第2話 僕とロリバス

「なあ、ロリバス」


「はあああ、アンタは徹底的に失礼ね

私はサキュバスよ、サキュバス」


「ふううん、そうか、夢乃芙蓉はサキュバスなんだ」


「へっ、やっ、ちょ、ちょっと、それは違うかな、私は人間だよ」


「魔法陣から出てきたのに」


「そうよ、って言うか魔法陣から出て来たのはアンタのせいでしょう」


芙蓉、怒ってるね

よし、はぐらかそう


「そうなんだよね、僕がすっごく苦労して準備した魔法陣なんだよね

それも魔物を使役する用のね」


「はああ、アンタ、魔物って、サキュバス族を魔物扱いするわけ、アンタ私の一族と敵対する気なの」


おっ、やっぱ芙蓉は脇が甘いね


「いや、お前は人間だってさっき言ってたろう」


「はっ、そうよ、私は人間、人間よ、当たり前じゃない」


「それで、その人間がどうして魔物の召喚用の魔法陣から出てくるんだ

おかしいだろう」


よし、立ち場の逆転に成功だ


「だから、知らないって、私と関係ないでしょう」


「でも、お前は俺に使役されてんだぞ」


「ふざけないでよ、なんで私がアンタに使役されなきゃならないの」


「そうかあ、よし」


ふふふふ、芙蓉に自分の立場を教えてやろう


「我が使役獣である夢乃芙蓉よ、汝が主である、我、山田太一の命に従い手を頭の後ろに組み胸を張れ」


「きゃあ、バカ、なに、何をさせるの」


僕が命じると夢乃は命じられたとおりに手を頭の後ろに組んで胸を張る

でも、現れたのはまっ平らな......


