第22話 アリスとライカ その一
時は少し遡り、ノアとアンがルミリアに着いた頃。
アリス、サイド。
「いやぁ、王都か、久しぶりに来たが変わらねぇな」
オレ様は王都コーラスに着いた。
「さて、まずは宿を取ってっと」
オレ様はアンジェリカがオススメした宿に泊まる事にした。さすがアンジェリカ、良い宿に泊まりやがる。個室に風呂があるし、防犯もしっかりしていやがる。まぁ、防犯がしっかりしている所に泊まるのはオレ様のせいでもあるんだが。
「明日はギルドに顔出してオッズとノアの幼馴染ちゃんの情報を集めるとするかな、フヘヘ、楽しくなってきやがったぜ」
オレ様はアンジェリカの困り顔を想像してだらしない顔をしてしまった。
「とりあえず、今日は寝ちまおう」
オレ様はふかふかのベッドに寝転がり、目を閉じた。
翌朝、オレ様は豪華な朝食を食べた。オレ様はSランクだから変装無しだと面倒くさい事になる。つまり、変装してギルドに向かう事にした。フードを被っただけなんだけどな。アンジェリカはSランクになってから目立たないようにしていたからな。こういう時に羨ましくなるぜ。
「アンジェリカの奴、毎朝あんなもん食ってたのかよ。豪華すぎて引くわ」
オレ様はアンジェリカの食生活に愚痴をこぼしながらギルドの扉を開けた。
「ここがノアの活動してたギルドねぇ。なかなか良いところじゃねぇか」
オレ様はギルドの内装を見てそう思った。
そしてノアが幼馴染ちゃんの話をした時に出た、ロライドという冒険者を探した。
「とりあえず、受付にでも聞くか」
オレ様は、朝でクエストを受けるために受付に並んでいる列に入った。少しは申し訳ない気持ちもあるよ?でも、聞かなきゃわからねぇんだよ。
十分程並んでオレ様の番が来た。
「すまないがロライドという人を探していてな。どこにいるかわかるか?」
「ロライドさんですか?ロライドさんでしたらギルドの裏にある練習場で新米冒険者の訓練をしていますよ」
「どのくらいかかる」
「あと一時間程で終わると思いますよ」
「助かった。忙しい時にすまなかった」
さすが受付嬢だな。嫌な顔せずに仕事をしやがる。オレ様だったら、こんな忙しい時間帯に来るなよ。って顔するな。
ロライドの奴が来るまで一時間もあるのか、ミルクを飲みながら本でも読むか
オレ様はギルドにある酒場の様な場所でミルクを飲みながら読書をした。もちろん魔法書だ。
それからロライドが来るまで待った。時々パーティーの勧誘があったが断った。でも、最後の奴らは傑作だったな。
十数分前。
「よう、嬢ちゃん。俺達のパーティーに入ってくれないか?弱くても良いぜ?」
「オレ様はやる事があるから断る」
「女のくせにオレ様だってよ!ガッハッハッハ!」
「嬢ちゃんは俺達に付いてくるだけで良いんぜ?まぁ、その代わりに体で俺達にご奉仕してもらうがな!」
オレ様はなんだか懐かしい気持ちになった。昔はこういう事を言う奴が多かったからだ。オレ様は楽しくなってしまった。
「本当か?奉仕をすれば報酬を分けて貰えるんだな?」
「あぁ、もちろんだぜ?」
大体こう言う奴は信用できない。まぁ、コイツらには恥をかいてもらうがな。
オレ様とこの下賎パーティーはギルドを出た。
オレ様は出た瞬間に。
「ファイヤチェーン」
赤魔法で作った炎の鎖を下賎パーティーに放った。
この魔法は中級赤魔法の拘束系だ。炎は拘束には向かないが、オレ様は魔法陣を少しいじって火力やら大きさを変えている。オレ様はこの魔法で服と防具だけを高温の炎で焼き溶かす。
「テメェ!いきなり何しやがる!」
