第13話 オッズのその後
俺が病院で目を覚ましてから三日が経った。
この世界の回復魔法は怪我までなら治せる。その怪我の度合いにもよるが、俺の場合は骨折なので三日で治る。毎日一回ずつ回復魔法をかける必要がある。その際、激痛が全身に走り、俺は悲鳴を上げた。無理矢理骨を治そうとするのだから当たり前なのかもしれない。擦り傷切り傷は痛みがないのにな。奇跡の聖女と呼ばれる人だけは失った体の一部を再生できるのだとか・・・。
俺は退院し、ある場所へ向かった。その場所は黒瓶だ。あそこなら力を増幅する薬があるのかもしれない。近年発見されたもので、適量摂取が絶対な薬だ。騎士団や冒険者でも国が定めたもののみ使っている人もいる。副作用は増幅している間の疲労が激しくなり、効果が切れたときに、一気にくるんだとか。
俺は黒瓶の着き扉を開いた。
「婆さん、久しぶりだな」
「おや、あんたかい。変装しなくてもいいのかい?」
「あぁ。ん?婆さん、なんで変装の事を知ってるんだ?」
「覗かせてもらっていたからねぇ」
婆さんはそう言い、水晶を取り出した。
「ワシが魔法で作り出したカラスの目を使って見ていたのさね。よかったじゃないか、あの娘さんと抱き合えて」
婆さんはヒッヒッヒと不気味に笑う。
そして続けた。
「お前さんはオッズと言うんだってね、お前さん、ヒプノの説明を詳しく聞こうとしなかったからねぇ。おもしろいもん見させてもらったよ」
「ヒプノの説明?五回に分けて四日開けるって言うやつだろ?」
「あれは被害者をすぐに壊さないためさね。ワシが言いたいのは副作用や注意事項とかもっと細かいところさね。慎重な人はこう言う事を教えて欲しいというさね。まぁ、ここにくる人は欲望にまみれた愚かな連中さね。あんたみたいに薬が手に入り視野が狭くなってる連中ばっかりさね」
俺は苛立ったが黙っていた。
しかし婆さんは続ける。
「あの後帰ってきたヘルム被った小僧に催眠を解かれたみたいだね」
「つまりそれはヒプノの注意事項の一つだって言うのか?」
「そうさね。水晶で見た感じ惚れ直したような感じさね。喜怒哀楽、そういう感情が精神に強く作用すると、解けちまうのさ」
俺はノアに対して更に憎悪を燃やした。
「でも、その後がおもしろかったさね。お前さんが何回訪ねても無視されてたり、しつこくナンパしては断られ、挙げ句の果てにヘルム被った小僧に喧嘩売って返り討ち。そんでギルドを辞めさせられて・・・、いい道化だったよ」
「おい、ババア。今なんて言った」
「いい道化って言ったんだよ。お前さんみたいな愚か者は本当によく踊ってくれた。楽しませてもらったよ。ヒッヒッヒ」
俺はババアに殴りかかろうとした。が、後ろから黒いローブにフードで顔を隠した男二人に取り押さえられた。
「離せっ!クソッ!」
俺は頭に強い衝撃を与えられ、気を失った。
「黒瓶の婆さん、この男どうしますか?」
「奴隷にでもしちまいな。愚か者の連中に高額で薬を売り、最後に奴隷商に売る。儲かるねぇ。ヒッヒッヒ」
「婆さん、性格悪りぃぜ」
「お前さんらも儲かるからお互い様さね」
こうしてオッズは奴隷商に売られ、奴隷になった。
俺はその後奴隷になり、変態貴族に買われた。
毎晩夜の相手をし、苦痛だった。最初は悲鳴を上げ、やめてくれとも言った。そういうと、その貴族は逆に興奮し、俺を襲う。
いつ頃だろうか、苦痛が快感に変わり、俺は変態貴族を求めるようになった。変態貴族も嬉しそうにしている。俺は胸が温かくなった。
俺はついに男を捨てた。俺、いや、私はこの人を愛している。私はオッズという名前をオズマリーという名前に変えた。そして私はその人と結婚しました。
この出来事をノア達が知ることはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます