第11話 ~ヒロキとデート!? Part2~

「(怖い…。怖いよぉ…。)」

「優海、優海!」

誰かに呼ばれ身体を揺さぶられたことにより、外に意識が向かった優海は恐る恐る顔を上げる。そこには心配そうな面持ちのヒロキが優海の瞳に映っていた。

「よかった。大丈夫?」

「うん。あれ?あの人たちは?」

「通りかかったおまわりさんに事情を話して、交番に連れていってもらったよ。」

「そっか…。」

優海はホッとした表情をしていた。その表情を見ながら、ふとスマホの画面を見ると、思わず目を見開いた。

「それよりヒロキ、いったいどこに…」

優海がヒロキに質問し終える前にヒロキは優海の手首を掴み、そのまま走り出した。

「えっ!?ちょっとヒロキ!?」

「ゴメン!話は後で聞くから、とりあえず全力で走って!」

ヒロキに引っ張られ全力疾走してから数分経った。

「ヒロキ、あ、あとどれくらい走ればいいの?ハアハア、もう息が…。」

「もう少しだから頑張って!」

息が上がり辛そうな優海とは対照的に、ヒロキはまだ余裕があった。

「も、もう無理…。」

心では頑張って走りたいと思いつつも、身体が追いつかない。年を取ると体の衰えを感じるとよく言われるが、このことなのだろうと優海は実感していた。

「あっ、見えてきた!」

ヒロキはそう言いながら、とある店の前で歩みを止めた。

「優海、着いたよ。」

慣れない全速力をした優海は、息も絶え絶えになってしまい道路に座り込んでしまう。

「ま、待って、ヒロキ。呼吸が苦しくて…。ハアハア…。ふうー。」

「大丈夫?落ち着いた?」

「うん。大丈夫。」

呼吸が落ち着いた優海は、周囲を見渡しながら立ち上がると、見覚えのある店が目の前にあった。

「あれ?この店、林宿のロールアイスのお店じゃない?いつの間に渋川から林宿まで走ったの?」

優海は状況が理解できず、ポカンとしていた。

「違う違う。最近、渋川にもロールアイスの店舗が出来たんだよ。林宿の店舗はあの大盛況でしょ?だから渋川の店舗では予約制になっていて、順番が来てから注文をすることになっているんだよ。」

「そうなんだ、知らなかったよ。」

「予約番号112番のお客様、いらっしゃいますかー?」

「おっ、ちょうど呼ばれた。間に合ってよかったぁ。」

「でも、どうして…?」

「どうしてって、優海、ロールアイス食べたそうにしてたじゃない?ほら、林宿に行ったとき…。」


-2時間前 林宿にて-

『優海、あのお店はどんなお店?たくさんの人が並んでいるね!』

ヒロキが興奮気味に行列に指を指す。

『ああ、あのお店はロールアイスのお店だよ。おいしいのはもちろん、見た目がすごく可愛くてSNS栄えするから女性に大人気なの。さすがに2~3時間も並んでいられないから、ブームが落ち着くのを待っているんだけど、いつ行っても物凄い人気なんだよね。今日も並んでいるなぁ…。いつか食べてみたいなぁ…。』

優海は寂しそうな眼差しでお店を見ていた。そんな優海の表情を見たヒロキは、何か出来ることはないかと思っていたのだった。

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