第17話 万能の賢者アリス
「よう!アンジェリカじゃねぇか!」
一人のエルフの少女がアンさんに話しかけて来た。
「げっ!」
「アンさんの知り合いですか?」
「知り合いもなにも、前にパーティー組んでた魔法使いだよ。名前はーー」
「アリスだぜ。よろしくな美少女ちゃん」
エルフの少女はアリスと名乗った。ん?エルフの魔法使い・・・、アリス?
「もしかして賢者アリスさんですか?それとボクは男です!」
「そうだぜ。お前、その見た目で男なのかよ・・・、へぇ、アンジェリカが男とねぇ」
アリスさんはそう言い、ジト目でボクを見た後、アンさんを見た。失礼な事を言われたが一先ず置いておこう。
「な、なによ」
「だってアンジェリカは男嫌いじゃねぇか。そんな奴が男と一緒にいたら驚くに決まってる」
「一応、ノア君は私の弟子なのよ。いや、だったの方が正しいかしら」
「なんでまた弟子なんて取ったんだよ」
「ノア君が幼馴染ちゃんに失れーー、いや、裏切られちゃってね。それで訳あって修行をつけてあげたわけよ」
「っていうか、ノア君だっけ?よく、アンジェリカに弟子入りしようと思ったね」
「幼馴染に裏切られたときに、アンさんの美しい剣術に惚れたんです」
「アンジェリカの剣術にねぇ。そりゃあ剣姫だからな」
ん?今アリスさんは、アンさんのことを剣姫と言ったのか?
「えっと、アリスさん」
「オレ様の事はアリスでいいぜ」
「え、あ、はい・・・。アリスは今、アンさんのことを剣姫と言いましたか?」
「そう言っただろ?もしかしてお前は知らなかったのか!?」
「はい」
「マジかよ・・・」
アリスは口を開け、目を見開いて言った。
するとアンさんが。
「それでアリスはなんでここにいるのよ?」
「オレ様がここにいるのはアンジェリカを困らせるために決まっている」
その言葉にアンさんが身構えた。パーティー組んでいたときもこうだったのだろう。
「まっ、今のは冗談だ。王都に行こうと思っていてな。なに、ただの気まぐれさ」
「気まぐれって、アリスは相変わらずなのね。それでいつ王都に出発するの?」
「明後日だな。アンジェリカとノア君はどこに向かうつもりだい?」
「私とノア君はウォルタルに向かうわ」
「ウォルタルに戻るのか」
アンさんとアリスの会話から二人は以前、ウォルタルで活動をしていたみたいだ。
「ってことはアンジェリカ達の出発は明日か、つまり今日は予定はないんだな?」
「そういうことになるわね」
「それじゃあ、オレ様に二人のことを聞かせてくれよ。なぁに、時間はたっぷりあるさ。ついでに幼馴染ちゃんとやらの話もな」
アリスは邪悪な笑みを浮かべボクを見てくる。正直怖い。
この後、夜までボクとアンさん、幼馴染のライカの事を話すこととなった。
ボクがアンさんとした修行について。ボクとライカの関係。ギルドで起こった出来事。アリスはとても楽しそうに聞いていた。この人は他人の不幸は蜜の味、と言うタイプの人なのだろうか。
「アリス、もし迷惑じゃなかったらライカの様子を見てほしいんです」
「なんだ?まだ好きなのかよ」
「それはわかりません。でも、心配なんです。ライカが悪かったとしても・・・」
「馬鹿お人好しだな!・・・でも、面白そうだし、暇があればな」
そんなこんなでお開きとなり、ボクとアンさんはアリスと別れ、宿に戻ってきた。
「アリスはあんな感じだけど、実は泣くと女の子に戻るわよ」
「えっ!?本当ですか!?想像できません」
「びぇぇぇぇんって泣くのよ。意外と可愛いところもあるわよ」
え、それは意外だ。
一方アリスは・・・。
「ノア君の幼馴染ちゃんねぇ。ライカちゃんだったか、おもしろい話を聞いたな。王都に着いたら楽しみだ」
アリスは邪悪な笑みを浮かべ笑った。この笑みはアンジェリカに嫌がらせをする時の笑みであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます