第10話 戦犯という生き方
後日談というか今回のオチ。
結局バレてしまったストーカーの件。
……しかし、
「成程……そういうことなら仕方ないですね、バスケ部ですし。ただ……。」
「"好き"だと言ってくれた事も嘘なんですね……。」
その一言は、俺の心の中の純粋な部分と恋愛煩悩にクリティカルヒットした。
ずるいよそれ。
少し頬が赤く染まりつつある俺を見て、幼馴染は嘲笑している。
まるで、「そういうのが好きなんだ〜?」とでも言わんばかりの視線が向けられている。
「それにしても、
「な!?そ、そんなことない……ないよ!」
「どうでしょうね〜。」
バタバタして、落ち着かない
そんな慌てふためく幼馴染と、どこか楽しげな
近づいてみて気づいたが、
「うぅ、おばぁちゃん。今から俺もそっちに……」
「マジかよ……。」
今にも死にそうな
あいつだけが今は頼りだ。
「
「う、うぅ。」
「妹に会いたくないか?」
ピクっ、と右肩が動く。
"ロリコンは、死するその瞬間までロリに思考を費やし続ける"と聞いたことがある。
その性質を利用するのだ。
「妹は中3としては背が小さい方で、
「……
「あっ、ごめん。」
勝手に熱くなってしまった。
さすがに、こんな時までロリの事は考えてないか……。
「ちなみに妹の髪形は?」
「ポニテだけど……?」
「そうか……」
相当な多量出血で脳が働いていないのか、中身がスカスカな会話をしていた。
最近は妹と話すことが無いから、どうせ家に来たところで会えはしないんだが……。
制服に
ちなみにバックとかの荷物は
やばい、めっちゃ優しいじゃん
とてつもなく瀕死状態に近かったけど。
そんな時は
─────────────────
久しぶりにロッカーの中。
しかも側面が俺の体温で温まってしまったロッカーの中。
どうやらここは今はもう使われてない第二体育倉庫のようで、訪問者は誰もいない。
しかし彼女は休憩時間を満喫した後また練習に戻り、その練習も終えて戻ってきている。
そんな彼女は帰り支度をし、制服に着替えて、ロッカーと距離を取った場所でメガネをして本を読んでいた。
その本のタイトルは……
「『好きな人を振り向かせる恋愛
明らかに読者の年齢は小学生が推奨されているような本だった。
いや、小学生にメンヘラはまずいか。
「私、図書館で見た時に"ビビッ"って来たから借りちゃった。今はヤンデレの学習中なんだよ?」
「ヤンデレって学ぶものなのか……?」
「私、努力型だからさ。」
努力型のヤンデレ?
今まであんまり見た事ないタイプのキャラクターだと思うけど、新しいヤンデレスタイルを確立してくれるかもな。
ヤンデレな努力家はバタッ、と本を閉じてまた喋り始めた。
「さっきの
とてつもない偏見の塊じゃねえか。
男をなんだと思ってるんだよ、出版社は……。
「あっ!」と声を出して、唐突に彼女は話の話題を変える。
「あの……お腹空いてませんか?」
「お腹?まぁ、空いてるけど。」
そういえば春休みのバスケ部の練習は昼まであるって言ってたし、弁当くらい用意してるのかな。
今日は朝の6時に起きた俺だが、こいつのせいで一日のほとんどが無駄になりそうだ。
「良かった……。愛妻弁当、作ってきたんです。食べましょう。」
「愛妻弁当?」
「ふふ。初めての愛妻弁当ですね〜。はい、口開けて"あ〜ん"ってして下さい。」
愛妻なのかは置いておいてもそもそもまだ妻じゃないような気もする。
そんな愛妻?に子供じみた表現で口を開けさせられ、卵を食べさせられた。
彼女のキラキラした目のせいで、逆に煽られているように感じて顔が……全身が恥ずかしさで熱い。
「顔が真っ赤っかですよ〜、恥ずかしいんですか?」
「うぅ、美味しいけど恥ずい。」
手作りのお弁当は純粋に美味しかった。
色とりどりの具材にふわふわのご飯、何故か彼女がローペースで食べさせてくることを除けば完璧な昼食だった。
「卵は変な味とかしませんでしたか?」
「え?いや別に……うぅ?」
なんか頭がぼーっとして考えるのが
これは……朝に彼女と話してた時に感じた感覚と似てる。
確か、あの後から記憶が無くて気づいたらロッカーに……まさか!
「また、薬入れたのか?」
「ロヒプノール睡眠薬は、たった1
「嘘だろ……。」
だんだん眠気が堪えきれなくなって………。
また……………かよ…………。
─────ロヒプノール?
*****
『待っててくださいね?』
これは……ここは、夢?
俺は……、なんであいつの事を……考えて……。
*****
ふかふかとした大きめのベットの上。
知らない天井……だと思うが、天井は真っ白だし、知識がない俺にはそもそも見分けがつかない。
「あっ、やっと起きましたか?」
「こ、ここは……?」
唐突に聞こえた彼女の声に、つい質問を質問で返してしまう。
寝起きでグチャグチャしてしまった頭を整理するように、体を起こして頭を抱えた。
「あぁここは新居ですよ、私たちの。」
「新居……?」
初耳、というか寝て起きたら新居に居るなんて展開自体が見たことも聞いたことも無いし……。
そもそも、新居探しに言った思い出もない。
確かに、一人暮らしがしたいとは思ってはいたけど……。
「お父さんに頼んで、1Kの部屋を借りてるんです。
そう言う彼女は
だが俺は、後ろで組んでいる手に握られたさっきの手錠がチラチラ見えることもあり、気が気じゃなかった。
─────────────────
■作者より
2000PV達成記念のヤンデレ増量キャンペーン。
第10話 見ていただき本当に
『
ところで
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