第16話 脱・ヘルム

ボクとアンさんは王都で馬車に乗り、ついにムントという町に着いた。もう日も暮れている。


「ノア君、とりあえず宿を取りましょうか。」


「そうですね。この時間に空いてますかね」


「大丈夫だと思うわ。都市とは違って旅人しか泊まらないし、馬車から降りてくる人の数からして泊まれるわ」


「それじゃあ安心ですね!」


「でも、早いに越したことはないわ」


「そうですね」


「それじゃあ行きましょうか!と、その前に!ノア君、そのヘルムもう外しましょうか!」


「えっ!?」


「えっ!?じゃないわよ!修行前に約束したでしょ?それにヘルム被ったままだと怖がられるわよ?王都ではみんなが知っていたから平気なだけであって」


「うぐっ。わかりました・・・」


ボクは、アンさんの言う通り、今までお世話になっていたヘルムを外した。


「・・・やっぱり可愛いわね」


「全然喜べません。複雑です」


ボクはこの日ヘルムを手放すことになった。





ボクとアンさんは羽休め亭という宿屋を訪れた。

アンさんが店主のおじさんに話しかけている。


「おじさん、二人部屋に泊まりたいんだけど空いてる?」


ボクの聞き間違えかな?


「アンさん、同じ部屋はまずいですよ!」


「これからはテントで寝る時も一緒なんだから変わらないわ!練習だと思いなさい!」


「うぅ・・・」


この会話におじさんが。


「なんじゃあ?お前さん男かい?」


「ボクは男ですよ!?」


「そんな可愛い顔して男たぁ、面白い事もあるもんじゃな」


「全く面白くないです」


「それより、お前さんらは飯はどうするんじゃ?泊まるだけなら銀貨五枚、飯付きなら銀貨六枚じゃ」


「ご飯付きでいいわ。それとお風呂はあるかしら?」


「お風呂を使うなら一人で銀貨一枚じゃ」


「わかったわ」


ボクとアンさんは結局同じ部屋で寝ることになった。





ご飯を食べ、お風呂を出た後、ボクとアンさんは翌日の予定を決めることにした。お風呂は男女別だったのでよかった。


「ノア君、明日はあなたの防具を新調しようと思うの」


「た、たしかにもうボロボロですね。でも防具売ってるお店なんてあるんですか?」


「その辺はこの宿のおじさんに聞いたわ」


「いつの間に・・・」


「情報は大事よ?」


「そ、そうですね」


「ノア君は軽装よね?」


「はい」


「わかったわ。それじゃあ今日は寝ましょうか」


「そうですね。・・・アンさん、おやすみなさい」


「えぇ、おやすみ」


ボクとアンさんは布団に入り、眠りに就いた。ボクの心臓はバクバクだったし、妙にドキドキする。今までアンさんの事を意識していなかった事を実感した。





翌朝、ボクとアンさんは午前七時に起床した。夜は特に何事もなかった。よかった。

ボクとアンさんは朝食を済ませ、防具屋を訪れた。ここに来るまでに色々な人にジロジロ見られて恥ずかしかった。これがこれからも続くのかな?


「ノア君、この鉄とミスリルのアーマーが良いと思うわ」


「ミスリルの割合が鉄と同じですね。高いですよ?」


「そうかしら。ノア君も王都でそこそこ稼いでるから大丈夫でしょ?」


「ボクが買うのにアンさんが決めちゃうんですか?」


「ノア君よりは良い防具を選ぶ自信があるわ」


「それを言われるとなにも言えないです・・・」


「それに、防具は自分の命を守るものよ?ケチって死んだら意味ないわ」


「うぐっ。たしかにそうですね。強くなったからと言って死なないわけじゃないですし・・・、わかりました!買います!」


結局ボクは鉄とミスリルのライトアーマーを一式買った。ヘルムは無しだ。落ち着かない。


「ノア君、似合っているわ!美少女騎士みたいよ!」


「それ褒めてますか?貶してますよね?」


「そんな事ないわよ?かっこかわいいってやつよ!」


ボクにはよくわからないが、アンさんだ似合ってると言っているから良いかな。

ボクとアンさんがお店を出ると。


「よう!アンジェリカじゃねぇか!」


アンさんの事を知ってる人がいる!?ボクとアンさんは声のする方を見た。そこには一人のエルフの少女がいた。

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