第8話 夢乃家にて

スマホの指示通りに校門へ行くと芙蓉は先に着いていた


「太一、遅い」


「いや、メッセージを貰ってすぐに来たから、遅いとかあり得ないし」


「下僕はいちいち逆らっちゃダメなのよ」


こいつは、どうしても自分の立場を認めたくないようだ


「どちらが下僕かそんなに確認したいんだ

芙蓉はサキュバスの姿になるのが大好きなのかな」


「わっ、タンマ、だめよ、それはダメ

太一は乙女にもっと優しくすべきよ」


「そう、どちらが下僕か言ってみようか」


「はあ、なにそれ」


「そう、やっぱりサキュバスの格好になりたいんだ」


「待って、わかった、わかったから、太一は私の下僕じゃない、それで良いでしょう」


芙蓉は自分が下僕とは言わないんだ

まあ、この辺で収めてやるか


「じゃあ、下僕の芙蓉君、家まで僕を案内するように」


「下僕じゃないし、ふん、案内するわよ」


芙蓉はズンズンと歩き始める

僕はそんな芙蓉の後をついて行く


「さあ、着いたわよ」


学校から20分程歩いた所で芙蓉がそう宣言する


「えっ、芙蓉の家ってココなの」


僕の目の前に広がるゴージャスなエントランスに思わずビビってしまう

なにしろここはこの町で唯一と言われる億ションだから


そんな僕の様子など気にすることもなく、芙蓉は財布からカードを出して認証処理をすると、エントランスの大きな扉が音もなく開いてゆく


「ほら、惚けてないで、入るわよ」


扉の中に広がるのは一流ホテルのロビーと見まごうばかりな広大な空間

2階分の高さを持つ高い天井がそれを強調している

更には受付があってコンシェルジェも常駐しているみたいだ


「ほら、乗って」


芙蓉に連れられて行ったエレベーターボールからエレベーターに乗ると行き先を選ぶボタンが見当たらない


「なあ、このエレベーターってどうやって降りる階を選ぶわけ」


「そんなの選ばないわよ、このエレベーターは我家専用なんだから」


はあ、専用のエレベーターですか、さすが社長様

そう言えば、エレベーターを開けるのもカードキーを使ってたよね


そして開いたエレベーターのドアの先は既に玄関だ


「ほら、入って」


芙蓉に促されて靴を脱ぎ玄関ホールの先の扉を開けると前面がほぼガラスの大きな部屋、リビングルームだね


「取り敢えず、適当に座って」


僕はいかにも上等な皮張りの大ぶりなソファーにおっかなびっくり腰を下ろす


「お嬢様、お帰りなさい」


「ああ、時子さん、ただ今、喉が乾いてるわ、何かお願い」


「畏まりました」


下がって行く時子さん、着ている服はメイド服だ

日本の家庭でもあんな格好をしたお手伝いさんとかいるんだ


「なあ、芙蓉達の家に普通の人がいると色々と不味かったりしないのか」


サキュバスの家に普通の人間がいると秘密とか守れなそうだよね


「何よ、不味いって、まあ分かるけどね

でも問題は無いわよ、彼女は同族だから」


そうですか、時子さんもサキュバスですか

僕は魔族に囲まれて暮らすって訳ですね


「おじょうさま、お茶が入りました」


時子さんは芙蓉のカップに優雅に紅茶を注ぐ


「人間、お前も飲むのか」


嫌そうに言った後で時子さんは僕のカップにも紅茶を注いでくれる


「時子、太一は我が家の一員になるの、もう少し敬意を持って接しなさい」


へえ、芙蓉が僕を庇ってくれるんだ


「時子、貴方だって痩せた牛の乳は飲みたく無いでしょう

私は美味しい精が欲しいのよ」


「おじょうさま、時子の考えが及んでおりませんでした

家畜は太らせないといけませんよね」


なんだよ、感謝して失敗したよ

こいつらの眼には俺は家畜と見えるってわけか


まあ、家畜にしては上等な扱いを受けられそうだ

ここがあんたの部屋よって芙蓉に案内された部屋は実家の僕の部屋の倍以上はある

家具もベッドもずっと上等な物が置かれている


私服に着替えた僕はベッドに寝転がっている

すると睡魔が襲ってくる

そう言えば、朝方までろくに寝てないや


そしてすぐに眠りに落ちてしまう


「やっと来たわね」


眠りに落ちたと思ったらサキュバスが僕を待ち構えていた

その姿は昨夜の僕の夢に現れた夢乃さんだ


「あれ、夢乃さん、仕事は良いんですか」


「私は社長よ、時間の都合は自分で付けられるの」


やっと来たって言ってたよね

まだ、夕方なのに


「ねえ、夢乃さん、まだ夕方なのに僕が寝るって分かって待ってたんですか」


「そうよ、時子に指示しておいたからね

紅茶の中に睡眠薬を入れておいたのよ」


そうなんだ、睡眠薬を飲ませてまで僕を急いで眠らせたかったんだ


