初めてか?まあ肩の力抜けよ


◇ななしの調査隊員

俺もメイドさん雇いてぇ


◇ななしの調査隊員

このメイドさんめっちゃ有能だったよね

脂まみれ事件の原因の一人だろ


◇ななしの調査隊員

大鍋三つくらい一気に管理してたよなたしか


◇ななしの調査隊員

なんでNPCまで有能なんですかねぇ


◇ななしの調査隊員

おっさんが家事スキル持ってるからかもね

あれって雇ってるメイドさんの能力値も上げるでしょ


◇ななしの調査隊員

そういえばおっさん、なんか割烹着とエプロン着てたなぁ


◇ななしの調査隊員

おっさんのママ味を感じる


◇ななしの調査隊員

じっさいおっさんは割と保護者でしょ


◇ななしの調査隊員

保護者といえばやっぱ盾のお姉さんじゃね?


◇ななしの調査隊員

おば、お姉さんもいいよね


◇ななしの調査隊員

機術師ちゃんガチガチにスノボーできんのね

てか素顔出てるの初めてじゃない? 編集漏れ?


◇ななしの調査隊員

あれ、素顔出てたっけ?

俺が見た時は海苔ついてたはずだけど


◇ななしの調査隊員

ほんとだ、はずれてる


◇ななしの調査隊員

わざわざ外したのってことか?


◇ななしの調査隊員

へぇ、結構可愛いじゃん


◇ななしの調査隊員

前から本人知ってるし、海苔ついてても外れてても大して変わらんな・・・


◇ななしの調査隊員

まあ、妙な犯罪臭は無くなった


◇ななしの調査隊員

あれ、なんかホームの文章変わってんな


◇ななしの調査隊員

まじか


まじだ


◇ななしの調査隊員

貼ってくれ


◇ななしの調査隊員

>このブログはVRMMO、FrontierPlanetをプレイしている一般のおじさんが惑星イザナミでの出来事をぼんやりと記していく日誌です。

 あまり有益な情報などはありません。

 攻略情報は公式wikiかBBSのほうがいいでしょう。

 上級者向けのものは「大鷲の騎士団(別窓)」や「ねこのあしあと(別窓)」へ。

 あくまでも、平凡な日常を淡々と記したものであることにご留意ください。


 メンバーからの許可を得たので、今後はバンド〈白鹿庵〉の活動日誌としても運営していきます。

 その一環で、本人らからの要望を受けて記事中の画像にあったメンバーのプライバシー保護編集を消しました。

 ゲーム内での問い合わせは〈白鹿庵〉リーダーのレッジまでお願いします。


◇ななしの調査隊員

えっ今更?


◇ななしの調査隊員

むしろいままで違ったのかよ定期


◇ななしの調査隊員

あの海苔はメンバーからも不評だったのか・・・


◇ななしの調査隊員

そりゃそうでしょ


◇ななしの調査隊員

ええっ!おっさんってレッジさんのことだったんですか!!


◇ななしの調査隊員

シラナカッタナー


◇ななしの調査隊員

ここまではっきりとした公然の秘密はそうそうないぞ


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Tips

◇白雪椿

 冷たい雪の中に花を咲かせる、小さな椿。周囲に溶け込むような真っ白な花弁で、その小ささもあり非常に見つけづらい。

 この椿から採れる油は香りがよく、様々な料理や薬品、機械部品に使用できる。


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