「アチィ!服が燃えて!ってあれ?熱くない?」
「これはオレ様が少ーしいじったファイヤチェーンだ。お前ら下賎の奴らにお似合いのな!そんで、これで終わりな。アイスチェーン」
オレ様は素っ裸になった哀れな下賎パーティーにトドメの中級青魔法を放った。この魔法も少しいじってある。公開処刑をする為によく使う魔法の十八番だ。
「冷てぇよ・・・」
「俺達が悪かった!助けてくれ!こっちは裸なんだ!」
オレ様は腹を抱えて笑った。そして。
「どうせお前ら、オレ様以外にも女に色々迷惑かけてたんだろ?自業自得、因果応報だぜ?そのまま王都の見世物になっちまえよ」
オレ様はそう言い残し、ギルドへ戻った。去り際、五、六歳の男の子に笑われていたのは最高だったぜ。
そして現在。
オレ様はロライドにノアの幼馴染ちゃんとオッズについて聞いた。
「アンタがロライドか?」
「あぁ、そうだ。お前さんは?」
「オレ様はアリスだ。オレ様はノアとアンジェ・・・アンの友人だ」
「ノアの友人か!ノアは元気か?」
「あぁ、元気だったぜ。ついでに言うとヘルムを外していたぞ」
「なんだと!?あのノアがヘルムを・・・」
「ノアに昔の話を聞いて嘘だと思っていたが、本当らしいな。でだ、そのノアからの頼みで、ノアの幼馴染ちゃんとオッズについて聞きたくてな」
ノアからの頼みというのはもちろん事実だが、アンジェリカに嫌がらせをする為でもある。
ああ
「ノアの頼みでか、ノアのヘルムの事を知っていたからな、信じよう。オッズについてはノアに話してある。奴隷商に売られたらしいと伝えた」
「なるほどな」
オレ様はオッズの行動が知りたかったんだが・・・。
「ノアの幼馴染、ライカは最近は見てねぇな。でも、時々ご飯を買いに外には出ているらしい。俺は元気だった頃のライカを知っているから見に行こうにもな・・・。結構、酷い見た目らしい」
「相当な精神的なダメージがあるんだな」
「あぁ、だから無闇に行けないんだ」
「そうか。家の場所はどこなんだ?」
「家か?ギルドを出て、正面の道を真っ直ぐ二十分程歩けば着くぞ、ボロい家だよ。お前さん、行くつもりか?」
「ノアに頼まれたからね。意地でも連れ出すさ」
「そうか。なら俺からも頼む」
ロライドはオレ様に頭を下げた。この冒険者は後輩思いの良い人じゃねぇか。
「頼まれなくてもやってやるよ」
もちろんオレ様がアンジェリカに嫌がらせする為にな!結果元気になるならいいだろう?
オレ様はギルドを出て、ノアの幼馴染ちゃん、ライカの家に向かった。
二十分程歩くと、見た目はボロいがしっかりしている家を見つけた。
「この家だけ周りから浮いてるぞ・・・」
オレ様は扉の前に立ち、ノックをした。
コンコン
「ライカいるんだろ?オレ様はノアの友人だ。ノアに頼まれて見に来てやった」
シーーン・・・
「チッ!」
オレ様は舌打ちをし、さっきよりも強くノックした。
ドンドンッ
「開けろ!」
シーーン・・・
無視だ。居留守でもしているのか?
「しょうがねぇな」
オレ様は扉に手を置き。
「ウィンドブラスト」
ドガンッ
オレ様は扉に向かって中級緑魔法、風属性のブラスト系を放ち、扉を粉砕した。
そして中に入ると。
「うわっ!汚ねぇな!換気もしてねぇだろ!つーか、生きてんのか!?」
オレ様は汚い家の中を歩いた。床はほとんど見えない。
そして・・・。
「お前がライカか?」
オレ様はライカを見つけた。
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