「夜まで待てば普通に眠るのに、そんなに急いで僕を眠らせたかったんですか

それってやっぱり、芙蓉を使役していることと関係があるんでしょうね」


「当たり前じゃ無い、私の可愛い芙蓉を使役するなんて許せないわ

だから貴方を私が魅了して芙蓉の使役を少しでも早く解除させるのよ」


母親の愛は偉大って事ですか


「でも、それなら夜まで待っても問題無いですよね

わざわざ眠り薬を飲ませる必要がありますか?」


「あるわよ、芙蓉がお前に使役されてるなんて1分でも許せないの」


「本当にそうですか、僕を恐れているからじゃないんですか」


僕の言葉で夢乃さんの目が泳ぐ


「貴方を恐れる、自信過剰もほどほどにしなさい

誇り高いサキュバスの私が人間如きを恐れるはずがないでしょう」


でも、強気な姿勢は崩さないんだ


「人間ごときですか

確かにただの人間を夢乃さんが恐れるとは思いませんが

自分の血族を使役している僕は恐ろしいでしょう」


「あら、貴方、随分と傲慢ね

私が貴方を恐れる、笑わせないでよ」


夢乃さんは強気だ

でも、顔色は段々と悪くなる

まあ、僕は顔色が悪くなる理由に心当たりはあるけどね


「夢乃さん、僕は今日学校の図書室にいったんです」


「ふーん、本を読むようには見えないけどね」


「そうですね、あまり読みませんね

でも、高校の図書室の2階がわざわざ僕を招待してくれたんです、僕が読むべき本があるからと

ですから読まない訳にはいきませんでした」


「そう、学校の図書室の2階に入れたの」


やっぱり、夢乃さんは知ってますね


「そうです、そして読めと言われた本で知りました

使役者の血族を使役する方法を」


「やはり貴方は危険ね、さっさと魅了しないといけないわね」


そう言った、夢乃さんの目が光ります

でも、遅いですね

僕の呪文は完成しています


夢乃さんの足元に魔法陣が現れます


「やっ、なに、ダメ、やめろ、やめなさい、いや〜、やめて」


魔法陣から浮き上がった光に夢乃さんは包まれます

そしてサキュバスの姿から人の姿へと強制的に変えられます

芙蓉と同じですね


「貴方、なんて事を」


夢乃さんがきつい目で僕を睨みつけますが、もう少しも怖くありません

僕が使役者として夢乃さんの上位者になったせいですね


「普通なら夢乃さんのように格の高い魔族を僕が使役するなんて不可能ですよねでも、夢乃さんは僕が使役する芙蓉の母親ですからね

僕でも簡単に使役出来ると本に書いてありましたが本当でしたね」


そい、簡単だったんです

使役すると思って見つめるだけで魔法陣が浮き上がって夢乃さんを使役出来るようになりました


「夢乃、いや鈴夜、立ちなさい」


夢乃さんの名前を呼んで僕は指示をします


「くっ」


悔しさと恥ずかしさに歪む顔で鈴夜は立ち上がります

恥ずかしいでしょうね、悔しいでしょうね


芙蓉と同じで人の姿に戻るときにサキュバスのコスチュームも消えていて鈴夜は身に何もまとっていませんからね


「手は頭の上に」


胸と股間を隠していた両手が頭の上に置かれます


「ふ〜ん、素晴らしい胸だね、Gカップはありそうだ

それに子供を産んでいるのに乳首も乳輪も黒ずんでいないね」


「ふ、ふざけるな、さっさと私を解放しろ

こんな事は許される訳が無いんだ」


「それでは、許されるか許されないか試しましょう

目の前にAV女優顔負けの鈴夜がいるからね

AV女優が男優にする事を僕にしてもらいましょうか」


「あ、貴方、何を言ってるの」


「鈴夜はサキュバスなんだからその位平気だろう」


「ふざけないで、いやよ、なんであんたなんかと」


「じゃあ、まずはその大きなおっぱいで」


「無理、無理なの、人の姿じゃ恥ずかしいの、出来ないの」


そう言いながらも鈴夜は大きなおっぱいで僕に奉仕をはじめます


「そう、なんだ出来るじゃないですか、上手ですよ

サキュバス相手で夢の中ですからね、何でも好き放題できますね

じゃあ、脚を開いて、指で広げてください、奥まで見えるように」


戸惑いながらも僕の命令に逆らえない鈴夜の手が降りてゆき、僕の命令を実行します


「いや、いや、見ないで、やめて、御免なさい、許してください」


鈴夜は羞恥に塗れた目で僕に懇願します


でも、ダメですよ、これは僕の夢なんですから

男の子の妄想を実現する良い機会です

AV動画で見たあれやこれを実際に鈴夜でいっぱい試させてもらいましょう


そして、僕は鈴夜に触れるために自分の手を鈴夜に近づけていくのでした








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る