楽曲妄想小説4

風のレッサー風太

永遠にStay with me

むかしむかし、とある国に幸せに暮らす王子様とお姫様がおりました。しかし2人を良く思わない悪い魔女の手により2人は毒を盛られて瀕死の状態になってしまいました。国の人々は2人を助けようとしましたが出来た薬はただ1つどちらか一方しか助けられません。姫は王子に飲んで欲しいと思い王子に薬を渡しました。王子は薬を口に含むと姫にキスをし薬をお姫様に流し込みました。

姫は倒れかけた王子を受け止め泣きながら抱きしめました。王子は微笑みながら姫の頬を撫でそのまま死んでしまいました。姫はその笑顔に応えるように涙を拭い笑顔で「サヨナラ」と囁き王子にキスをしました。「もっとそばにいてほしい」

「離れないでほしい」「もっと私を見つめてほしい」そんな気持ちが溢れ出しそうなのを堪えながら強く手を握った。離したら消えてしまうそう感じながら強く握った。王子を愛しているから、

愛していたから、国中が悲しんだ、彼の追悼式には国民全てが参列した。姫は小さな声で「永遠分の一を私にください」といい王子に最後のキスをした。長く深くそしてそのまま彼女は死んだ。自ら毒を飲み静かに死んだ。2人の時間が永遠となった瞬間一輪の花が咲いた。「キキョウ」の花だ。花言葉は「永遠の愛」

この国の旗に描かれていたこの花は2人を見守るように小さいながらも強く咲いていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


懐かしいな、昔この絵本を読んでもらったのをまだ覚えている。残念ながら私にはそんな素敵な王子様はいない。なんならつい最近喧嘩して彼は出て行ってしまった。私達もこの絵本の2人みたいに愛し合ってたはずなのに、心の中がモヤモヤする。説明できないこのモヤモヤがもどかしい。

ここで仲直りすれば前みたいになるのかな...

そんなことありえるのかな...

喧嘩なんて何回もしたくせに...


不意に寂しさが襲ってくる。

抱きしめてほしい。彼に負けを認めるように見つめて、今でもあなたしかいないと、きっと彼もそうだと分かっているのに、彼との思い出が溢れ出し彼を愛してやまない抑えられない心が一つ一つの思い出を「忘れるな」と言うかのように脳に流す。彼の思い出の一つに私がいればいいな...


そう思ったらいてもたってもいられなかった。

私は飛び出した。靴も履かずに彼を求めて、

どこにいるかのあてなんてないのに、夕立ちが襲いずぶ濡れになりながら走る。ふと公園が目に入った。彼が雨に濡れながら立っていた。彼は私を見て驚きを隠せなかった。私は涙を流しながら彼に抱きついた。

「ごめんね...やっぱり離れたくない...」

彼は何も言わず抱きしめてくれた。

夕立ちが止み夕陽が私たちを照らしてくれた。


それから数ヶ月後、彼はこの世を去った。

元々彼との喧嘩の理由は彼が患った病についてだった。彼の病は治らないと言われていた。だから彼は死ぬならさっさと死にたいと言い自殺しようとしていた。私はそれが悔しかった。だから説得しようとしたが熱くなってしまって彼と口論になってしまった。彼は病院で

「君に会えて本当に良かったよ。...1人は寂しいか

 ら傍にいてくれないか?君の永遠分の一を俺に

 ください」

そう言って指輪を私の左手の薬指にはめてくれた。そしてそのまま静かに息を引き取った。私は涙を流しながら彼にキスをした。今まで1番長く深くキスをした。指輪をもらえた嬉しさなのかそれとも彼を思っての悲しさなのか分からない涙は止まらなかった。ふと窓の近くを見ると

「キキョウ」の花が花瓶に生けてあった。小さいながらも強く咲いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

楽曲妄想小説4 風のレッサー風太 @Futa1201

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る