第3話 ライカの悔恨 その一

私の名前はライカ。ノアとは幼なじみで昔から一緒に遊んでいた。

そんな私はノアを裏切ってしまった。王都のギルドの先輩であるオッズさんと関係を持ってしまった。まったく好きでもない男性と関係を・・・。

今思い出しても引き裂きたくなるほど後悔している。

あの日、ノアがロライドさんのところへ行き、数分後、オッズさんが私達の家を訪ねて来て、招き入れてしまった。

そこから狂ってしまったのだ。記憶が曖昧だが、私がオッズさんを少しずつ求め始め、関係を・・・。オッズさんのことが好きだったんじゃないかと思ってしまうほど・・・。

その日、修行終わったノアが帰ってきた。


「ただいま!」


「お、おかえり」


私は笑顔を作った。できる限り自然体で。

しかし、ノアは気にしている様子がない。


「ボクね、新しい師匠ができた!凄く美しい剣の舞だったんだよ!それを教えてもらえるんだ!」


私はホッとしてしまった。いつもより上機嫌なノアを見て。

私はこんなに嬉しそうなノアを見るのは久しぶりだった。そういえば、子供の頃、ノアのこういう姿が好きで好きで仕方がなかったことを思い出した。

その瞬間。


パチンッ


と、私の頭でなにかが弾けるような感覚が起きた。

そして、私がなにをしてしまったのか、好きでもない男性と関係を持ってしまったのか、鮮明に思い出し、怖くなった。さっきまでオッズさんのことが好きだったのかもしれないと思っていた感情も綺麗に消え去り、元に戻っていた。

でも、ノアを裏切り、関係を持ってしまったことは変わらない。変えようのない事実だ。

私は最低だ。





次の日、ノアが帰ってくると、ヘルムが傷だらけになっていた。

私はノアに。


「心配させないでよ」


と、言った。

でも、帰ってきた言葉は・・・。


「大丈夫!師匠に心配されてるから!」


私はノアの言葉に悲しくなった。

私ではなく、師匠に、と言ったからだ。

もしかしてオッズさんと関係を持ったことを知っているんじゃ?こんなことノアには言えない・・・。

でも・・・、言わなきゃいけない。


「明日の依頼、さっさと終わらせて修行したいな」


「あ、あのね」


「ん?なに?」


言わなきゃ、オッズさんと関係を持ってしまった。と。でも言ったあとはどうする?私はノアのことが好き。でも、そんなんこと信じてもらえるはずがない。私が望んでしていなくても、その根拠、証拠、一切ないのだ。

だから・・・。


「ううん、なんでもないよ。明日頑張ろうね」


私は言えない。どう言えばいいの。私は最低だよ・・・。ごめんなさいノア。

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