「う~ん、意味ないわ」


「キイ~、ふざけないでよ

アンタ、殺すわよ」


あ〜、五月蝿い

やっぱ、ロリバスじゃダメだな


「ふうん、仕方ない

我が使役獣である夢乃芙蓉よ、汝が主である、我、山田太一の命に従い妖艶なサキュバスの姿となれ」


「ひゃああ、アンタ何を命ずるのよ」


素晴らしい、僕が命じたとおりにロリバスは妖艶なサキュバスに変わった


「これ、これだよ」


「な、なによ、男ッて、みんなこの姿に発情するのね、このスケベ」


残念、声がロリバスのままだ

でも、好都合か、その声だと怖くないもんね

よし


「我が使役獣である夢乃芙蓉よ、汝が主である、我、山田太一の命に従い己がおっぱいを山田太一の物と心得よ」


「へっ......アンタ...」


ジト目です、サキュバスさんはジト目です

でも良いんだもん、僕はサキュバスさんに魅了されておっぱいを触らずにいられないんだもん


「では、堪能させてもらうぞ」


僕の手はサキュバスの豊満な胸を掴み.....あれ、掴めない

なんと、僕の手はサキュバスさんの胸を突き抜けて、その手に伝わる感覚は肌触りの良い布の手触りだけ

後は平らで、うん、ポッチは判ったわ


「いやあああ」


「パッシイイイン」


うわあ、いて、痛いわ


「な、な、何、何すんのよ、アンタどこ触ってるのよ」


「いや、どこって、なんで突き抜けちゃうの」


「な、なに、この虚像の姿は触れないわよ、触れるのは実体の私だけよ」


「そっか、あのポッチは『パッシイイイン』、痛い、痛いったら」


「あ、アンタって最低よ」


あ~あ、魅惑のサキュバスちゃんは消えてロリバスが現れたわ


「なあ、魅了するのに触れられないとかダメじゃん」


「あ~、うっさい、触れられるわよ、夢の中ならね、私達は夢魔よ

現れるのは夢の中なの」


「そう言えばそうか、じゃあ、なんで現れたんだ」


「だ・か・ら、いきなりアンタが呼び出したわけ、ほんと、止めて欲しいわよ」


よし、とりあえず芙蓉に自分の立場をよく教えないとな

いいか、耳をかっぽじってよく聞けよ


「そうか、取り合えず整理すると

夢乃芙蓉はサキュバスで、僕の使い魔で、魅惑的な姿は夢の中だけ

そして、使い魔の夢乃芙蓉は僕の命令には従うしかない

そんなもんか」


僕の言葉で固まる夢乃


「ここまでやらかしたら否定は無理だよな」


「ウウウウウウ、グルルルルル」


おお、怒ってるね


「それで、なんでサキュバスが人間の高校に通ってるんだ」


「ハア~、判ったわよ、私は確かにサキュバスよ、でもクオータだから1/4だけのサキュバスなの

それで、ハーフのママと、人間のパパと暮らしてるから人間の高校に通っている

勿論、日本の国籍を持っているわよ」


「それで、サキュバスとしての活動はしてるのか」


「してないわよ」


「なんでだ、サキュバスなんだから夜な夜な男の夢に忍んで精液を飲むんじゃないのか」


「それって、くだらないラノベの知識よね

本当のサキュバスの事も知らないのに変なことを言わないでほしいわよ」


「じゃあ、普通に人間をしてるわけ」


「そうよ、普通の人間よ」


「そんな恰好をしてるのに」


「そんな恰好って、ひゃあああ、見るな、見ないでよ」


僕は角と羽の事を言ったんだけど、芙蓉は裸同然のビキニアーマーの方が心配なんだね


慌てて、腕で露出部を隠そうと芙蓉は頑張るけど、腕じゃその露出は隠せないよね

あっ、そろそろビデオを止めないとね


僕がビデオを止めて三脚から離し出すと芙蓉は初めてビデオを認識する


「ねえ、もしかして、まさかだけど、今までそのビデオって」


「凄い、正解、全部撮ってたよ、でもエロいサキュバスの姿は写ってなくてロリバスの芙蓉が写ってる」


「え、えっと、撮ってたの、ねえ、撮ってたのね」


なんか涙目だよ


「だから、そう言ったじゃん」


「や、やだ、消して、消してよ」


「なんだよ、今更恥ずかしがるなよ、ずっと見せてたくせに」


「見せてない、見せてないから」


「もう、僕の使い魔なんだからいちいち気にするなよ

大体、芙蓉は家までその恰好で戻るんだろう」


「家、この格好、無、無理、そんなの無理よ」


「そうだな、角に羽、そんな姿で外を歩いたら絶対に捕まって見世物だよな」


「へっ、角、羽」


「なんだ、気付いて無かったんだ

だから、その姿なのに自分は人とか強弁してたんだ」


「ヤ、ヤダ、頭に角が生えてる

ええええ、背中から羽が出てる」


「サキュバスなら当然じゃないのか」


「当然、そんな事ない、私、今まで角とか羽とか生やした事ないし」


「ふう〜ん、じゃあそれって、もう消せなかったりして」


「はあ、いや、嫌よ、こんな姿じゃ外を歩けないもの

ええいい、消えろ、消えなさい、我がサキュバスの証よ」


お、それっぽいセリフだね

感心してたら本当にサキュバスの証が消え出したよ


すごい、角も羽も消えていつもの芙蓉の姿に戻ったわ

でも、ビキニアーマーまで消す事は無かったんじゃないかとおじさんは思うわけよ

まあ、微乳だわ、そこにあるのはおっぱいかなってぐらいの気持ちには成れるかな


それに、芙蓉ってまだ生えてないんだね

ツルツルのお股が感慨深いわ

縦スジにエロスを感じるほど歪んでもないしな

温泉に入るとたまに居る幼女を見る時と同じ感情しか湧かないわ


「ど、どうよ、どこから見ても人でしょう、女子高生の芙蓉に戻ったわよね」


ふ〜ん、随分と気分が動転してるみたいだわ

自分が裸なのには気付いてないんだ

だから、脚を開いて腰に片手を当てて、片手でVサインなんかを突き出せるんだね

無い胸まで突き出してるし


「ああ、どこから見ても、まれに温泉の男湯で出会う幼女の裸と同じだわ」


「な、なに言ってるの、あんたバカなの」


「バカはお前だろう、なんでビキニアーマーまで消したんだ」


ギ、ギギギギ

固まった芙蓉の首が動き下を向く


そして部屋に悲鳴が響き渡ったのだった

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