第18話 幼い頃から馴染んでるやつ
あの、なんとも言えないラブコメ展開のせいで"1時間だけ1緒に寝る"という状況に持ち込まれた。
1時間だけ……それは寝てるのかどうかも怪しいような気もする。
「よしっ、準備完了。」
「寝る時間に気合い入れんなよ……。」
妹から借りたパジャマに着替えて来た
特に珍しいことも無く、"男子高校生の部屋"って感じがする部屋のドアを開けて、電気を点ける。
「久しぶりだなぁ、
「先月来ただろ?」
「まぁね。」
先月も……いや、先々月も泊まって居る。
その為か、泊まる事になんの抵抗もない"幼馴染"という名のモンスターが生まれてしまった。
「それじゃ。」
カチッ。
「ん?暗い……。」
どうやら
幼児じゃあるまいし、寝るにはまだ早すぎる。
「
「いやいや、1時間しかないんでしょ?」
「まぁ、きっちり測る気は無いけどな。」
1時間制限をつけたせいで、
「さぁさぁ殿方、オフトゥンへ……。」
「もう、どこからツッコんでいいか分からん。」
とか言いつつも、一応は布団……じゃなくベットの上に座った。
それを見届けた
「ねぇ、
「は?何だよ、急に。」
「いや、ただ聞いときたくてさ。」
「……。」
急にマジトーン。
いつもアホでいると思ってたが、急にマジになると、逆に何か怖い。
「俺は、ただの"幼い時から馴染んでるやつ"位の感じだよ。それ以上でも、以下でもない。」
「……。」
「まぁ、馬鹿で変なところが真面目なお前なら、良い人もすぐ見つかるさ。」
「……すぅ。」
さっきから何も喋らないと思ったら、ただ眠ってただけだったか。
まぁいい、丁度しなきゃいけない事もあるしな。
***
「こんばんわ。」
「奇遇ですね、
俺の家の庭の茂み、そこに隠れていたのは
"じゃあ今、近くにいるんじゃね?"的な思考で家の近くを調べていたら、
「"さん"をつける必要はありませんよ?せめて、"様"にして下さい。」
「"せめて"の使い方、知ってます?」
「それで、私に何か用ですか?」
「それは、こっちが聞きてぇよ……。」
楚良の計画発動より先に、犯人確保に至ってしまった訳だが、聞きたいことが多すぎる。
「
「いえ、厳密には全く違います。証拠も無いのに、罪を着せないでください。」
「何で、そこまで強気になれるんだ……?」
そこはかとなく、謎である。
しかし、確かに"ここに居た"ってだけで確証も何も無いのは確かだ。
「ストーカーの件なら、添い寝をしている相手に聞いた方がいいと思いますよ?」
「え?何だよ、その意味深な言動は……。」
「さぁ、何でしょうね。」
気になる……が、
俺がいない間に家に来ては、俺のR指定書籍を発見し、妹にチクる。
そんなことをしている
「もう用はないようなので、私はこれで失礼します。」
「え、この状況で帰れると思ってるの?」
「そんな……私も襲う気ですか?」
「"も"ってなんだ、
彼女の中で、俺はそんなにアクティブな事をする奴に位置づけられていたのか……。
そんなことを考えている間に、彼女は小走りでどこかへ行ってしまった。
「
***
「はぁ……。」
部屋の中の暗がりを見たが、
メチャクチャになった頭の中を、自分でできる限り整理したが、何も進展は無かった。
「うぅ、頭がおかしくなりそうだ……。とりあえず、寝よう。」
階段を降り、リビングにあるソファーに手をかける。
少し高めの値段に設定された、形をベットに変えることが出来るタイプのソファーだ。
「ここを、こうして……よし。」
夏に妹と寝た時から、久しぶりに組み立てたソファーだったが、錆び付いては無かったみたいだ。
改めて、少し整理しよう。
一ヶ月前の……2月のあの日から始まった視線は一旦、3月の初めに止まった。
そして、一昨日からは
やっぱり、全然わからん。
一体、どうしたら………。
***
「はっ……!」
いつの間にか、寝てしまった。
眠い目を擦りつつ、リビングのカーテンを開ける為に立ち上が……。
立ち上が……。
何だこの、
そして、この背中に抱きついている奴は……。
「うぅ、おはよう。
「ゆ、
ヤンデレ系スポーツ女子のせいで僕は今ロッカーに監禁されています。 山田響斗(7月から再開予定) @yamadanarito
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